レーザー光を照射してキズ1つ付けることなく金属のサビを落としてキレイにする驚きのレーザークリーナー

ベルギーの企業「P-Laser」が開発したレーザークリーナーは、高いエネルギーを持つレーザーを対象物に当てることで、一切触れることなく汚れだけを一瞬で取り除けるという魔法のようなクリーナーです。

Laser Cleaning: HIGH POWER 1000W! - YouTube

「バリバリバリ」という音とともに画面の向こうからこっちに近づいてくる光の帯。光が当たっている鉄板は赤茶色のサビで覆われています。

光が通ったあとの表面は、元の輝きを取り戻しています。

光の原因は、どうやら除去されたサビが熱されたことによるもの。細かい粒子のようなものが跳ね上げられている様子がわかります。

こんな風に、すっかりサビに覆われた鉄の部品も……

「バリバリバリ」とやるだけで、面白いようにサビが落とされています。使用しているのは、手で簡単に持てるほどのレーザー照射装置で、このデバイスは1kW(1000ワット)のレーザー出力を備えているタイプのようです。

手に持つだけでなく、NCマシンに取り付けて自動運転することも可能。

サビている部分とサビを除去した部分の違いがハッキリわかります。

サビ過ぎて捨ててしまいたくなるような部品でも、まるで新品のように復活するという驚きの装置。

この装置はサビだけでなく、塗装の除去にも役立つとのこと。表面に厚く塗装され、さらにサビが浮いているような部品でも……

レーザーの照射で一瞬にして金属の地肌がむき出しの状態に。

加工面は、すっかり新品に戻った様子。溶剤で表面を溶かしたり、ブラシでこすったりするわけではないので、下地にはまったくキズがつかないのが大きなメリットです。

この装置を開発したP-Laserは、用途や規模に応じて複数タイプのレーザークリーナーをラインナップしています。

P-Laser Industrial Laser Cleaning : degreasing, mould cleaning, anilox roller cleaning, selective paint stripping, removing oxide layers, car restauration
http://www.p-laser.com/

汚れが落ちる仕組みは以下の図のような感じ。金属の表面についた汚れやサビ、塗料に1秒に20万回という高速でレーザーパルスを照射して、高温のプラズマを発生させます。その熱で、物質を一瞬にして蒸発させて飛ばしてしまいます。この時、金属はレーザーを反射するので温度はほとんど上がりませんが、プラズマの熱で表面だけが酸化して、一種の被膜を作る効果があるとのこと。

素材にまったくキズを付けないことで、用途が一気に広がります。たとえば、ガラスのビンを作るような金型の表面もこのように一瞬でキレイに。金型は表面の乱れがそのまま製品に転写されてしまいますが、この装置を使えばキズの心配もなく汚れだけを除去できるというわけです。

Laser cleaning: Rust removal (2) - YouTube

また、人体にはまったく影響がないとのこと。作業中に誤って指にレーザーが当たっても、以下のムービーのようにまったく影響ない様子がわかります。

Laser cleaning: Rust removal

エンジンブロック表面の塗装や汚れ、さらには油脂類の除去も可能とのこと。

Motor Block Cleaning - YouTube

また、溶接などで酸化してしまった金属表面の汚れを除去することも可能。以下のムービーの30秒あたりでは、丸ノコの溶接跡を除去してしまう様子が収められています。

Laser Cleaning by P-laser - YouTube

このほかにも、汚れがついてしまった石像などのクリーニングにも使用可能とのこと。家庭用に使うには少しハードルの高そうなP-Laserのレーザークリーナーですが、1度この装置で電子レンジの中をキレイにしてみたくなってきます。