レビュー

ホテルチェーンを拡大しながらその株で自分の資産をどんどん増やしていく駆け引きが激アツな「アクワイア」プレイレビュー


1960年代に創案されたホテルチェーンの投資と合併をテーマにした「アクワイア」は、ルールをマイナーチェンジしながらも今もなおファンの多いボードゲームです。日本では、アークライトゲームズからボードやコマがプラスチック製の豪華仕様が日本語版としてリリースされており、2025年プレゼント企画に提供してもらったので実際に遊んでみました。

アクワイア - ArclightGames Official
https://arclightgames.jp/product/399pdh/

「アクワイア」日本語版のパッケージはこんな感じ。


対象年齢は12歳以上、プレイ人数は2~6人、プレイ時間は90分を想定。


箱を開けて中身をチェック。まずはルール説明書とプラスチック製のゲーム盤。


株価ボード6枚。表にはクラシックモード、裏にはタイクーンモードの株価表が記されています。


ゲーム内で使う紙幣。100ドル・500ドル・1000ドル・5000ドルの4種類。


そして、ゲーム中で売買される株券。7種類あります。


ホテルのモニュメントである本部コマ。


建物コマは全部で108個。ゲーム盤に対応した数字とアルファベットが書かれています。


本部バナーはオレンジ色の半透明なプラスチックパーツで、ランナーについていました。


本部バナーは切り離して、以下のように本部コマに取り付けます。


ゲーム中の手番や処理を記した早見表カードが1枚。


今回はタイクーンモード・所有株公開で、4人でプレイしました。ゲームの準備として、まずは机の中央にゲーム盤を置き、その横に建物コマを裏返した状態で置き、シャッフルします。


本部コマと株券は以下のように箱内に収納し、サプライとします。


各プレイヤーに株価ボードと紙幣を配布します。紙幣は100ドル×5枚、500ドル×3枚、1000ドル×4枚で、初期資金は合計6000ドル。


これで準備完了。今回は4人でプレイします。なお、プレイヤーのうち1人が株券と本部コマ、紙幣を管理する銀行役を務めます。


プレイの最初に、各プレイヤーは裏返した建物コマから1枚だけ引きます。


引いた建物コマをゲーム盤に、書かれている数字とアルファベットが一致するように配置します。そして、「1A」に一番近い場所に建物コマを配置したプレイヤーが最初の手番プレイヤーになります。この「近い」とは、アルファベットがより若い方が近いことになります。今回は「12A」が一番近いので、この「12A」の建物コマを引いた人からスタート。


次に、各プレイヤーは手札として建物コマを6個引きます。この建物コマは他人から見えないようにします。


ゲームは非常にシンプルで、自分の手番で「建物コマを置く」「株を買う(任意)」「建物コマを引く」の3アクションを行い、最終的に一番多くの資産を稼いだプレイヤーの勝利となります。

「建物コマを置く」では、ゲーム盤に自分の手札から建物コマを1つ置くことができます。今回、最初のプレイヤーは「12A」の横にある「11A」に建物コマを配置しました。


建物コマが2つ以上隣接すると、そこにホテルチェーンが設立されます。箱にある本部コマから好きなものを選択。


建物コマの上に黄色の本部コマを置き、ホテルチェーン「Tower」が設立されました。「おいおい、なんか隅っこにちっぽけなホテルチェーンができたぞ」「生き延びることができるのか?この経済という大海原を……」など、初のホテルチェーンに投資家たちからの厳しいコメントが浴びせられます。


ホテルチェーンを設立したプレイヤーは、最初にそのホテルチェーンの株券を1枚ゲットできます。


株券には株価が設定されています。現実の株価は高くなることもあれば低くなることもありますが、「アクワイア」ではホテルチェーンの建物コマが増えると株価が上がる一方で、下がることはありません。今回は「Tower」が建物コマ2マス分に設立されたので、株券1枚当たりの株価は200ドル。


建物コマを置いたら、次は設立済みホテルチェーンの「株を買う」ことができます。購入できる株券は1手番につき最大3枚までで、株券の種類は組み合わせ自由。今回は「Tower」の株券3枚を購入するので、200ドル×3枚=600ドルを支払う必要があります。なお、手元に得た株券を他のプレイヤーに公開するかしないかは、ゲームを始める前に決めておく必要があります。公開する方がゲームの流れがわかりやすくギャンブル性が減りますが、プレイ上で考える量は格段に増えるので、ゲーム性はかなり変わります。


手番の最後に、建物コマを1つ引いて手札に加えます。


各自が建物コマをつなげて、どんどんホテルチェーンを設立していきます。ただし、プレイヤーはホテルのオーナーではなく、株を買う投資家です。どんどん大きくなっていくホテルチェーンを見極めて投資し、その株券を買いあさっていきます。


建物コマが置かれてホテルチェーンの面積が増えると、株価がその面積に応じて上がっていくという仕組みです。つまり、自分が株券を所有しているホテルに建物コマをつなげて拡大していけば、株価もどんどん上がっていくというわけ。


