サイエンス

「言葉づかい」はどれほど相手にあなたの情報を伝えるのか

by Joe Kirschling

なまりや言葉遣いといった、人が話す際のアクセントは、「その人がどんな人であるのか」ということを言葉以上に相手に伝えます。母国語あるいは多言語のアクセントについて、相手にどんな情報が伝わるのか、なぜアクセントが生まれるのかなどについて、YouTubeの科学系チャンネル「AsapSCIENCE」が解説しています。

What Does Your Accent Say About You? - YouTube


「tomato」を「トマト」と発音するか「トメイトゥ」と発音するかなど、同じ単語でも出身によってアクセントは異なります。「言葉をどう発音するか」が「その人がどういう人なのか」を説明するといっても過言ではありません。


アメリカ人を対象としたある研究によると、成人のアメリカ人のうち47%がイギリスなまりを「洗練されている」と感じ、51%はニューヨークなまりを「失礼なやつだ」と感じているとのこと。


また、アメリカ南部なまりは「感じがよい」という印象を与える一方で、「あまり教育を受けていないのかも」という印象を与えます。一方で、首都・ボストンのあるニューイングランドのアクセントは「知的だ」と取られるそうです。このように、人は会話をしている相手の発音やアクセントによってバイアスを受けることがあります。


アクセントは、ある人が話している時に、その言語を母国語としているか否かを見分けることができるのはもちろんのこと、相手が自分と同じ母国語を話している時にはその人が住んでいる地域や社会的地位までもを推測することを可能にします。


母国語でない言語を話す場合は、さらに話が複雑化します。例えば英語を母国語とする人がスペインに渡りスペイン語を学んだ時、たとえその人が十年以上もスペインに住んだとしても、スペイン語は「英語なまり」になります。


研究からも、12歳以上の人が多言語を学んだとしても、多言語が母国語のアクセントに影響を与えないことが判明しています。


一方で、ある日突然人のアクセントが変わってしまうことも。外国語様アクセント症候群という疾患は、脳のうち言語処理を行う部分が損傷を受けることで、患者が外国語なまりのようなアクセントになることで知られています。


また、アクセントには音素という要素も関わっています。音素は英語における「ch」「sh」「th」というような、発音上の言葉の最小単位のこと。言語によって特定の音素が存在したりしなかったりすることがあり、例えば英語の「thing」に使われている「th」はドイツ語には存在しないため、ドイツ語を母国語とする人は「th」を発音することが難しいという事情があります。


有名なのが、「L」の発音と「R」の発音。この2つは日本語を話す時に使い分けが存在しないので、英語を学ぶ日本人は発音を身につけるのに苦労すると言われています。ある研究では、生後6カ月のアメリカ人の子ども32人と日本人の子ども32人に、「La」と「Ra」の発音を繰り返し聞かせたところ、両者ともに2つの発音の違いを理解するようになりました。


しかし、同じ実験を生後10~12カ月の子どもに対して行ったところ、日本人の子どもはLaとRaの違いを理解できませんでした。このことから、音素に関係する脳の発達は生後6カ月前後に行われると見られています。


しかし、年齢にかかわらず、多言語を学ぶことは脳によい影響を及ぼします。脳スキャンに関する近年の研究では、バイリンガルの人の脳は灰白質の密度が高く白質の神経回路が強化されていることが判明しており、また多言語を話す家庭で育った子どもはそうでない子どもに比べて言葉の違いに敏感であることもわかっています。さらに、多言語を話す家庭の赤ちゃんは問題解決や集中に関係する脳の眼窩前頭皮質という部分の反応が他の子どもよりも強いとのことです。

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in サイエンス,   動画, Posted by darkhorse_log

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