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太陽光発電・低価格EV・カーシェアなど、テスラのマスク氏が今後の10年を示した「マスタープラン・パート2」とは?

By Olearys

EVメーカー「テスラモーターズ」を率いるイーロン・マスク氏が、今後の10年の展望を示す「Master Plan, Part Deux(マスタープラン:パート2)」を公表しました。マスク氏は2006年に最初のマスタープランを公表していたのですが、その内容はその後10年のテスラの発展をそのまま示すものとなっています。そのため、新たに発表された「マスタープラン:パート2」にも、おのずから注目が高まることになりそうです。

Master Plan, Part Deux | テスラモーターズジャパン
https://www.tesla.com/jp/blog/master-plan-part-deux

マスク氏はテスラのウェブサイトでブログを公開し、自ら今後のプランについて語っています。ブログではまず2006年に公表した1つめのマスタープランを要約し、その中身を振り返っています。

1.Create a low volume car, which would necessarily be expensive
2.Use that money to develop a medium volume car at a lower price
3.Use that money to create an affordable, high volume car
  And...
4.Provide solar power. No kidding, this has literally been on our website for 10 years.

(訳)
1.少量生産の自動車を作る。これは高価格帯のモデルでなければならない
2.ここで得られた資金で、比較的低い価格で中程度の生産ボリュームの自動車を作る
3.こうして得た資金で、手に入りやすい価格で大量に生産される自動車を作る
  そして……
4.太陽発電による電力を供給する。これは冗談ではなく、実際に我々のウェブサイトを10年間動かし続けている


テスラでは、このマスタープランが公表された2006年に最初のEV(電気自動車)となる「ロードスター」を発表。その後、同社の主力車種となった「モデルS」、それに続くSUVタイプの「モデルX」、そして同社初となる低価格EV「モデル3」を生みだし続けており、まさにマスク氏が立てたプランを着実に実行してきた流れとなっています。同時に、「4」で触れているようにエネルギー産業に向けたビジョンについても触れていました。

そして、10年後の2016年7月に公表した「マスタープラン:パート2」の要約がコレ。

・Create stunning solar roofs with seamlessly integrated battery storage
・Expand the electric vehicle product line to address all major segments
・Develop a self-driving capability that is 10X safer than manual via massive fleet learning
・Enable your car to make money for you when you aren't using it

(意訳)
・蓄電装置をシームレスに統合した、圧倒的な性能を持つ屋根型の太陽光発電パネルを作る
・EVのモデルを拡充して、全てのセグメントでモデルラインを展開する
・膨大な量のデータを用いて自動運転車を学習させ、人間が運転するよりも10倍も安全な運転性能を実現する
・ユーザーが自動車を使っていない時に、お金を生むことができる自動車を作る


つまりマスク氏は、太陽光発電システムの開発を進めることでエネルギー産業に参入していくこと、そしてこれまでのテスラが進めてきたEV戦略をさらに推し進め、市場における存在感を増すと同時に自動運転の性能を向上させること、また、カーシェアリングに対応した自動車を作り、オーナーが自動車を必要としない間に他の人に車両を貸し出すことで収入を得ることができる仕組みを実現することを今後10年のマスタープランとして打ち出しているということになります。

なお、テスラはすでに高性能なソーラーパネルを開発するなど、太陽光を用いたエネルギー生産と、そのようにして作った電力を溜めておけるシステムの開発を着々と進めています。

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同じエネルギー源でも、簡単に貯蔵が可能な石油などの物質に比べ、電力はどこかに貯蔵しておくことが容易ではありませんでした。そのため、日中しか発電ができない太陽光発電システムは普及に課題を抱えていたのですが、テスラが開発する「Powerwall」は各家庭に発電装置と蓄電装置を配備することで、自宅でもエネルギー生産と貯蔵を可能にするシステムとなっています。日本でも家庭への導入が始まっているエネファームもこれに似た仕組みですが、Powerwallは電気をそのまま貯めておけるという点が大きく異なる部分。

この蓄電装置を実現するために、テスラはパナソニックと共同でアメリカ・ネバダ州に超巨大なバッテリー工場「ギガファクトリー」の建設を進めており、まさに、自ら称する「エネルギー革新企業」への転換を着々と進めている模様。

自動車関連では、2015年に自動運転機能をリリースして以来、ユーザーの走行データを利用するなどして人工知能プログラムの開発を進めており、マスク氏が「テスラの自動運転は事故に遭う割合を50%低下させている」と語るなど、一定の進化を続けています。

また、2016年には離れた場所からテスラの自動車を呼び出せる機能「サモン」を投入しており、さらに高い自動運転技術の実用化に向けたビジョンを実現させていると言えます。

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ただし、オートパイロット機能にまつわるとされる事故も発生しているのも事実。全てがオートパイロットの過失とは言いきれない部分も残りますが、安全な自動運転技術の完成までにはまだ道半ばと言ったところかもしれません。

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2006年の「マスタープラン」に沿う形で、テスラは過去10年間にわたって成長を遂げてきました。テスラの今後を理解する上で、マスク氏の「マスタープラン:パート2」が重要な指針になることは必至です。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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