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ユーザーが感じている「Facebookの価値」とは一体いくらなのか?

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FacebookなどのSNSは基本的に無料でサービスを利用できるようになっており、サービス提供者は企業からの広告を表示するなどして収益化しています。その一方、普段から無料でサービスを利用しているユーザー側には「サービスに対してお金を払う」という意識がないため、ユーザーにとっての「SNSの価値」を測定することは難しいもの。そんなSNSのユーザーにとっての価値を測定する実験が、アメリカのオハイオ州にあるケニヨン大学の研究者らによって行われました。

How much is social media worth? Estimating the value of Facebook by paying users to stop using it
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0207101

研究チームが実験対象として目を付けたのが、2004年に初期のサービスが開始されて以来着実にサービス利用者を増やし続け、GoogleとYouTubeの次に多くのアクセスを集めているとFacebook。インターネット上だけでなく現実世界の人間関係にも大きな影響を与えるツールとなっているFacebookですが、抱える従業員数は2017年9月30日時点で2万3165人と、アメリカの大手スーパーマーケットチェーン・ウォルマートが抱える従業員数の1%にも満たないとのこと。

2018年5月の時点で時価総額が5400億ドル(約61兆円)を誇るFacebookは、ユーザーから直接収益を得ているわけではないため、その規模に対してユーザーにとって一体どれほどの価値があるのかを測るのが難しいものです。そこで研究チームは「ヴィックリー・オークション」というオークション手法を用い、「どのくらいの価格ならFacebookの利用をストップする対価として十分だと考えるか」を測定するオークション実験を行いました。

ヴィックリー・オークションとはセカンドプライス・オークションとも呼ばれ、アメリカの経済学者ウィリアム・ヴィックリー氏が考案した「入札価格1位の落札者が、入札価格2位の価格を支払って商品を落札する」というオークション方法。たとえば「A」という商品に「80万円」の入札が入っており、ある人がAに対して「100万円」の価値を感じているとします。もしも1位価格で商品を落札するというルールであれば、100万円よりもなるべく低い価格でAを落札するために、「まずは81万円で入札する」という手法を取る人が多いはず。しかしヴィックリー・オークションを採用している場合、本人が思っている価値通りの100万円で入札すれば、100万円を上回る価値をAに感じる人が他にいない場合、2位価格の80万円で落札することができます。つまり、ヴィックリー・オークションを採用すれば、オークション参加者はモノの価値に見合った入札額での入札が最適戦略となるため、「参加者の考える対象物の価値」に近い価格での入札が行われるようになるというわけです。

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今回の実験において集められた参加者は、いずれも以前からFacebookを利用しているユーザーでした。サービス利用に関して払いたい価格についての測定ではなく、サービスの利用を停止する対価として釣り合う価格を測定する今回の実験では、ユーザーが以前から感じている「Facebookに対する価値」をより正確に調査できると研究者らは考えています。

研究者らは全部で3つのオークションを実施しました。まず1つ目のオークションでは、無作為に集められた112人の大学生をそれぞれ10~12人のグループに分け、最初にヴィックリー・オークションの方式に慣れるための練習が設けられたとのこと。参加者らがヴィックリー・オークションについて理解した後で、「1時間」「1日」「3日」「1週間」などのランダムなタイムスパンが示され、「この期間Facebookの利用を停止する対価として報酬が受け取れる権利」をオークションで落札し合いました。なお、報酬を受け取るためには利用を停止するFacebookの設定画面と、決まった時間が経過した後に再び利用を開始する設定画面を記録する必要があることも、参加者へ事前に伝えられていました。

その結果、Facebook利用停止に対する入札価格の平均値と中央値は、「1時間=平均値:1.84ドル(約210円)、中央値:1ドル(約113円)」「1日=平均値:6.01ドル(約680円)、中央値:3ドル(約340円)」「3日=平均値:15.73ドル(約1780円)、中央値:6ドル(約680円)」「1週間=平均値:38.83ドル(約4390円)、中央値:15ドル(約1700円)」となりました。全部で計11回のオークションが行われ、11人の落札者のうち10人が実際にFacebookの利用を停止して報酬を受け取ったとのこと。


