Twitter・Facebook投稿のポジティブさを人工知能が採点しスコアに応じて給油できるガソリンスタンド「Positivity Pump」
自動車ブランドのシボレーが、その人の性格の「ポジティブさ」をもとにガソリンを無料で入れることができるガソリンスタンド「Positivity Pump」(ポジティブさスタンド)を設置するキャンペーンを進めています。スタンド内には専用の給油機が設置され、FacebookやTwitterといったSNSアカウントの投稿をもとにIBMの人工知能「WATSON」がその人のポジティブさを採点して、スコアに応じたガソリンがもらえるようになっています。
Chevy’s new ad campaign uses IBM’s Watson to induce self-reflection | Ars Technica
http://arstechnica.com/cars/2016/09/chevys-new-saccharine-ad-campaign-uses-ibms-watson-to-induce-self-reflection/
「Positivity Pump」はシボレーが実施している広告キャンペーン「Fueling Possibilities」(ポジティブさを満タンに)の一環として実施されているもの。その狙いは以下のムービーで語られています。
Fueling Possibilities: Welcome To The Positivity Pump | Chevrolet - YouTube
現在、1秒あたり2万6000件ものネガティブなコメントがネット上に投稿されています。
シボレーは、「ポジティブさ」こそが社会を前進させるものということを示したい。
そこで、シボレーは世界で初めての「オンライン上のポジティブさで支払いができるガソリンスタンド」を作りました。
そして、世界3か所にすでに設置済み。
アメリカのニューオーリンズ
アルゼンチンのブエノスアイレス
そして、南アフリカのケープタウンの3か所
「Positivity Pumpへようこそ」と話しかけられる男性
画面にはかわいらしいキャラクターが登場
「あなたのポジティブさでガソリン代が払えます」という説明とともに、FacebookとTwitterのアカウントを選ぶ画面が表示されます。このどちらか、あるいは両方の投稿内容をIBMのWATSONが分析することで、その人の性格を診断するという仕組みです。
つぶやきや投稿の内容が診断され、採点が行われます。
この人の場合は、200点満点のうちポジティブさは120点。47リッターのガソリンをゲットしました。前向きになることがこんな形で報われるのなら、それはそれで良いことなのかもしれません。
さらにWATSONは発言内容を分析し、どういった嗜好を持っているのかも特定することで、好みそうな場所を提案してくれます。
プリントアウトされた紙を見る女性
「あなたは音楽を勉強していますね」というメッセージとともに……
オススメの訪問先が紹介されました。この人の場合は、ジャズミュージシャンが集まるスポット。さすがは音楽の街、ニューオーリンズといったところ。
そこで待っていたのは、新たなミュージシャンとの出会い。前向きな性格が新たな人とのつながりに結びつく、というわけです。
料理を真剣に学んでいる男性には、あるレストランが紹介され……
シェフと料理について語り合えることに。
写真を学んでいるこの女性には……
ケープタウンにあるロッククライミングの名所での撮影を行うチャンスが訪れました。
「ポジティブさを見つけ、新しい道を見つけよう」というシボレーからのメッセージ。
「Positivity Pump」は2016年後半にかけてさらにいくつかの場所で設置されることになっています。なお、以下の公式サイトにアクセスすると、WATSONの性格診断を受けることができるようになっています。
Fueling Possibilities: Positivity Pump | Chevrolet
http://www.findnewroads.com/
チェックを入れてから、TwitterかFacebookをクリック。今回はTwitterにしてみます。なお、この分析は英語やスペイン語、韓国語などで利用が可能。下部の選択肢に日本語は含まれていませんが、実際には分析の一部を利用できるようになっています。
ユーザー名を入力し、「SUBMIT」をクリック。ここで入力するユーザー名は自分のものでなく、他人のでもOKです。
「CONTINUE WITH TWITTER」をクリック
すると解析が始まります。ポジティブな内容が含まれている場合は、このように緑色のバーが表示され……
ネガティブな内容の場合は、赤色のバーが表示されます。ちなみにここで発言されているのは「(CNN社長の)ジェフ・ザッカーはかつてNBCをダメにして、今度はCNNをダメにしようとしている」という批判的な内容。
最後にスコアが200満点で表示されました。アメリカ大統領候補のドナルド・トランプ氏のスコアは117点と、平均点とピッタリ一致。点数の下には「あなたは良い物事の見方を持っています」と書かれています。
さらに下にスクロールすると、発言の内容が分析されていました。トランプ氏の「最もポジティブな投稿」と「最もポジティブでない投稿」がリストアップされ……
次に、最もよく使われていたポジティブな単語トップ5が表示されました。トランプ氏の場合は「THANK (ありがとう)」が29回でトップ。
さらに下に進むと、今度は性格分析が行われ……
結果が表示されました。WATSONはトランプ氏の性格を「社会的、行動的で、きちょうめん」と分析。さらに「共感性が強い」「自信にあふれている」といった内容が並んでいます。
トランプ氏の性格の3つの特長は「Empathetic(共感性が強い )」「Altruistic(利他的)」「Dutiful(礼儀正しい)」という、実に興味深いものになっています。
社会的パーソナリティの分析をもとにすると、トランプ氏が強く望むものは「Stability(安定性)」という結果が出ました。これは、生涯で何度も破産と大成功を繰り返してきたトランプ氏を考えると思わず「なるほど」といってしまいそうな結果。
最後に、「シボレーは、少しのポジティブさによって新しい道が開かれると信じています。以下のどれかを挑戦に掲げ、進んで行きましょう」という言葉とともに示された目標の1つが「Run For Local Government(地方の政治家に立候補しましょう)」という、ガチなのか仕込みなのかわからない選択肢が出てビックリ。WATSONはなかなかの性能を備えているようです。
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