メモ

バッテリーなしで無線通信できるIoTに最適な技術「WiFi Backscatter」とは?

By Gilad Lotan

家電や自動車など、ありとあらゆる「モノ」をインターネットに接続することで、モノ同士を双方向に情報をやりとりさせ相互制御できる技術「Internet of Things(IoT:モノのインターネット)」は、次世代の情報通信技術として期待されています。モノをあたかも小型のPCにしてインターネットにつなげて、インターネット世界をハブとしてモノ同士を接続させる従来型のアプローチに対して、「レーダー技術を応用して電源なしでモノとモノを直接つなげデータのやりとりをする」という、まったく異なる技術「WiFi Backscatter」が発表されました。

WiFi Backscatter
http://iotwifi.cs.washington.edu/

New devices run on Wi-Fi signals alone - CNET
http://www.cnet.com/news/new-devices-run-on-wi-fi-signals-alone/

WiFi Backscatterをつかった無線通信のコンセプトが以下のムービーで説明されています。

WiFi Backscatter: Connecting RF-Powered Devices to the Internet - YouTube


インターネット通信に使われているWi-Fiはあまりにも多くの電力を消費しています。バッテリーなしでインターネットにアクセスできないものでしょうか?


WiFi Backscatterは、バッテリーなしで情報をやりとりすることができます。仕組みは、「RF Powered Device」(無線給電デバイス)がWi-Fiルータから受け取った電波を、PCなどの他の端末に反射(伝達)させるか……


まったく反射させないかを切り替え、信号を高速にON/OFFすることで2進数のデジタルデータとして送信するというもの。


WiFi Backscatter技術では、インターネットに接続するために必要な電力は10マイクロワット(0.01ミリワット)で、この電力はワイヤレスで給電してもらうため、RF Powered Deviceにバッテリーは不要というわけです。


WiFi Backscatterの動きを実験してみます。赤丸で囲まれた機械がRF Powered Deviceで、Wi-Fiルータからの電波を断続的に反射することでデータを送信します。


RF Powered Deviceの送信する様子は画面右下のモニターに表示されます。


画面左の黒い機械がWi-Fiルータ。


RF Powered Deviceによって送信されたデータは、画面奥のディスプレイに表示されます。


実施にWi-Fiルータからの電波をON/OFF切り替えて反射することで、データを送信することができています。


Wi-Fi電波を断続的に反射することでデータ送信を行う「WiFi Backscatter」技術は、ワシントン大学コンピュータ科学専攻のシャム・ゴーラコータ准教授の研究チームが開発したもの。

WiFi Backscatterの背景にある技術は戦闘機で用いられているステルス性で、電気的にレーダー反射断面積(Radar cross-section)を大きくしたり極小化したりすることでWi-Fi電波を断続的に反射しているとのこと。すでに2メートルの距離で毎秒1kbの速度での通信に成功しており、今後、無線通信できる距離を20メートルに伸ばす予定です。

WiFi Backscatterはデータ送信にバッテリーが不要なためスマート家電だけでなく衣服などの身につける物をデータ端末に変身させるのにもってこいと言え、既存のWi-Fi環境をそっくりそのまま利用できることからも、モノのインターネットを実現するのにぴったりな技術として期待されそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Googleやサムスンがスマートハウス向け通信規格開発を手がける企業連合を設立 - GIGAZINE

3G/4G・Wi-Fi接続できなくてもスマホ間でメッセージ・画像の送受信ができる無料アプリ「Cycro」は本当に使えるのかどうか試してみました - GIGAZINE

Googleが家庭用スマートデバイス市場に参入、予想される今後の展開は? - GIGAZINE

Googleがスマート火災警報器「Nest Protect」の開発元を3300億円で買収 - GIGAZINE

1km先と通信可能なWi-Fiトランシーバーで、通信エリアが従来比44倍拡大化 - GIGAZINE

スマートフォンなどのWi-Fiシグナルを増幅させるWiFi-ブースター「WN1000RP」 - GIGAZINE

Googleが気球を使ってどこでもWi-Fiによるネット接続を可能にする「Loon」の受信アンテナ公開、壮大な計画の一端が明らかに - GIGAZINE

真の自由を求めて自分たち専用のプライベートインターネットが海外で大流行中 - GIGAZINE

オープンソースで家の中のガジェットを自動化するシステム「SkyNet」 - GIGAZINE

インターネットの出現と進歩でかつての日常がどのように変化したかがわかる「リ・イマジネーション(再構築)」 - GIGAZINE

in メモ,   モバイル,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.