デザイン

マーケティングでよく言われる効果的な6つのルールを48種類の広告で検証


「物の写真より人間の写真の方がよい」や「笑顔の女性は他の何よりもよい」など、広告を出稿する際に気をつけるべきと言われるポイントは複数存在します。これらが本当に効果的なものかどうかが気になったというデザイン会社のSketchDeckは、48個もの異なるデザインの広告を出稿することで、特に有名な6つのルールが本当に効果的なものであるかどうかを検証しています。

We Tested 48 Facebook Ads To Bust 6 Marketing Myths
http://www.sketchdeck.com/blog/we-tested-48-facebook-ads-to-bust-6-marketing-myths/

大手SNSのひとつであるFacebookには「Facebook広告(Facebook Ads)」と呼ばれる広告ツールが存在します。世界で14億人以上が使用しているFacebook上に広告を出稿できる同機能は、新しい顧客が増えた・新しいフォロワーが増えた、といった具合に広告の成果を計測しやすいツールでもあります。

デザイン会社のSketchDeckは、広告成果の計測しやすいFacebook広告上に48もの個別の広告を出稿し、マーケティング戦略で言われる「広告と画像は関連づけられていた方がよい」「画像の中に文字を配置する」「物の写真より人間の写真の方がよい」「男性よりも女性のほうがよい」「自社ロゴを使わない方がよい」「できるだけシンプルなイメージの方がよい」という6つのルールが本当に正しいものなのかどうかを検証しています。


6つのルールはどれも広告に使用する「画像」に関するものです。よって、計測時には画像以外の要素が影響を及ぼさないようにするため、広告に使用するテキスト、タイトル、人口統計、予算など画像以外のあらゆる要素を同じものにした、とのこと。

そうして完成した広告の「画像以外の部分」が以下の通り。この「Ad Image」と書かれたグレーの部分に個別の画像が配置され、その他の要素はすべて同じものが使用されるというわけです。


また、SketchDeckはインターネット広告における1クリック当たりの単価を示す「コストパークリック(CPC)」を、広告の成果を見る際のひとつの指標にしたそうです。この理由についてSketchDeckは、「CPCが低いなら、同じ広告予算でより多くのユーザーをサイトに誘導できるようになるから」とのこと。

SketchDeckは6つのルールごとにそれぞれ8つずつ異なるデザインの画像を作成し、その広告が1回クリックされるのにかかった費用から、広告の画像として最適なものはどれかを比較しています。分析ではすべての広告が80%の統計的有意性を持つ、とのこと。

◆広告と画像は関連づけられていた方がよい
Facebook広告のガイドラインには「広告に関連する画像を使用するように」と記されています。例えば、Sketchdeckが広告を出すならば、デザイン会社なのでデザインをイメージさせるような画像を使用するのがよい、ということになります。そこで、Sketchdeckはデザインに関連するような画像4枚と、無関係な画像4枚で広告を配信します。

広告に使用されたデザインと関係のある画像は以下の4つ。


そして、広告に使用されたデザインと無関係な画像は以下の4つ。


8つの広告の効果を測定したところ、無関係な画像を使った広告の方が関係のある画像を使った広告よりも、わずかに6%だけCPCが低くなりました。無関係な画像を使った広告の方が1クリック当たりの費用が低いということで、「広告と画像は関連づけられていた方がよい」という定説は当てはまらないことが明らかに。


この理由についてSketchdeckは、「画像の持つ美しさや独自性が、無関係さに勝った結果」「ハイコントラストや明るい色がユーザーの目を引いた」「Sketchdeckの広告のターゲットとなったと見られるユーザーは、テクノロジー系に精通したユーザーであるとみられ、それに関連した画像やフィードが多く表示されていた可能性がある」といった要素を上げています。

◆画像の中に文字を配置する
2つ目のルールは「画像の中に文字を配置すべき」というもの。本当に文字を配置した方が優れた広告になるのかどうかを確認すべく、Sketchdeckは以下の6つの画像を広告として配信。


