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世界で唯一「時計をデザインする」大学で生まれる独創性の高い次世代の時計とは?


スイスのジュネーヴ造形芸術大学では世界で唯一の時計製作のコースがあり、学生の数はそれほど多くないものの、そのコースには学士号と修士号のプログラムが用意されています。そこでは、学生の自由な発想を元に新しい複雑機構が生み出されているとのことです。

Dispatches: Inside The World's Only Watch Design University
https://www.hodinkee.com/articles/inside-the-worlds-only-watch-design-universityersity

ジュネーヴ造形芸術大学の時計製作コースでは、「時計製造の文化」「時計製造の知識」「複雑機構」「パッケージデザイン」や「2D、3Dモデリング」などのカリキュラムが用意されています。校長であるJean-Pierre Greff氏は「本校の時計製作に関するプログラムは3年間、その後は修士課程になります。現在、修士課程には4人の学生が在籍しています」と語っています。


ジュネーブ造形芸術大学では、AgenhorのJean-Marc Wiederrecht氏がワークショップを行っており、主な成果のひとつに学生のBéréniceNoëlとFlorian Wickiによって設計された置時計「Carpe Diem」があります。「Carpe Diem」は透明なアクリル樹脂の球で、全体が覆われています。また、484の部品で構成されるAgenhorのムーブメントを1.6倍に拡大しているとのことです。


フロント部分はサンドブラストされていますが、三角形の穴にある中央の針が時刻を示しています。


学生のSandra Garsaudはブナの木を使った木製のベゼル、ゴム製のストラップ、アルミ製のケースなど珍しい素材を使った子ども用の時計をデザインしています。この時計は年齢別に4種類用意されており、年齢にあわせて、絵柄だけでなんとなく何の時間かがわかるようになっていたり、年齢が上がるにつれ、数字などのインデックスが徐々に追加されるなど、4段階の年齢に合わせたデザインとなっています。


学生のIris Gigonは時計以外にもブレスレットの素材についても研究しており、「サケ」の皮を使った試作品があります。Gigonは「ヘビやワニの皮を使用すると動物虐待などの問題が生じますが、食用のサケではそういった問題は起きないためフェアな素材とも言えます。また、サケの皮は素材として十分な質感があるため、今後の時計業界ではサケのブレスレットが多く出回ると思います」と語っています。


ワークショップを開いているAgenhorのWiederrecht氏は「自社に戻ったとき、1つの不満を抱きました。それは当社のデザイン部門と製品部門のリーダークラスの人間に創造力が足りていないことに気付かされました。彼らはMBAを学んできたこともあり、製品設計や製造を行うとき、バックグラウンドにあるのは『創造性』ではなく『ビジネス』なのです」と大学でワークショップを開くことで、時計業界の問題点に気付いたようで「時計業界には創造性が必要です」と語っています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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