レビュー

世界最小、川辺でモバイル機器を充電できるプロペラ水力発電機「Blue Freedom」レビュー


BBQの熱で発電するグリルストーブ」や「お湯を沸かして発電する鍋」など、アウトドア環境でモバイル機器を充電できる製品が増えてきています。いずれも熱の力で発電するものですが、世界初の「水力」で発電してモバイル機器を充電できるポータブル水力発電機が「Blue Freedom」です。Kickstarterで出資していたものが編集部に届いたので、実際に持ち運び可能なサイズの水力発電機がどれほどの発電能力を秘めているのか、河川敷で試してみました。

The World's Smallest Hydropower Plant | Blue Freedom
http://blue-freedom.net/

実際に川の流れでプロペラを回して、水力発電している様子は以下のムービーから確認できます。

世界最小・ポータブルサイズの水力発電装置「Blue Freedom」で発電している様子(緩流編) - YouTube


◆フォトレビュー
編集部に届いたBlue Freedomはこんな感じ。専用の携帯バッグに入っていました。


裏側を見ると、German Design Award 2016で賞を受賞済みとのこと。


携帯バッグから本体を取り出すとこんな感じ。UFOのような円盤型です。


文章は英語ですが、イラスト付きの説明書も入っています。


手に持ってみると手のひらに収まりませんでした。寸法は60mm×200mmで、重量は400g。真ん中にある青いパーツが水力発電用のプロペラで、取り外して使います。


iPhone 5sを横に置いて比べると、充電器としては少し大きめであることがわかります。


横から見るとこうで、高さはiPhone 5sの半分ほど。


側面にはLEDライトがあり、中の基板が透けて見えるのはギークな雰囲気。


「Blue Freedom」のロゴの手前にプロペラの接続プラグがあります。


ロゴ上部にはスイッチ。一度押すとスイッチが白い光が点灯してバッテリー残量が確認できます。最大5つの白い光が点灯し、以下は3つが光っている状態。


スイッチを短く2回タップすると、側面のLEDライトが点灯します。割と明るめなので、テントの中では手元を照らすちょっとした光源として使えそう。


本体の左右には水の浸入を防ぐラバーキャップが2カ所あります。開くと左側が出力用のUSBポートと、太陽電池などのケーブルを挿し込むポート。


右側にも、もう1口出力用のUSBポートがあるほか、Blue Freedomの内蔵バッテリーを充電するためびMicro-USBポートも付いています。


水力で発電する以外にも、電源からUSBケーブルで直接内蔵バッテリーを充電することも可能。バッテリー容量は5000mAhです。


一通り外観を見たところで、さっそく水力発電ができる状態にしていきます。まずは真ん中の青いプロペラを取り外します。


Blue Freedomの内側に収納されているフレキシブルシャフト(プロペラ用延長コード)を取り出し……


先端をプロペラに接続します。


これでプロペラを水に流せるようになりました。


フレキシブルシャフトのもう一方の先端をBlue Freedomのプラグに接続します。


すると、水に投入したプロペラが水力で回転することにより、プラグがグルグル回って発電されるわけです。


◆水力発電してみた
というわけで、河川敷にやってきて実際に水力発電を試してみることに。


雨上がりの翌日だったので、川は少し増水して水力発電にはうってつけ。特に流れの強いポイントをチョイスしました。


河川敷の急流で水力発電を行っている様子は、以下のムービーから見ることができます。

世界最小・ポータブルサイズの水力発電装置「Blue Freedom」で発電している様子 - YouTube


河川敷の川辺では、Blue Freedomを固定できそうな岩や木が見当たらず。かなり不安でしたが、枯れ木にBlue Freedomを固定して発電してみました。川の流れを受けたプロペラは勢いよく回り始め、本体のスイッチも「発電中」を表わして点灯しており、水力発電は可能でした。


理想としては、アウトドアの水辺で水力発電を回しつつ、手元の本体からモバイル機器を充電すること。ただしケーブルの長さが1.8メートルなので、川辺で水力発電を行うには短いように感じられます。バックパックを置いている位置に座ったとすると、川辺ギリギリに座りながらモバイル機器を充電することになってしまいます。


また、増水後で流れが強かったせいもありますが、Blue Freedomの本体部分は水に引っぱられて常にグラグラ。いつBlue Freedomが持って行かれるか目が離せませんでした。バッテリー切れのiPad Proを持っていったのですが、不安定なBlue FreedomとiPad ProをUSBケーブルで接続する勇気はありませんでした……。なので、しっかりと固定できる水辺の木にひっかけるなどして、発電した電力は内蔵バッテリーに貯蓄しておけば、アウトドアでもモバイル機器を充電する助けとして使えそうです。


なお、緩流でBlue Freedomのプロペラを回しているムービーでは、発電を開始したり、ストップしたりを繰り返しており、水流が緩やか過ぎると十分な発電力を得ることはできないようでした。仕様書によると発電能力は最大で5W/5Vとなっており、最低毎秒1メートルの水流速度が必要とのことです。

