5000年前の給与明細から給料が「ビール」だったことが明らかに

By Ryan Neufeld

お酒を飲む人なら「仕事の後のビールはうまい」と感じたことがある人も多いと思いますが、労働とビールの関係は約5000年前から存在していたことが「古代の給与明細」により明らかになりました。

The world's oldest paycheck was cashed in beer | New Scientist
https://www.newscientist.com/article/2094658-the-worlds-oldest-paycheck-was-cashed-in-beer/


5,000-year-old pay stub shows that ancient workers were paid in beer | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/06/5000-year-old-pay-stub-shows-that-ancient-workers-were-paid-in-beer/

古代メソポタミアの都市ウルクがあったイラク南部から、約5000年前に使われていたとみられる石板が発掘されました。石板に書かれているのは楔形文字で、どこが何を表現しているのか解説がないとさっぱりわからないのですが、New Scientistのアリソン・ジョージさんによれば、「人間がボウルから何かを食べている」という図が「食料」を、円錐型の容器が「ビール」を、それぞれ意味していて、「労働者にどれだけのビールを配給したか」が記録された石板であるとのこと。つまり、この石板は「太古の給与明細」で、約5000年前から雇用者と労働者の関係が存在していたことを示しており、労働者は労働の対価として「仕事の後の1杯」を受け取っていたということがわかります。

Trustees of the British Museum

Ars Technicaによると、このような「ビール賃金」の文化を持っていたのはメソポタミア文明だけではなく、古代エジプト時代のピラミッドを建設していた労働者たちにも、1日あたり4~5リットルのビールが振る舞われていたという記録が残っているとのこと。中世ヨーロッパにおいても、同様のことは行われていたようで、2009年に文学研究者のハロルド・ブルームが中世ヨーロッパの詩人ジェフリー・チョーサーの著作「カンタベリー物語」を現代語訳したときにまとめたチョーサーの編年史の中には、1398年にチョーサーが負債を抱えたのに対して、イングランド王リチャード2世がチョーサーの生涯にわたって年間約252ガロン(約954リットル)のワインを提供する旨の手紙を送ったという記述が見られます。

労働の対価がビールだけだと生活がままならないように感じられますが、当時のビールはデンプンを醸造して作られていたため栄養豊富で、ビールだけでも食事を兼ねることができたと考えられるとのことです。現代でも「ビール賃金」の制度は残っており、2013年にアムステルダムではアルコール依存症患者にゴミ拾いの対価としてアルコールを支払うというプログラムも行われたそうです。毎週金曜日の午後にアルコールを無料提供するテクノロジー企業も多く存在しているなど、「仕事の後の1杯」がはるか古代から続いている習慣であることがわかります。

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