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留学志望の中国人学生を助けるカンニングサービスは一大ビジネスと化している


近年発展が目覚ましい中国からは、毎年何十万人もの学生がアメリカなどの海外へと留学していますが、その中には金を払ってプロのカンニング業者を雇い不正にテストに合格している中国人学生もいます。こうしたカンニングサービスを提供している業者10人以上に非営利の報道団体・Rest of Worldが取材を行い、中国で横行しているカンニングビジネスの実態に迫りました。

Chinese students use remote access software to cheat on US college entry exams - Rest of World
https://restofworld.org/2022/chinese-software-cheat-sat-exams/

「私たちのような業界の人間にとって、TOEFLのようなオンラインテストは単なるおふざけに過ぎません」と語るのは、中国人学生の留学を支援する代理店の経営者であるトニー・ワン氏です。

パンデミックの発生により試験がオンラインへ移行したため、多くのテストはPCで行われるようになりました。こうしたテストでは、PCの前に座った受験生がキーボードをたたき、その様子を試験官がカメラ越しに厳しく監視するようになっていますが、実際に回答を入力しているのはワン氏のような業者だというケースも少なくありません。


ワン氏の顧客の学力は、英語がまったく分からない学生から、自力で勉強してTOEFLで120点満点中90点まで取った後それを100点にするためにワン氏を頼る学生までさまざまです。また中には、不正受験をするために親に連れてこられた学生もいれば、親には内緒で試験に合格させて欲しいという学生もいます。さらに、ワン氏は学生だけでなく企業の重役やポップスターのカンニングを手伝ったこともあるそうです。

Rest of Worldの取材に応えた別の業者によると、中国のこうしたカンニングビジネスは数百万ドル(数億円)規模の産業になっているとのこと。特に、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの期間中には、1万人以上の学生が国際試験で不正を働いた可能性があると、2人の業界人は証言しました。

もちろん、教育機関側も手をこまねいているわけではありません。TOEFLを提供しているEducational Testing Service(ETS)で最高セキュリティ責任者を務めるウォレス・ダリンプル氏は、「不正な受験を防ぐため、試験開始前に包括的なセキュリティチェックや本人確認、試験環境のスキャンを行っています」とRest of Worldに話しました。ETSが不正対策に投じている費用は、毎年数千万ドル(数十億円)に上るとのことです。


こうした努力にもかかわらず、カンニング業者とその顧客である学生は、あの手この手でカンニングを行います。例えばある業者は、リモートアクセスソフトでカンニングを支援するサービスを1万2000元(約23万円)で請け負っています。このサービスを利用すると、リーディングやリスニング、ライティングで90点満点中85点以上を獲得することが可能とのこと。スピーキングのテストでも業者は脚本を用意しますが、それを読み上げるのは学生です。この業者はRest of Worldに、毎月100~200人の顧客がTOEFLやGREのテストでカンニングするのを支援していると話しました。

こうしたサービスの中には、勉強を教える正規の受験対策の相場より安いサービスもありますが、中にはもっと高い料金で大胆な替え玉受験を請け負うサービスもあります。アメリカの高校や大学に行く裕福な中国人学生の間で「全体(quanti)」として人気のこのサービスでは、まず依頼主に送らせた顔写真にそっくりな役者を探し、依頼主のプロフィールを覚えさせた上で化粧をさせて受験させます。替え玉受験を提供している業者は、「試験官のほとんどは外国人で、中国人の顔の区別なんてできませんから」と話しました。


中国では、国家試験で他の人のカンニングを助けることは犯罪にあたります。しかし、中国当局は国際試験で不正を働くことに対してほとんど関心を払わないと、業者たちは話しています。

そんな業者の1人であるワン氏にも、倫理的な葛藤はあるとのこと。しかし、ワン氏は「自分がやらなくてもどうせ学生はカンニングするだろうし、自分に手助けしてもらえなかった学生はカンニングをした他の学生に対して不利になってしまう」と自分に言い聞かせて道徳的な問題から目をそらせています。ワン氏はRest of Worldに、「どうせみんなやっていることですよ」と話しました。

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in メモ, Posted by log1l_ks

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