「100%正しい地図」がこの世に存在しないのはなぜか?


学校の教科書やGoogleマップや旅行の本などに載っている地図の多くはメルカトル図法によって描かれたものですが、メルカトル図法による地図にはいくつか間違いが含まれます。球体である地球を平面の地図にする際にはどうしても「ゆがみ」が生じてしまうものですが、では、地図はどのようにゆがんでいて、「正確な地図」を選ぶにはどうすればいいのかが、YouTubeのムービーでわかりやすく解説されています。

Why all world maps are wrong - YouTube


Googleマップなどは世界地図を平面上で表現していますが、そもそも地球は丸いもの。では、丸い地球をどのようにして平面に直しているのでしょうか?


ということで、取り出したのはナイフ。


ナイフで地球儀の形をしたビニールボールを裂いていきます。


そして、切り裂いた地球儀を平面の地図に直していきますが……


引っ張ったり伸ばしたり、何をどう頑張ってもシワのない真っ平らな地図にはなりません。


球体である地球儀をゆがみのない平面地図に直すことは不可能である、というのは物理学者・数学者のカール・フリードリヒ・ガウスが証明していることです。


1500年ごろから、数学者たちは地球儀を平面を直すアルゴリズムについて考えていました。


このプロセスは「投影」と呼ばれます。有名な投影法の考え方の1つには、地球儀を筒の中に入れ……


筒の表面に地球儀を投影していく、というものがあります。


この筒を開くと、平面の地図が完成していく、というわけです。


投影法で用いられる「投影される物体」は筒の他にも色んなものがあり、投影される物体の違いによって、平面地図の形には違いが生まれます。


これらの地図は、形・距離・方向・土地面積がトレードオフの関係にあるため、「どれかが最も正確な地図」というものではありません。そのため、地図が人に間違った考えを抱かせるか、役立つのかは、地図の用途によります。


例えば、アメリカや日本の教育現場で使われている地図は、メルカトル図法によるものです。


Googleマップもメルカトル図法の地図を使用しています。


メルカトル図法の利点は、まず、狭い範囲であれば形がほぼ正確に反映されていること。


しかし、メルカトル図法の真の目的は「ナビゲーション」にあります。メルカトル図法は「方向」が正しく示されているため、コンパスを使って太平洋を横断して船旅を行う時などに正確性を発揮するのです。


地図上で2点の場所を結んだ時に……


現れる角度をコンパス上で再現することで、目的地にたどり着けるようになっています。


メルカトル図法の地図に引かれた直線は、地球儀に戻した時に最短距離にはなりませんが、非常にシンプルで信頼できる道筋を示してくれるというわけです。


ゲラルドゥス・メルカトルが16世紀にメルカトル図法を編み出した際、それぞれの土地の方向を正確に示すため、緯線と緯線の間の距離を調整しました。


また、経度と合わせて正確な角度の格子となるようにも調整されました。


この結果、メルカトル図法を使うと面積が不正確になることに。メルカトル図法の地図上におけるグリーンランドとアフリカは同じ大きさですが……


実際にはグリーンランドはアフリカ大陸よりもずっと小さいのです。


地球儀に同じサイズの水玉を描いてから、メルカトル図法による投影を行うと、実際に土地のサイズがどのくらい違うのかがわかります。


以下の地図を見てみると、水玉はどれも同じ形ですが、サイズが異なり、両極に近づくほど大きくなっています。そのため、メルカトル図法は「ヨーロッパの帝国主義の現れである」と批判されることも。


そこで、国のサイズを正確に反映させたのがガル・ピーターズ図法による地図。


先ほど同じサイズで描かれていたグリーンランドとアフリカですが、ガル・ピーターズ図法によって投影されると、以下のように全くサイズが異なるのがわかります。


しかし、今度は国の「形」にゆがみが生じてしまいました。


上記のように、「全てにおいて最も正確な地図」が存在しないため、さまざまな地図が生み出されてきました。しかし、1960年代に入ると、「ナビゲーション」という、平面地図の持つ最も大きな使用目的が変化します。


宇宙へと送られた人工衛星が、世界中にあるレシーバーに位置情報やナビゲーションのデータを送信するようになると、平面地図に求められるものが「正確なナビゲーション」よりも「美しさ」や「デザイン」になってきたのです。そして「誤解を防ぎたい」と考える地図製作者の中にはメルカトル図法を避ける人も出てきました。


しかし、Googleマップには今もなおメルカトル図法の地図が使われています。


これは狭い範囲であれば土地の形や角度が正確であるということが理由。地図上で「向かって左側の90度の角を曲がる」ということが示されている場所は、現実の場所でも90度の曲がり角が存在するためです。


一方で、ナショナルジオグラフィックでは「サイズと形が正確である」という理由から「ヴィンケル図法」と呼ばれる方法で投影された地図を採用しています。


このように、現代ではさまざまな方法によって投影された地図が用途に合わせて使用されていますが、重要なのは「『どんな状況でも使用できる100%正しい地図』はない」ということ。地図を選ぶ際には、土地のサイズを正確に表示すべきなのか、形を正確に表示すべきなのか、距離や方向を表示すべきなのか、といった観点を忘れないことが大切です。

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