メモ

わずか15分、コスト0で成績を上げることができる「学習戦略」とは?

by César Astudillo

同じ内容を1万時間勉強するよりも間隔型学習や交互的学習といった方法を取り入れた方が効果的だと言われるなど、「効果的」と言われる学習方法は数々存在します。しかし、そもそも勉強を始める前に「戦略を立てること」がパフォーマンスを左右するのだという研究結果が報告されています。

Strategic Resource Use for Learning: A Self-Administered Intervention That Guides Self-Reflection on Effective Resource Use Enhances Academic PerformancePsychological Science - Patricia Chen, Omar Chavez, Desmond C. Ong, Brenda Gunderson, 2017
http://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0956797617696456

A Stanford researcher's 15-minute study hack improves test grades by a third of a grade — Quartz
https://qz.com/978273/a-stanford-professors-15-minute-study-hack-improves-test-grades-by-a-third-of-a-grade/


自分の思考や行動を客観的に把握し認識することを「メタ認知」と呼びますが、学習においてはメタ認知が非常に重要になってきます。生徒たちのパフォーマンスを向上させるには、彼らが「自分はどのように考えるのか」という認識を行い、その上で「どのように勉強するのか」という戦略を自分自身で立てる必要があるためです。

by GotCredit

スタンフォード大学で社会心理学を研究するPatricia Chen氏によると、多くの学生が「勉強においてなぜそのリソースを使うのか」「効率的に勉強するためにはどのようにリソースを使うべきか」ということを考えず、学習戦略を立てる前に勉強に向かうとのこと。このような姿勢はよりよい結果を生み出す潜在的な可能性をつぶしてしまうとChen氏は考えています。

2017年4月に発表されたChen氏らの研究では、2つの現場実験が行われました。この実験では大学生を2つのグループに分け、一方のグループには統計学のテストの前に「どのように勉強するのか」「どうすれば効率的に勉強できるのか」について注意深く考える手助けを行い、他方のグループには単純に「テストがあること」と「準備が必要なこと」という2点のみが伝えられました。

アメリカの大学では成績が「A+」「A」「A-」といったように段階表記されるのですが、実験の結果、前者のグループは後者のグループに比べて成績が平均1段階高いということが判明しました。また、メタ認知を求める声がけを2回行われた人々は、1回しか行われなかった人々よりもよい成績になることもわかっています。

by Lacie Slezak

つまり、研究から明らかになったのは、「ゴールを指示すること」と「学習においてどのリソースを選択し使用するのかを考えさせること」の2点が勉強において非常に重要になるということ。

ここで、どのように学習のメタ認知を行わせるのか?ということが気になりますが、実際に生徒の成績を上げることができたChen氏らの実験は以下のようなものでした。


実験では、クラスの半数の生徒たちに15分で行えるアンケート調査が配られました。この調査では、まず、生徒たちにこれから受けるテストでどのような成績を出したいかと、求める成績を得ることがどれほど自分にとって重要なのかを考えさせました。

次に、「テストではどのような問題が出されそうか」ということ、そして講義ノート・テストの実践的な問題・テキストを読むこと・講師の業務時間・ディスカッション・家庭教師など、15のリソースのうちいずれが勉強に使えそうかを考えさせます。このとき、リソースを選んだ理由と、どのようにリソースを使うのかも答えさせた上で、効率的な勉強プランを立てさせたとのこと。研究者は、テスト前の生徒たちのパフォーマンスに統計的な違いやGPA・モチべーションにおける著しい差はなかったとしています。加えて、生徒たちがテスト結果に望む成績や、人種、パフォーマンスレベル、性差なども統計学的にはなかったと記しています。

by Alexis Brown

またテストの結果、学習のメタ認知について説明されたグループは成績がよかっただけではなく、テストに関連したストレスも少なく、自分でパフォーマンスをコントロールできたという感覚も強かったとのことです。

学力格差を小さくしようと試みるイギリスのEducational Endowment Foundation(学資基金/EFF)は、これまでに実験を行ったなかで、学習において最も効果的な仲介方法は「メタ認知」と「フィードバック」であると示しています。考え方を考える方法を改善された生徒たちは学習を加速させることがわかっており、特に、成績が低い生徒や高齢の生徒に対して大きな効果が見られたとされています。

Chen氏らが実験で用いたメタ認知の方法が優れているのは、なんといっても「お金がかからない」という点です。教師だけでなく親でも子どもに対して声かけすることができるので、「あなたがやっていることのうち、うまく機能していないことは何だと思う?」「パフォーマンスを上げるために使えるものは他にある?」「みんながやっている方法よりももっといい方法はあると思う?」といった内容を子どもに対して話すという方法がChen氏によって提案されています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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