「四次元」の意味を私たちは誤解している
By zimbia
「私たちは『前後・上下・左右』という3つの次元が存在する三次元の世界に生きていて、そこに『時間』という4つ目の次元を足すと四次元になる」と考えている人が多いはず。「ドラえもんのポケットに手を入れたら四次元空間につながっている」という世界観に親しんでいることから、つい四次元が私たちの住む世界の隣に存在していると思ってしまいがちですが、「『日常のすぐそこに四次元がある』とは言えない」ことを説明したムービーが、YouTubeで公開中です。
There is no "Fourth" dimension
人は「四次元」という表現をよく使いますが、実のところ私たちが想像するような「四次元」というものが存在しているわけではないとのこと。
同じように我々が存在していると思われる「三次元」というものも、私たちが考えるような意味では実在しないのです。
三次元も四次元も確かに存在はしているのですが、それらは「アレが三次元」「コレが四次元」という風に分かれて存在しているわけではありません。
一次元は前と後ろの線、二次元は一次元に上下が加わった平面、三次元はさらに左右が加わった立体という風に、空間に方向が新たに加わると「次元」が増えるとされています。しかし、そもそも一次元が指し示す次元とは何なのか、北なのか東なのかそれとも上なのか、明確に決まっているわけではありません。一次元目が指し示す要素が定まっていない以上、「これが2つ目、これが4つ目」という風に言ってしまうのはナンセンス。
水差しに注いだ水で考えてみましょう。水差しに3カップの水を注いだら、水差しの中には確実に3カップ分の水が存在しているとわかります。
しかし、中に注いだ水のうちのどれが1カップ目、どれが2カップ目などと指し示すことは不可能。3次元の世界にいる私たちが「1次元はコレ、2次元はコレ」と指し示すのは、基本的にこれと同じことです。
中には「3カップの水が注がれた水差しの中に1カップの油を注いだら、水と油が分離するのと同じように、別の次元が新たに加わるならそれまでの次元とは区別されるはずではないか?」と考える人もいるはず。
このように考えれば、「私たちが暮らしている三次元の世界にない、新たな要素こそが四次元目なのだ」と言え、「三次元の『前後・上下・左右』に加わり、四次元目には『時間』が加わるのだ」と主張する人も。しかし、そもそも私たちが住むこの空間には時間がしっかりと存在しています。
そして、四次元目は三次元目までに現れた次元と同じである可能性も。水差しに注がれる4カップ目もこれまでと同じ水かもしれず、4カップ目だと思っていた油が実は4カップ分の水が入った水差しの中に注がれた、5カップ目の油という可能性もあります。
次元とは頭の中で突き詰めて考えられる問題であり、それが実際に存在するのかどうかとは別に思考を広げることが可能。実際には存在しない虚数という数の存在を仮定すると、それまで解けなかった方程式を解けるのと同じように、多次元の存在も「その存在を仮定することで問題を解決できる」ということから広く利用されているのです。
たとえば、「宇宙は四次元空間+時間の五次元空間なのではないか」という考えもできます。
超弦理論で考えた場合は、九次元空間に時間が+されたものと考えることも可能。
さらに言ってしまえば、時間に2つ以上の次元がないと決めつけることすら危ういかもしれません。
四次元についての認識を新たにしたところで、あなたの脳みそに自信があるのなら、四次元空間を紙に書いて視覚化してみましょう。
答え合わせがしたければ、19世紀に書かれた二次元空間を舞台にした風刺小説「フラットランド 多次元の冒険」を読んでみるか……
四次元ルービックキューブをプレイしてみるといい、とのことです。
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