MITが世帯年収3100万円未満なら授業料免除、1550万円未満なら授業料以外の食費や住居費など全免除という太っ腹すぎる学部生向け財政援助施策を発表
現地時間の2024年11月20日、マサチューセッツ工科大学(MIT)が、同大学において世帯年収が20万ドル(約3100万円)未満の学部生は2025年秋から授業料が免除されることを公式出版物であるMIT Newsにて発表しました。
Undergraduates with family income below $200,000 can expect to attend MIT tuition-free starting in 2025 | MIT News | Massachusetts Institute of Technology
https://news.mit.edu/2024/mit-tuition-undergraduates-family-income-1120
MITが新しい財政援助施策を発表しました。この財政援助施策では、2025年秋から始まる新学期以降、世帯年収が20万ドル未満の学部生は授業料が免除されることとなります。アメリカの場合、全世帯の80%が世帯年収20万ドル未満に該当するため、多くの学部生が授業料免除の恩恵を受けられることになる見込みです。2024年までは授業料免除の基準額は「世帯年収14万ドル(約2170万円)未満」でした。
さらに、アメリカの全世帯の50%が該当するという「世帯年収10万ドル(約1550万円)未満」の学部生の場合、授業料だけでなく住居費・食費・手数料・書籍費など、MITに通うために必要となるあらゆる出費が免除されることとなります。授業料以外の出費も全免除となるこの支援プログラムは、2024年までは「世帯年収7万5000ドル(約1160万円)未満」の学部生が対象でした。
MITは2024年に学部生の財政援助施策に1億6730万ドルの資金を割り当てており、10年前の2014年時と比べて約70%増加しているそうです。
MITの学長であるサリー・コーンブルース氏は、同大学の財政援助施策について「MITの教育モデルは集中的で要求が厳しく、科学と工学に根差しており、学生と社会にとって非常に実用的な価値があります。ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたように、MITは卒業生の経済的将来を改善するという点でアメリカのどの大学よりも優れており、卒業生の就職可能性においても世界トップです」「大学の費用はあらゆる家庭にとって本当に心配なことです。MITは経済状況に関係なく、最も才能のある学生に我々の変革的な教育体験を提供する決意を固めています。そのため、MITに入学することを夢見ているすべての学生の皆さん、費用の心配に邪魔されないでください」と語りました。
MITは入学手続きの一環として志願者の支払い能力を考慮せず、すべての学部生の実証された経済的必要性を全面的に満たす、アメリカでわずか9校の大学のひとつです。また、MITは学生がローンを組むことを望んでおらず、他のほとんどの大学とは異なり、卒業生や寄付者の子どもに入学上の優遇措置を与えることもありません。
MITの入学・学生財務サービス担当学部長であるスチュアート・シュミル氏は、「MITは科学技術を中心とした教育に関心を持つ、国内で最も優秀な学生にとって最高の進学先であるべきだと我々は信じています。また、経済状況に関係なく、最も優秀な学生が入学できる大学であるべきだとも信じています」「現在、必要に応じた財政援助を提供しているため、MITの教育は過去のどの時点よりもずっと手頃になっています。MITの『定価』は私が学部生だった頃(シュミル氏は1986年卒業)よりも高くなっていますが」と語りました。
なお、2024年度にMITの学部生が受け取った奨学金の中央値は1万2938ドル(約200万円)で、実に学部生の87%が借金なしでMITを卒業することに成功しています。2024年度にMITを卒業した学部生の借金の平均金額は1万4844ドル(約230万円)です。なお、MITの卒業生は「MITの卒業生」という肩書を得ることで、生涯にわたって恩恵を得られるとされており、最新の調査ではMITの卒業生の平均初任給は12万6438ドル(約1960万円)です。
MITの財政援助施策に割り当てられる資金は、卒業生などの寄付がベースとなっている基金から拠出されます。この基金の存在により、MITは現在も未来も同レベルの財政援助施策を学生に提供することができるそうです。なお、MITの学長であるコーンブルース氏は、「本日の発表は、卒業生がMITでの経験をいかに高く評価しているかを力強く表しています。なぜなら、この規模の財政援助を提供できるのは、MITの卒業生や友人たちから何世代にもわたる当基金への個人寄付があるためです。実際、当基金はMITの卒業生から今日と明日の学生への世代を超えた贈り物です」と語りました。
前述の通り、世帯年収10万ドル未満の家庭の場合、子どもがMITに入学しても授業料・住居費・食費・手数料・書籍など個人的な費用を含む通学にかかるあらゆる費用を学校側が全額負担してくれます。
世帯年収が10万~20万ドルの家庭の場合、子どもがMITに通学するのにかかるあらゆる費用として0ドルから最大2万3970ドル(約370万円)の支払いを求められるそうです。なお、Education Data Initiativeが公開したデータによると、アメリカの州立大学に通学するのにかかる年間費用の平均額は「2万7146ドル」(約420万円)です。つまり、MITの学生ならその他の大学に通う学生よりも圧倒的に支出を抑えることができるというわけ。
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