2045年に崩壊寸前の世界に出現したVRワールドOASIS創始者が隠した宝を探すスピルバーグ監督SF大作「Ready Player One」、原作は80年代オタク直撃「ゲームウォーズ」
世界的なエネルギー危機によって貧富の差が拡大して荒廃した近未来、人々がのめり込む「オアシス」というコンピューターの仮想世界で、オアシス開発者であり億万長者であるジェームズ・ハリデーの遺産を手に入れるべく「宝探し」が始まる……というSF映画「Ready Player One」予告編が公開されました。スティーブン・スピルバーグが監督した本作の予告編では、バッドマンシリーズの登場人物であるハーレイ・クインや「エルム街の悪夢」のフレディ・クルーガー、「AKIRA」の金田バイクや「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのデロリアンなど、さまざまなフィクションのキャラクター・アイテムと見られるものが次々に登場しています。
Ready Player One - SDCC Teaser - Warner Bros. UK - YouTube
舞台はエネルギー危機によって貧富の差が拡大した近未来のアメリカ。街は荒廃しまくってスラム街のような雰囲気になっています。
貧しい人々はトレーラーハウスで暮らす生活を送ります。
主人公はトレーラーハウスで暮らすギークの少年、ウェイド。
自作っぽいガジェットを手に取り……
装着。
グローブに……
VRヘッドセットを装着。
そしてネットワーク「オアシス」の仮想空間の中へ。
仮装空間の中を歩くウェイド。隣にはハーレイ・クインやデスストロークと思われる人影が歩いています。
アイアン・ジャイアントなど、既存作品のキャラクターと思わしき姿が次々に登場します。
「オアシス」空間の中に現れた警官たち。
オアシス空間と現実世界は連動しており、現実世界も慌ただしくなります。
特殊なスーツを着て配置につく人々。
腕を伸ばし……
ぐっと引くと……
バーチャル空間では警官たちがパトカーの扉を開きました。
シートにつき、エンジンをかけていきます。
出動。
同じくして、エンジンのかかるバイク。
パトカーが吹っ飛ばされるなか……
「AKIRA」の金田バイクと思われるものがさっそうと現れます。
途中で途切れた車道をジャンプし次々と破壊されていく車。
巨大な塊が振り子のように街を襲い、デロリアンや金田バイクがその中を駆け抜けていきます。
しかし、これらは仮想空間の中の出来事。何かに驚いたように主人公のウェイドがVRヘッドセットを外せば、そこには荒廃した現実が広がっていました。
原作である小説「Ready Player One」は「ゲームウォーズ」という邦題で翻訳されており、あらすじは以下の通り。
ゲームウォーズ(上) (SB文庫) | アーネスト・クライン, toi8, 池田 真紀子 |本 | 通販 | Amazon
西暦2041年。革新的なネットワーク〈オアシス〉が張りめぐらされた世界は、深刻なエネルギー危機に陥っていた。
多くの人々はそうした現実から逃避するように、〈オアシス〉と呼ばれるコンピュータの仮想世界にのめりこんでいた。
ある日、〈オアシス〉のコンピュータ画面に、突然「ジェームズ・ハリデー死去」のニューステロップが現れた。
ジェームズ・ハリデーとは、〈オアシス〉を開発し、運営する世界的億万長者。ゲーム界のカリスマ的存在だ。
テロップに続いて、ハリデーの遺書ともいえるビデオメッセージが現れ、〈オアシス〉内に隠したイースターエッグを一番先に見つけたものに、遺産のすべてをゆずることが宣言された――。
また、以下のようなAmazonレビューが投稿されています。
オタク小説だと思って手にしない読者は大いなる損失を被ることになりそうだ, 2014/9/13
西暦2045年2月11日、ネット上のバーチャル空間OASISで主人公の「ぼく」のアバター名パーシバルが俄かに知られるようになった。コッパー・キーを世界で最初に手に入れたのがこの「ぼく」だからだ。それは、OASISの創設者・故ジェームズ・ハリデーが仕組んだ莫大な遺産のありかにたどり着くための第一の鍵だ。この日を境に様々なOASISユーザーたちが、いち早く遺産の隠し場所を見つけようと「ぼく」の後を追い始める…。