しかし、ホテルチェーンを拡張していくと、他のホテルチェーンとぶつかることがあります。例えば、以下の赤い「SACKSON」と緑の「Festival」はかなり距離が近く、建物1つでつながってしまう状態。


ここで「10G」のマスに建物コマを配置すると、2つのホテルチェーンがくっついてしまいました。このように複数のホテルチェーンがくっついてしまうような場所に建物コマを置く場合、いったん裏返して建物コマを置きます。


くっついたホテルチェーンのうち、規模の小さい方のホテルチェーンは大きい方に吸収合併されてしまいます。今回だと、面積2マスの「Festival」は面積5マスの「SACKSON」に吸収合併され、「Festival」の本部コマは取り除かれます。


そして、吸収した方の「SACKSON」は面積が8マスに拡大。このように、ホテルチェーンは吸収合併を繰り返し、規模をどんどん大きくしていくのが狙いです。


ホテルチェーンが吸収合併されると本部コマはゲーム盤から消えますが、ここでそれまで所有していた株券が意味を持ちます。株主は持っている株券の枚数に応じて格付けが行われ、クラシックモードでは第2株主まで、タイクーンモードでは第3株主まで配当金が支払われます。


受け取れる配当金は、株価ボードに記されています。例えば、面積2マスの「Festival」が吸収合併された場合、最も株券を多く持っていた筆頭株主は3000ドル、第2株主は2200ドル、第3株主は1500ドルをゲット。


つまり、自分が投資しているホテルを大きくすることも大事なのですが、投資するための資金を稼ぐには「自分が投資しているホテルが吸収合併されること」が非常に重要。種銭がなければ株券は買えないわけで、「吸収合併されそうなホテルにしっかり投資しつつ、配当金を元手に他のホテルにも惜しみなく投資していく」ことがプレイの肝です。


さらに、配当金を受け取った後は株券を売ることが可能。さらに株券を売らずに「吸収合併したホテルチェーンの株券に交換」することも可能。交換レートは2:1。今回の買収だと、「Festival」の株券2枚を「SACKSON」の株券1枚に交換できました。


吸収合併を繰り返したり建物コマをつなげたりして、どんどん規模が大きくなっていくホテルチェーン。11マスを超えると「大規模ホテルチェーン」となり、吸収合併されなくなります。


ゲーム盤の右の方で「SACKSON」が大規模ホテルチェーンとして急成長していますが、左側では、オレンジ色の「IMPERIAL」が周囲のホテルチェーンをせっせと吸収合併して大きくなっていました。


ゲーム盤の上を飛び交う紙幣。ホテルチェーンの株券の枚数には限りがあるので、早めに株券を買わなければ、「手元にお金がたくさんあっても、あとから欲しくなっても買えない」という事態に陥ります。特に大規模ホテルチェーンは吸収合併されなくなるので、ゲーム後半にはもう買う手段がないということもあり得ます。


その場合は、小さいホテルチェーンをあえて吸収合併させて、その配当金を得ることで少しでも手持ちの資産を増やす戦略が重要になります。あるプレイヤーはゲーム盤上で唯一新しいホテルチェーンを建設できる場所の建物コマを確保しており、ゲーム終盤で突然建設して株券を購入し、配当金を得る作戦に出ました。


青いホテルチェーン「Continental」は配当金が高めなので、最後にちょっとでも手持ちの資産を増やそうとしたわけです。


最終的に、ゲーム盤は「Imperial」と「SACKSON」の2ホテルチェーンになりました。1つのホテルチェーンの面積が41マス以上、あるいはゲーム盤上の全てのホテルチェーンが大規模ホテルチェーンになると、手番プレイヤーは手番終了時にゲーム終了を宣言することができます。


ゲームが終了したら、自分の株券をすべて売却し、手元のお金と合わせて総資産を計算します。


「アクワイア」のルール自体は非常にシンプルで、ボードゲームに慣れていない人でも簡単に理解できます。しかし、どのホテルチェーンに投資を行うか、どのホテルチェーンを拡大させるかの駆け引きが非常に熱いゲームだと感じました。さらに戦略だけではなく、自分がどんな建物コマを引くのかという運もゲームの流れを大きく左右します。運と戦略のバランスが絶妙で、やり応えはしっかりとあり、半世紀以上愛されてきたゲームなのも納得。今回はタイクーンモード・所有株公開でプレイしましたが、クラシックモードかつ所有株非公開でプレイするとゲームの難度も上がり、よりひりつく経済戦争を繰り広げることが可能です。ただし、「株価ボードを見ながら株券の配当金や株価を確認し、お金をやりとりする」という処理が大変で、銀行役のプレイヤーにかなりの負荷がかかるので注意が必要です。

「アクワイア」はAmazon.co.jpだと税込5645円で購入可能。

Amazon | アークライト アクワイア (2-6人用 90分 12才以上向け) ボードゲーム | ボードゲーム | おもちゃ


また、アクワイアは2025年春のプレゼント企画でもゲットできます。

GIGAZINE春のプレゼント大放出企画「アンケートに答えて全部持っていってください!」 - GIGAZINE

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in レビュー,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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