宅配トラックからドローンを飛ばして軒先まで商品を届けるテストを運送会社のUPSが開始
宅配便サービスを提供するUPSが、ドローンを用いた配達計画を発表しました。UPSはこの計画で、配達用トラックにドローンを内蔵することで、トラックの走行経路近くにある配達先へドローンを使って荷物を配達することを狙っており、2017年2月20日には実地テストがスタートしています。
UPS Tests Residential Delivery Via Drone Launched From atop Package Car
https://pressroom.ups.com/pressroom/ContentDetailsViewer.page?ConceptType=PressReleases&id=1487687844847-162
UPS has a delivery truck that can launch a drone - The Verge
http://www.theverge.com/2017/2/21/14691062/ups-drone-delivery-truck-test-completed-video
2017年2月に行われた最初のテストは成功に終わったそうですが、UPSは依然としてこのドローンを用いた配達システムを現場に導入できる段階にはありません。事実、海外ニュースメディアのTechCrunchによるとドローンは離陸に失敗して墜落したとのことで、「2度目のドローンテストは失敗に終わった」と報じています。
それでもドローンを用いた新しい配達システムの構築はとても斬新な取り組みに見えます。UPSはドローンを用いることで「配達員を減らすこと」を狙っているわけではなく、「配達員の仕事量を減らすこと」を狙っているという点も評価できるポイント。特に、人里離れた場所での配達時などでは、ドローンがより有用に感じられるかもしれません。UPSのマーク・ウォーレス氏は「農村地では、ひとつの荷物を届けるために我々の配達用トラックは何マイルも走らなければいけません」と述べており、実際、配達にドローンを活用することで配達用トラックの走行距離は企業全体で1日当り6万6000マイル(約10万km)減少し、年間5000万ドル(約57億円)の経費削減につながるとUPSは見積もっています。
UPSは配達用トラックにドローンを内蔵するために、Workhorseという企業と協力しています。ドローンを内蔵する配達トラックの外観は他の配達用トラックとそれほど変わりませんが、車内にはドローンを格納するためのスペースと、車内からドローンを離陸させるためのスペースが設けられています。
実際に配達用トラックからドローンが離陸して配達先まで飛んで行く様子は以下のムービーで見ることができます。
UPS Tests Residential Delivery Via Drone – B-Roll - YouTube
田舎道を走る1台のトラック
これがUPSが開発したドローン内蔵の配達用トラックです。
見た目は普通のトラックとほぼ同じですが、天井部分に何やら出っ張り部分があります。
配達員の女性がトラックの荷台へ入っていきます。
配達する荷物を手に取り……
カゴのようなものの中に荷物を収めます。
そして運転席へ戻り……
ハンドル横に取り付けられたパネルを操作します。パネル上に表示された地図をタップして配達先を指定し……
配達先の情報や配達する荷物の数を確認しているようです。
パネルでの操作が終わると、トラックのルーフがスライドし始めます。
そしてここからドローンが離陸。
トラックの荷台から見るとこんな感じで、荷物を入れるカゴのくっついたドローンがせり上がっていき……
トラックのルーフにドローンが登場。
そのまま離陸します。
ドローンは最大30分間飛行可能で、運べる荷物の重さは10ポンド(約4.5kg)まで。
ドローンが飛び立ったことを確認したら……
配達員はそのままトラックを発進させてしまいました。
荷物を積んだドローンは配達先までひとりで飛んで行きます。
配達先に降下していくドローン。
その間、配達員はトラックを運転して次の配達先まで移動すればOK。
荷物を届けたら、ドローンは再び出発。
ドローンが荷物を届けている間に配達員も他の配達先に荷物を届けます。
配達員が他の荷物を届けたところで……
ドローンが帰ってきました。
トラックにドローンを格納したら……
次の配達先へ移動。すべての荷物の配達をドローンが行うというわけではなく、「遠隔地の配達のみドローンにお願いする」といった具合に配達員とドローンが分業することで配達効率を高めることができるというわけです。
さらに、以下のムービーはUPSの配達用ドローン視点で撮影された360度ムービー。配達用トラックから離陸し、荷物を届け、トラックに戻ってくるまでの様子をドローン視点で見ることが可能で、360度ムービーなので視点を自由に変更可能です。
UPS Tests Residential Delivery Via Drone – 360 - YouTube
画面をドラッグするか、画面左上にあるアイコンを使うことで視点を変更できます。
現在のところ、アメリカの連邦航空局(FAA)は依然としてドローンは操縦者の視界内にとどまらせておく必要があるとしており、この規制によりUPSの計画している方式のドローン配達は実現できません。しかし、テクノロジーの進歩は産業全体で進んでおり、ドローンを用いたサービスの展開を計画している各社の働きかけにより規制緩和に向けた動きも徐々に進んでいるそうです。
・関連記事
Amazonがついにドローンによる商品の投下配達「Prime Air」を開始 - GIGAZINE
ドローン宅配の実用化に向け、セブン・イレブンが世界初の「ドローン宅配」のテスト飛行に成功 - GIGAZINE
郵便局がドローンを使った配達を試験的にスタート、2016年末までにドローン配達実現か? - GIGAZINE
Googleのドローン配達は数年以内に運用スタートか - GIGAZINE
空飛ぶドローンを使ってお店からビールを配達してくれるテストが進行中 - GIGAZINE
・関連コンテンツ