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この地球上に「触れられていない」場所はもう存在しないことが判明

by Andy Cull

「誰にも知られていない秘境」といったワードは旅行のパンフレットなどでもよく見かけられ、映画のテーマとして取り上げられることもあります。しかし、最新の調査によって、もはや地球上に「誰にも触れられていないまっさらな場所」は存在しないことが明らかになっています。

It's official: there are no more 'untouched' places left on Earth - ScienceAlert
http://www.sciencealert.com/it-s-official-there-are-no-more-untouched-places-left-on-earth

オックスフォード大学の考古学者であるニコル・ボイバン氏とドイツにあるMax Planck Institute for the Science of Human Historyは過去30年にわたって考古学研究の調査を行い、古代に存在した生物のDNAのデータセットや統計学的モデルを調べました。その結果、「人間が地球に与えたインパクトは産業革命による社会やテクノロジーの変化から始まったことではなく、更新世の後期には既に発生していた。人類の人口増加が生き物の絶滅に関係したという例は19万5000年前にまでさかのぼる」ということが判明。この最たる例が1万~5万年前に発生した大型動物相の激減で、種子を散布する動物が減ったことで地球の生態系は大きな影響を受けたと研究者らは語っています。

また、人類が農耕を始めたことで、植物や動物は種の散布に関して前代未聞の影響を受けました。この時、人間の農耕をきっかけに絶滅した生き物も存在しますが、その逆で人間に好まれた犬・羊・ヤギ・鶏・牛などは数が激増しました。

by Jay Melnick

さらに、人類が島を植民地化しだすと、島には新しい動植物が持ち込まれ、反対に島古来の種は外の世界へと持ち出されます。青銅時代には通商がさかんになり、これらの傾向が加速。以後、産業革命に至るまで人間が島古来の生態系に与える影響は強くなっていきました。つまり、外の世界にいた人々がこれまで他界とつながりを持たなかった島に入植し、食べるための家畜を育てることで、人類は地球にインパクトを与え続けてきたわけです。

上記のことから、研究者らは「もし私たちが、現在地球が直面している脅威から地球を守りたいのならば、より実用的で幅広いアプローチを取る必要があります」と語っています。「考古学的な証拠は、人類が与える深い影響を理解し認識するのに重要です。もし『人間が環境にどのような影響を与えているのか』ということの理解を深め、現存する生き物を保護していきたいならば、考え方を変える必要があるかもしれません。『地球を元の状態に戻そう』という考えではなく、『どのようにすればキレイな空気と新鮮な水を未来に残していけるのか』と考えるべきなのです」とボイビン氏は語りました。なぜなら「元の状態の地球」は、ここ何千年もの間、存在していないため。私たちは、かつて存在したと考えられている想像上のオアシスを取り戻そうとするのではく、「今」地球に対して行える善行に集中する必要があります。

「考古学の数多くのデータは『人間は地球の生態系を作りなおし、劇的に変化させることができる』ということを示しています。そうなると、次は『私たちは未来のためにどのような生態系を作り出していくのか?』という疑問が発生します」とボイビン氏は語っており、人間や他の生き物を幸福にし、大規模な種の絶滅を防ぎ、気候の変化を防ぐような新たな生態系を構築することが今後の重要な課題になることを示唆しました。

by JD Hancock

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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