1つ目のオークションにおいてユーザーの性別や年齢、所得、その他のSNS利用率などは入札価格に影響を及ぼしませんでした。その一方でFacebookの投稿頻度、Facebookを利用したイベントの招待頻度などが入札価格に有意な影響を及ぼしていることが確認されたとのこと。

また、研究チームは1日・3日・1週間という比較的長期間の利用停止への入札額から、1時間という短時間の利用停止に対する入札額を引くことで、Facebookの利用停止に関する手間を抜いた「時間に対するFacebookの利用価値」も算出。その結果、Facebookの利用停止1日あたりの評価額4.17ドル(約470円)に対して3日間の利用停止への評価額13.89ドル(約1570円)が、3倍以上も高くなっていることを研究チームは見いだしました。また、1週間のFacebook利用停止への報酬は1日あたりの報酬の7倍を大きく超えており、ユーザーはFacebookの利用停止が長引けば長引くほど大きな対価が必要と考えていることがわかります。

そして不思議な点として、研究チームは「Facebookに写真を多く投稿しているユーザーは、Facebookへの評価額が低い」という事実も発見。この理由として研究チームは、Instagramや他の写真共有サービスが多く存在しているため、「現時点ではFacebookを利用しているものの、Facebookが利用できなくなったら他のプラットフォームへ移るだけ」と考えているユーザーが多いのではないかと推測しています。

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続いて研究チームは2つ目のオークション実験を実施。このオークションでは、ユーザーが「1年間のFacebook利用停止」に対する報酬額を入札するというもので、報酬が支払われるのは1年間しっかりと利用を停止し続けた場合のみで、「期間中は研究チームが本当にFacebookページが閉鎖されているかどうかチェックする」という説明もされました。

2つ目のオークションは133人の大学生と138人の成人を対象に、計2回行われました。大学生を対象にしたオークションでは41人の参加者が入札を拒否し、2人の参加者が5万ドル(約565万円)を超える入札を行ったとのこと。これらの極端な入札を除外した後に残った90のサンプルを集計した結果、平均入札額は2076ドル(約23万5000円)であり、中央値は200ドル(約2万3000円)となりました。成人を対象にしたオークションでは極端な入札を行った23人を除外した結果、平均入札額は1139ドル(約12万9000円)であり、中央値は100ドル(約1万1300円)となりました。全落札者25人中、実際に1年間アカウントを無効にした落札者は21人だったとのこと。

2つ目のオークションで得られた「1年間のFacebook利用停止に対する評価額」は、1つ目のオークションで得られたFacebookに対する評価額から算出される金額と大きく隔たりがなく、研究チームは大きな自信を得たと述べています。

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3つ目のオークションは、Amazonのウェブサービス「Amazon Mechanical Turk」を介して募集された参加者を対象に行われました。いくつかのチュートリアル質問を通してヴィックリー・オークションについて参加者に理解してもらい、「自分のFacebookアカウントを1年間停止する対価として報酬をもらう」というオークションに参加してもらったとのこと。

その結果、150人が入札を拒否して41人が5万ドルを超える入札を行い、これらを除外した931件の回答を研究チームは分析。平均入札額は1921ドル(約21万7000円)、中央値は100ドル(約1万1000円)という結果が得られました。今回のオークションは完全にオンラインで行われたため、実際に参加者がFacebookアカウントを停止したのかどうかまでは測定できなかったとのこと。しかし、オンラインでのオークションは実際に参加者を集めて行う実験よりも参加者の寄与が少ないものの、かなり真剣な予想額が回答されたと研究チームは見ています。

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多くのオークション実験の結果、1年間のFacebook利用停止には平均して1000ドル(約11万3000円)を大きく超える評価額が付けられていることがわかりました。たとえ平均値をアメリカに住む2億人以上のFacebookユーザーに当てはめるという控えめな見積もりをしても、ユーザーからの評価額は2400億ドル(約27兆円)を超えるとのこと。研究チームは今回の実験を通じて、ユーザーは無料で利用できるFacebookサービスに対して大きな価値を感じていると述べました。

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