生き物

ごく短い笑い声から友人関係を判断できることが研究で明らかに

by Todd F Niemand

人間の「笑い」の起源は、2000万年以上も前にさかのぼると言われていて、ヒト以外の霊長類も笑顔という感情表現を持っています。しかし、他の霊長類とは異なる特徴として、人間は複数の人間が笑っている声を聞き、その人たちの人間関係を判断できることが明らかになっています。

Detecting affiliation in colaughter across 24 societies
http://www.pnas.org/content/early/2016/04/05/1524993113

People can judge relationships from short bursts of laughter | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/04/people-can-judge-relationships-from-short-bursts-of-laughter/


ほとんどの霊長類にとって「笑い」とは、泣くことや、あくび、叫びといった行為と同様に無意識的な感情表現であり、主に個体同士の関係が密接で強いことを示す方法として、笑い声を上げます。しかし、人間の笑いは、「他の人間が笑っている場面で他人の笑いをマネして笑ったり、自身の笑いを自由にコントロールしたりできる」という点において、他の霊長類のものとは異なります。また、人間は呼吸器官と発声器官が発達したことにより、無意識的な笑い以外にも、疑似的な笑い声を発することが可能です。

by Restless mind

カリフォルニア大学ロサンゼルス校で口頭伝達について研究しているGregory Bryant博士は、本物と偽物の笑いを聞いて、違いを感じ取ることが可能かどうかについて実験を行いました。実験は、2人の人間による笑い声を1秒間だけ聞き、2人が友達同士か他人かを当てるというもの。Bryant博士は、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、アフリカ、アメリカの研究グループと協力して、工業発達地域、農業地域、狩猟生活を営む地域など、世界中の計24カ所で被験者966人を集めて実験を実施しました。

実験の結果、笑い声を区別できた割合は61%程度で、Bryant博士が予想していたよりも著しく高い正解率だったとのこと。笑い声の中でも、特に「女性の友達同士」の声は95%もの人が正しく区別できたそうです。一方で、男性の場合、他人同士の笑い声が友達同士のように聞こえるという、女性の笑い声とは異なる結果が出たとのこと。Bryant博士は、「この結果は、女性は友達の近くにいると安心できる、という人間の思考方法によるものだ」と見ています。

また、Bryant博士は、人間が笑い声のどのような特徴を捉えて友達または他人だと判断するのかを調査。すると、笑い声が短く、規則的な笑いではなく不規則的なリズムの場合に、「友達同士の笑い声」と判断する傾向にあることが判明しました。さらに、アメリカ人は男性の他人同士よりも男性の友達同士の笑い声を正確に区別でき、韓国ではアメリカとは逆に男性の他人同士の笑い声を当てる確率が高いなど、地域によって笑い声の判断に差があることも明らかになっています。

by Baijg

人間は非常に社会的な動物であるため、人間同士の関係がどれくらい強固なのかを、笑いを使って素早く測っているのではないかとBryant博士は推測しています。「笑いは全ての人間が持っている共通の能力であり、人間にとって何らかの有用な効果がある」とBryant博士は示唆していて、「他人同士の笑い声にもっと説得力を持たせることは可能か?」「友達同士の笑い声だと判断されるには、どの程度の人間関係を築く必要があるのか?」「子どもが笑い声を聞いて人間関係を判断するには、ある程度社会経験が必要なのか、それとも人間は生まれながらにして能力を持っているのか?」といった新たな疑問について研究を進めていく予定とのことです。

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in 生き物, Posted by darkhorse_log

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