アンテナを従来の100分の1のサイズに縮められる「ナノメカニカル電磁アンテナ」
by coniferconifer
スマートフォンやタブレット、無線通信システム、レーダーといったアンテナを搭載した端末を小型化するには、アンテナそのものの小型化が必要ですが、一般的にアンテナは「波長の10分の1」よりも大きくなります。そんな中で、ノースイースタン大学の研究者らが、波長の1000分の1という極小サイズのアンテナを生み出しました。
Acoustically actuated ultra-compact NEMS magnetoelectric antennas | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-017-00343-8
Mini-antennas could power brain-computer interfaces, medical devices | Science | AAAS
http://www.sciencemag.org/news/2017/08/mini-antennas-could-power-brain-computer-interfaces-medical-devices
新たな小型アンテナを生み出したのはノースイースタン大学のNian Xiang Sun教授の率いる研究チーム。
アンテナは共振した電磁波を電圧に置き換えるという仕組みで、その大きさは受信する電磁波の波長と比例することになり、最小でも「波長の10分の1」の大きさが必要になるとのこと。
しかし、Sun教授らはアンテナは音波(音響波)とも共振するという点を利用し、同じ周波数でもっと波長の短い音波を拾うことでアンテナを小さくすることを思い付きました。
電磁波を音響波に素早く変換する必要があったため、素材として強磁性・圧電性の「薄膜」を使用。そして、Wi-Fiを含むGHz帯の周波数に適した円形の膜アンテナと、テレビやラジオで使用されるMHz帯の長方形の膜アンテナの制作に成功しました。サイズは「長さ1mm未満」で、同一チップ上に一緒に設置することが可能。同サイズのリングアンテナと2.5GHzの送受信で比較したところ、高い効率を示したとのこと。
アンテナの小型化が実現すれば、たとえばスマートフォンのさらなる小型化や衛星の小型化、さらにはネット接続可能な小型端末を体内に埋め込んだり飲み込んだりすることも可能になります。ただし、研究に対しては大きな一歩だと評価する声の一方で、大きなアンテナの製造が簡単な一方で超小型アンテナは製造が難しいと指摘する声もあり、さらなる研究が待たれるところです。
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