その結果は以下の通り。1クリック当たりの費用が最も低いのはテキストがないバージョンの画像で、テキストを配置したバージョンよりも6~7%ほどCPCが低くなっています。


Sketchdeckは、「テキストが配置された画像は広告に見える」「テキストなしの画像はより有効にメッセージを伝えることができた」「テキストサイズが大きくなると、CPCが増加する」「より強い呼びかけのテキストを挿入することもできますが、それはFacebookのテキスト配置ルールが妨げている」「テキストありの画像で成功しているのは『無料』や『50%オフ』と書かれたもの」と記しており、テキストを配置した画像でも優れた広告になれる可能性はあるとしながらも、Facebook広告の場合はテキストなしのほうが効果的とのこと。

◆物の写真より人間の写真の方がよい
Facebookのブランド広告に関するガイドラインでは、「ブランドの製品を人が使っている画像は、製品のみの画像よりもよい」と書かれています。

そこで、物だけの写真と……


物+人の写真で1クリック当たりにかかった費用を測定。


結果は以下の通りで、物単体の方がわずかに単価を低く抑えられることが明らかになりました。ただし、2つの種類の広告の間に大きな差はなく、ほとんど同じような効果を示したと言えます。


このような結果になった理由について、Sketchdeckは「物単体の方が広告全体のメッセージに適応するから」「単純性がCPCをよくする傾向があった」と考察しています。

◆男性よりも女性の写真のほうがよい
マーケティングでは「笑顔の女性は他の何よりも多くのクリックを稼いでくれる」と言われますが、「他の何より」ではあまりに曖昧なので、男性と女性のモデルを使ったさまざまな画像でCPCを測定しています。

男性の写真4枚と……


女性の写真4枚で効果を測定。表情は笑顔のものから苦しげなものまでさまざまです。


結果は、男性の写真よりも女性の写真の方が1クリック当たりの費用を安く抑えられました。


なお、Sketchdeckによると、飛び抜けてよい成績の広告がひとつあっただけで、「結局のところは女性の写真の方が男性の写真よりもよい」ということ以外はよくわかっていない、とのこと。

◆自社ロゴを使わない方がよい
5つ目は「広告にロゴを使用しない方がよい」というもの。

これはとても簡単に計測できそうということで、以下の大きいサイズのロゴと小さいサイズロゴに加え、ロゴなしの画像を使ってCPCを比較。


結果は以下の通り。最もCPCが低い優れた広告は何と「小さなロゴを画像に配置したもの」で、次に「ロゴなし」、最も成績が悪かったのが「大きなロゴを画像に配置したもの」でした。「小さなロゴを画像に配置したもの」は「大きなロゴを画像に配置したもの」よりも平均CPCが8%も低かったそうです。


テスト結果から、「大きなロゴは広告に見える」「小さなロゴはまるでロゴが入っていないかのように扱われた」とSketchdeckは分析しています。

◆できるだけシンプルなイメージの方がよい
最後のルールは「できるだけシンプルなイメージの方がよい」というもの。

複雑なイメージとして以下の4つが使用され……


シンプルなイメージとして以下の4つが使用されました。


結果は以下の通りで、1クリック当たりに必要となる費用はいずれも同じ程度でした。


これらの結果を受けSketchdeckは、Facebook広告を出稿する際は「ポピュラーな画像を避け、ユニークな画像を使うこと」「なるべくシンプルながらも目を引くものがよりデザイン」「メッセージが広告のターゲットとなるユーザーすべてにとって明らかなものであるか確かめる」「人の代わりに関係性のある製品もしくは物を使用する」「画像の中にテキストを避ける。ただし、小さなロゴは有効」「長期的な投資を行う前に、あらゆる要素をテストする」という6つの要素に気をつけることを勧めています。

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in デザイン, Posted by logu_ii

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