FacebookのWi-Fi提供ドローンは20Gbpsの超高速通信を実現しドローン同士で帯域を分け合えるようになる
インターネット環境の整わない過疎地に太陽光で飛び続けるドローンを使ってモバイル通信を提供しようとするFacebookは、新たにミリ波を使って20Gpbsを超える高速回線を提供しようと実験を繰り返しています。さらに、空中をただよう複数のドローンが高速回線の帯域を互いにシェアする技術の開発も進んでいます。
Facebook demonstrates record-breaking data rate using millimeter-wave technology | Engineering Blog | Facebook Code
https://code.facebook.com/posts/1197678800270377/facebook-demonstrates-record-breaking-data-rate-using-millimeter-wave-technology/
Facebookが取り組むミリ波を使った帯域シェアシステムについては以下のムービーで確認できます。
Inside Facebook's Quest to Beam the Internet Via Solar Drone | WIRED - YouTube
Facebookは空中からモバイル回線を提供するドローン「Aquila」の実証実験を行っています。
すでに空中での飛行試験を繰り返すAquilaのモバイル回線速度を高める研究がAquilaとは別に並行的に行われています。
エンジニアのアブヒシェク・ティワリさんが開発を進めているのは、なんと一般的な家庭用インターネット通信の400倍高速な「20Gbps」での超高速通信だとのこと。
20Gpbsという帯域であれば、1000個の4Kストリーミングムービーを同時に再生することができるとティワリさんは述べています。
ティワリさんが作業しているのは……
ミリ波を使う超高速通信モジュール。
セスナの下に取り付けます。
ミリ波を使って地上の基地局とやりとりします。
いよいよ試験飛行の日。
地上にはミリ波を送受信する巨大なアンテナ。
ミリ波アンテナはすぐにセスナのモジュールとの通信に成功しました。
ミリ波を使って地上の基地局から信号を受信したAquilaは……
空中を飛行する他のAquilaと通信して……
帯域を分け合うことが可能です。このため、狭いエリアに集中的に超高速通信を提供したり、より広範囲に通信環境を提供したりといった使い分けが可能になります。
空中からモバイル回線を提供しようとする試みはFacebookだけのものではありません。GoogleはProject Loonという気球を使った実験を行っており……
Airbusは「Zephyr」というドローンを使ってFacebook同様の実験を繰り返しています。
Facebookが今回20Gbpsという超高速通信を可能にする技術をAquilaに搭載すれば、これまでの「通信環境が整わない過疎地にモバイル回線環境を提供する」という用途とは別の利用方法が考えられます。
例えば、ハリケーンによる被害を受けて通信環境が壊滅的な状況に陥っていっている地域の上空に、Aquilaを出動させて緊急的なモバイル回線の復旧という使い方が可能です。
これによって、Facebookの安否確認ツールを災害発生から間もない時間で使えるようになりそうです。
すでに2万フィート上空のセスナとの間で20Gbpsの高速通信に成功させたFacebookは、2017年前半にはアップロード・ダウンロードともに40Gbpsの速度を実現する第二世代の空対地双方向リンクシステムを実現させる予定です。
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