「オモチャ箱をひっくり返したような」という言葉がこうも相応しい作品は他にないでしょう。しかもそこに詰まっているのは、著者が青春時代に愛を注いだ80年代ポップカルチャーの数々。本作はそれらのオモチャ片手に冒険ごっこを繰り広げるトンでもない小説です。
超天才ゲームクリエイター・ジェームズ・ハリデーの死後、彼の遺言ビデオメッセージが公開された。その内容は彼が仮想現実<OASIS>に仕掛けたクエストを解いた者にその遺産を授けるというもの。それを機に世界中がそのゲームに熱狂し、主人公の少年もまた謎解きに明け暮れていた……というのが物語のあらすじ。何だかHUNTER×HUNTERのグリード・アイランド編とサマーウォーズを組み合わせたかのような世界にも思えます。
しかし本作が面白いのは、仮想現実のアバターやアイテム、あるいは単なる駄話のネタとして、とにかく実在のいろんなものが登場する点にあります。スター・ウォーズ、マグマ大使、D&D、セサミストリート、モンティ・パイソン、超時空要塞マクロス、ストリート・ファイター、オインゴ・ボインゴ、ハイランダー、AC/DC、アタリ800XL、……、と固有名詞を羅列すればきりがないほど。そうしたギーク知識の競い合いが公然と行われ、仮想世界にそれらの作品が再現され、ともはや何でもアリです。
そしてこの物語のヴィラン、憎むべき敵は世界的大企業!
やつらはインターネットを植民地化し、ユーザーから搾取し、コミュをステマの道具にせんとする悪の帝国だ!
やつらは狡猾だ!裏工作、不正アクセス、レアアイテムの買占め、プロバイダの情報を抜いてリアルで圧力もかけてくる!
奴らに富豪が持つネットの権利を奪われてしまったら、世界は悪に支配されてしまう!
主人公たちはそんな悪党の横暴を止めるために立ち上がった戦士だ。
最初は金のため、夢のために衝突していたオタクたちも、やがて倒すべき悪の存在に気づき、そして集結していく…。
富豪が用意したのは、オタクとしての"濃さ"を試すゲームだ。
主人公たちは物語の中で幾度と無くオタクとしての知識を試される。
そしてこの本は読み手にもまたオタクとしての資質を要求してくる。
読み手もまたゲームの参加者なのだ。
想像力を欠くことなく最終章までたどり着く事のできた読み手は、主人公と同量の感動を得られる事を保障する。
先の説明の通りの物語。電脳世界での話は、最早新しくもなんともないが、
そこに1980年代のサブカルチャーを旨く絡ませ オリジナリティを出している。
一応ジャンル的にはSFとなってはいるが、科学知識小学生並みでも十分楽しめる。
文章もよみやすく、SFにありがちな、ただ長いだけの説明が延々と続くこともない。
電脳世界のはなしなので、「マトリクス」をはるかに超えた魔法的演出(いや、電脳世界の中に
魔法が使える場所があるのだ)などもあってファンタジー要素も含む。
おまけに、下巻ともなると メカゴジラやガンダム、ウルトラマンなども登場しバトルをしだすので
もうSFといっていいのか難しい。しかし、そんな滅茶苦茶に思える展開も、巧みな世界観のおかげで
すんなりと納得できる。
本書の大きな魅力のひとつは、ゲームプレイの描写にあると思います。
30年ほど前のスパイ小説に「A‐10奪還チーム出動せよ」という作品がありました。
ここで描かれたカーチェイスがやたらとリアルで、実際に運転している以上に運転的な感覚を覚えたものでしたが、本書にも同類のものを感じました。
作者の、(或いは、訳者の)、ライターとしての力量に感服します。
そしてなにより、日本人として、このような作品を生み出してくれたことに感謝したい気持ちで一杯です。
なにしろ、ラスボスが「アレ」で、しかも、それを「ナニ」で倒すという超展開ですからwww
日本人なら、25章、35章は、笑いと涙なしには読めないはずです。
なお、映画は2018年3月30日に全米公開予定、日本での公開日は記事作成時点で未定となっています。
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