少女にわいせつな行為をした男が「楽しんでいなかった」として無罪
2015年にクラスメイトだった当時17歳の少女を性的に虐待したとして告訴されていた男の行動が、「わいせつな意図ではなかった」としてメキシコで無罪に。判決に対しては「楽しんでいなかったら性的虐待ではないのか?」と大きな批判が巻き起こっています。
Mexican man cleared in sexual assault of schoolgirl because he didn't 'enjoy' it | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2017/mar/28/mexican-man-cleared-sexual-assault-schoolgirl-because-he-didnt-enjoy-it
Judge suspended over schoolgirl's sexual assault case that shocked Mexico | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2017/mar/29/mexico-sexual-assault-schoolgirl-appeal
Outrage over sex assault ruling in Mexico, judge suspended - ABC News
http://abcnews.go.com/International/wireStory/mexico-appeal-ruling-sex-assault-suspect-46448103
事件が起こったのは2015年1月。ニューイヤーズパーティーに出かけていた被害者の少女はクラブから帰ろうと迎えを待っている時に、裕福な2人の男に車に押し込められてレイプされ、その後、男らの自宅に連れ去られた後に3人目にレイプされたとのこと。今回無罪となったのは男らのうち4人目のDiego Cruzという人物で、Cruzは少女の胸に触ったあと性器に指を挿入するよう他の3人に促されました。Cruzは名のある裕福な家庭の息子で、被害者の少女とは同じ私立校に通うクラスメイトだったとのこと。
Anuar Gonzalez Hemadi裁判官は事件に関して、「もし証拠が『性的な欲望を満たすために行われた行動』であるということを証明できなければ、愛撫は性的な行動とは考えられない」、また「被害者は攻撃者に行為をやめるよう嘆願した後、車のフロントシートに移動できたことを考えると、彼女は『防御の手段がなかった』とは言えない」と語ったとのこと。
by Joe Gratz
この判決はメキシコで大きな批判を呼び、ジェンダー問題のアクティビストのEstefanía Vela Barba氏は「性的に彼女に触っても、行為を楽しんでなかったら性的虐待ではないというのですか?行為の中に楽しみがなかったとしても、屈辱を引き起こすことを目的としています。彼らは彼女に触れ、彼女の平穏をかき乱しました。それなのに裁判官にとっては楽しみの目的がないと性的虐待でないのです」「頭のおかしい女性が言っているのではなく、裁判の口から『もしあなたの意志に反して誰かがあなたに触れたとしても、その行為は虐待ではないかもしれない』ということが語られたのです」と強く非難しました。
なお、Cruz以外の3人のうち2人はレイプで告訴されていますが、これは少女の父親が犯人の男らを非難する社会運動を始めたため。当初、当局はこの事件を数カ月間無視していたのですが、少女の父親が3人の男が白状する様子が映ったムービーを持って出版社に話を持ち込んだことで事件が明るみに出ます。テレビや新聞、SNSで多く取り上げられ、事件を起こしたのがエリート家庭の息子だったことから、「メキシコのエリート家庭の子どもは暴力をふるっても罪に問われないことの例だ」と議論が起こりました。そして、最終的に告訴にいたったわけです。
今回の判決についてもメディアから非難を浴びているほか、検察側は判決に対して異議を示しており、上訴する意志を示しています。連邦司法協議会も「このような深刻なケースでは、上訴が決まるまで被告は拘置されるだろう」と語っています。また、事態の調査が行われ、Hemadi裁判官は停職処分になるとのこと。
事件から15カ月後、被害者の少女は自身のFacebookページで「私には後悔することは何もありません。私はパーティーに行って、他の同年代の女の子たちと同じようにミニスカートをはいていました。そのことで私は裁かれるのでしょうか?私が、私の身に起こったことにふさわしいというのでしょうか?」と語りました。
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