世界で2番目に飲まれている飲み物「お茶」の歴史がわかるムービー
水に次いで世界で2番目に飲まれている飲料が「お茶」です。トルコでは甘いチャイが飲まれ、対照的にチベットでは塩辛いバター茶、日本では抹茶など、お茶は消費される国によってさまざまな飲み方があるのですが、そんなお茶のルーツに迫るTEDのムービーが公開されています。
The history of tea - Shunan Teng - YouTube
中国の神話に登場する神農は、人々に効果のある薬草を見つけ出すため、山の中で目に付く草木を片っ端から食べて歩きました。その中には毒草もあり、神農は1日に72回も食中毒になったと言われています。
そんな中、神農が見つけたお茶の葉を口にしたところ、毒で弱ったからだを復活させる効果が得られたと伝えられています。
実際のところ、お茶の葉に解毒効果はありませんが、古代の中国でお茶が重宝されていたことを書き記しているわけです。
考古学では、世界で初めてお茶の木が栽培されたのは、約6000年前の中国だと言われています。ギザの大ピラミッドが建設される約1500年も前から、人々はお茶をたしなんでいたのかも。そんな中国のお茶の木は世界中で飲まれているお茶の源流になっているとのこと。
しかし、お茶の葉はもともと飲料として飲まれていたわけではなく、ある国では野菜として食べたり、ある国では穀物と混ぜておかゆにしたりと、古くは食物として消費されてきました。
約1500年前になり、ようやく人々はお茶の葉にお湯を入れると飲料として飲めることに気がついたそうです。
数百年の時を経て、お茶の飲み方は洗練されていきます。中国で乾燥させたお茶の葉を挽いて粉状にしたものとお湯を混ぜた飲料が誕生し……
その飲料は「末茶(抹茶)」と呼ばれるようになりました。
中国で抹茶は非常に人気の飲料になり、中国のお茶の文化の始まりになったとも言われています。その証拠に、中国の皇帝は本や詩とともにお茶をたしなんでいたこともわかっています。
9世紀の唐王朝時代、日本人の僧侶が初めてチャノキを日本に持ち帰ったとのこと。
それが日本の茶道文化の発祥となり、独特なお茶の作法を生み出すことにつながりました。
中国では、14世紀の明王朝時代にお茶が磁器や絹に並ぶ、重大な輸出財の1つに数えられるほどになったとのこと。輸出品としてお茶の人気が高まったことで中国に多大なる経済的影響力があっただけでなく、世界中にお茶が普及するきっかけになったそうです。
1600年代になると、オランダの商船がヨーロッパに大量のお茶を運ぶようになりました。
ヨーロッパに運ばれたお茶は、1661年にチャールズ2世と結婚したキャサリン・オブ・ブラガンザ王妃に親しまれ、王妃はイギリスに紅茶の文化を根付かせた功績者とされています。
また、当時のイギリスは植民地の拡大を続ける世界的強国でした。イギリスが世界的な影響力を強めるにつれ、世界中に紅茶の文化が広まっていくきっかけにもなったとのこと。
しかし、1700年までのお茶は中国で栽培されていたため、コーヒー豆の10倍の価格で販売されていたとのこと。
高価なお茶は貿易商品としても重宝され、交易に当時で世界最速の大型帆船「クリッパー船」が使われるなど、西洋の貿易会社間での激しい競争を生み出しました。
当時のイギリスはお茶の代金として銀を支払っていたそうですが……
「お茶の葉の対価として銀は高価すぎる」ということが発覚し、紅茶の支払いには麻薬のアヘンが使われるようになったとのこと。その結果、アヘンは中国で大量の中毒者を生み出し、重大な公衆衛生問題に発展しました。
1839年に、清王朝はアヘンを運ぶイギリス船を破壊するという声明を出しました。これがきっかけで、清とイギリスの間で2年間にわたって続けられた「アヘン戦争」が勃発したわけです。
アヘン戦争に勝利したイギリスは、香港を植民地化しました。
同じころ、イギリスの東インド会社はお茶をイギリスで栽培し、市場をコントロールすることを望みました。
そこでイギリスのプラントハンターであるロバート・フォーチュンは、中国からチャノキを盗み出し、インドのダージリンへ運んだことで知られています。
中国を起点に世界中に広まったお茶はさまざまな発展を遂げ、国によってまるで異なる味わいの飲料として世界中で親しまれています。外国を旅行する時にお茶を見かけたら、歴史的背景を考えながら飲んでみるのも面白いかもしれません。
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