メモ

収集品がブームになって価格が高騰するのはなぜなのか?

by Dominique Godbout

販売当初は数百円~数千円で買えるような何でもない製品でも、希少価値の高さや市場の流行に目をつけられて、後に元値の何倍もの高値で取引される事例が多く確認されます。このような収集品の流行について、1990年代に一躍ブームとなったぬいぐるみ「ビーニー・ベイビーズ」を題材に、The Hustleが解説しています。

How Ty Warner Created the Great Beanie Baby Bubble
https://thehustle.co/the-great-beanie-baby-bubble-of-99/

1993年に発売されたビーニー・ベイビーズは、当時としては珍しく中にプラスチックのペレットを入れたぬいぐるみとして登場。生みの親であるタイ・ワーナー氏は、バイヤーに「薄っぺらなガラクタ」と評されたこの製品を売りさばくべく、1つの戦略を打ち立てました。


ワーナー氏はビーニー・ベイビーズの価格を手に取りやすい価格に設定したうえで、それらを小さなおもちゃ屋や専門店のみに販売。さらにカモノハシやワシといった種類のどれがどの店にどれだけ売られるかといった情報をすべてシャットアウトし、1つの店ではすべてのコレクションを集めきれないことを顧客に認識させ、ある種の神秘性を作り上げました。

加えて、1995年には「特定のビーニー・ベイビーズを短期間で引退させる」という売り方を考案しました。この方法は最大限の効果を発揮し、引退したビーニー・ベイビーズの価格は元値の3倍から4倍に高騰し、ネット上では最高で2600倍もの値がついたこともあるという一大ブームを巻き起こしました。The Hustleはこの手法を編み出したワーナー氏を「天才」と評しています。

by Michael Lehet

希少となったビーニー・ベイビーズを巡っては多数の犯罪も発生しており、1998年にはビーニー・ベイビーズの密輸が横行したり、ビーニー・ベイビーズを巡った金銭問題で殺人事件が起きたりしています。

ビーニー・ベイビーズは1999年8月31日、ワーナー氏が突如として生産をすべて終了すると発表し、あっけない幕切れを迎えました。生産終了の知らせを受けて、オークションでのビーニー・ベイビーズの入札単価が一時的に30分で1.5倍に上昇するなど混乱した状況も生じましたが、市場が落ち着くにつれて価格は徐々に低下。実際に販売が終了した後、2000年代初頭までに価格は元値の1%にまで下落しました。かつてショーウィンドウに堂々と展示されていたビーニー・ベイビーズは投げ売りされるようになり、クレーンゲームの景品になるまでに落ちぶれてしまったとのこと。

経済学者のデイヴィッド・タケット氏とリチャード・タフラー氏によると、人々はしばしば新しい投機対象を「エキサイティングで変革的な何か」だと見なし、現実離れした何かを頭に浮かび上がらせ、集団思考の高まりからブームを作ってしまうとのこと。しかし、対象となった物は健全な投資対象ではなく小さなぬいぐるみであるといずれ気付くことになり、自らの価値観が修正され始めます。

タフラー氏はビットコインを例に挙げ、「このような一時的な熱狂は現代の市場にも見られる」と指摘します。タフラー氏は「仮想通貨はビーニー・ベイビーズのように『数量限定』で取引され、実りのある投資手段として流行していますが、バブルがはじけるとほとんどの人が痛手を負うことになります」と考えを述べました。

The Hustleは「20年前、私たちは小さなぬいぐるみを巡って戦い合いましたが、今日の私たちはそれがどれほど愚かであったかを理解しています。しかし、私たちの今の行動は昔と何ら変わっていません」と記しました。

by tranzpuppy

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in Posted by log1p_kr

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