世界最小・ポータブルサイズの水力発電装置「Blue Freedom」で発電している様子(緩流編) - YouTube


◆充電出力の検証
外では充電できなかったため、Blue Freedomを持ち帰って充電性能を確かめることにします。説明書ではUSBポートの出力がそれぞれ1A・2Aとなっており、タブレットも充電できるとのこと。なぜか左右のどっちが2Aと1Aなのか書かれていないため、まずはUSB簡易電圧・電流チェッカーを使って左右の出力を見極めます。検証にあたって、見た目でわかりやすいよう、Blue Freedomのプロペラを片方だけ外してあります。


まずはプロペラありBlue Freedomの左USBポートから。iPad mini2を接続すると、出力は「0.94A/4.94V」でした。


ということは右USBポートが2A出力ということになるはずですが、結果は「0.91A/5.03V」とほぼ同じ数値が出てしまいました。


続いてプロペラなしBlue Freedomでも検証。左USBポートは「0.92A/5.01V」。


右USBポートは「0.94A/5.12V」で、やはりほぼ同じ数値という結果に。


プロペラなしのBlue Freedomでは、一度だけ右USBポートで1.41Aを記録しましたが、2Aには届かずでした。


バッテリーの切れたiPhone 5sを充電すると、問題なく復帰して100%まで充電できました。スマートフォン向けの出力としては問題ない模様。


バッテリーの切れたiPad Proを充電してみたところ、1時間ほど充電してもiPad Proが復帰することはなし。出力不足のようなので、Blue Freedomで充電するのはスマートフォンにとどめておいたほうが良さそうです。


・追記 2016年4月28日 20:19
前回は川が増水後で水流が強すぎたことや、本体を設置する場所が悪かったため、安定して水力発電することができず。改めてBlue Freedomの発電性能を確かめるべく、Blue Freedomのバッテリーをゼロにした状態で河川敷にやってきました。


今回は少し雨が降っていたものの、本体が持って行かれるほどの激流ではない模様。まずは比較的流れが緩やかなポイントにプロペラを放ってみました。


すると、「発電中」であることを示すランプが点灯することはあったものの、安定して発電することはできず。


川の流れが速いところにプロペラを放つと、勢いよく回転するものの、川の流れに対してナナメからプロペラを入れているため、距離が稼げずプロペラが水辺ギリギリで回転しています。そのため、時折プロペラが陸地に接してしまい、ここでも安定した発電は難しい模様。


本体を手で持ち上げてみると、川の流れに対して本体とプロペラがまっすぐになるため、安定してプロペラが回転。


発電中を示すLEDインジケータも常に点灯しています。ただし、ずっと手で持っていることになるので現実的ではありません。


別の場所に移り、水流に対して横からプロペラを入れてみたところ、コードが曲がってしまい、やはり安定して発電できません。


いろいろ発電ポイントを探してわかったのは、「水流に対して直角」で「水流が十分な速度」かつ「水深が十分にある」というポイントほど安定して発電できるということ。川辺は手前が浅く、奥が深くなっているので、川辺の地面に置くと水深が十分にとれず、発電効率が下がりがち。川の中から生えている木や棒があればベストなのですが、今回の川では見当たらず。

すると、以下のようなポイントを発見。強めの水流に対して真っすぐプロペラを放つことができるほか、水辺の陸地が切り立って小さな崖のようになっているため、本体のすぐそばに十分な水深があります。


地面に木をさして本体を固定し、プロペラを入れてみたところ、プロペラは水面から出ることもなく、勢いよく水中で回転しています。


なお、川の中は水面と水底では、水面の1/10~4/10ぐらいの水位が最も水流が速くなります。高低差がある場所だとプロペラが水面付近に沈むため、発電効率を高めることができます。今回の沈み具合も、ちょうど水流が最も速い水位と言えそうです。

川の水面と、底の水は同じ速さなの
(PDFファイル)https://kids.gakken.co.jp/box/nazenani/pdf/09_tikyuu/X1100238.pdf

LEDインジケータは途切れることなく常に点灯。ようやく安定して発電できるポイントが見つかったわけです。このまま1時間発電して、容量がゼロのバッテリーにどれだけ蓄電できるかを確かめます。


10分おきに確かめていたのですが、ときどき植物やゴミがプロペラに巻き付いてしまい、回転が弱まったり止まったりしていたので、漂流物の多い川だと安定した水力発電は難しいかも。


実際に安定して水力発電を行っている様子や、水流速度などは以下のムービーから確認できます。

世界最小の水力発電「Blue Freedom」で安定して発電している様子 - YouTube


ゴミが巻き付くたびに外しつつ、1時間ちょっとの発電が終了。バッテリーの残量は最大5つ点灯するの白いランプの数でわかるのですが、結果はたった1つランプが点灯したのみでした。


Blue Freedomを持ち帰り、バッテリーを空にしたスマートフォンを充電して、何%まで充電できるか試してみました。


充電切れの状態から復帰することはできましたが、わずか1%充電したところで、Blue Freedomのバッテリーがなくなってしまいました。今回は1時間しか発電していないので、例えばキャンプなどでは一晩中川で発電できれば、ある程度の電力をバッテリーに蓄電できるかもしれません。


なお、Blue Freedomは以下のページでオーダー可能で、価格は1台319ドル(約3万4000円)です。日本への送料を含めると合計で339ドル(約3万6000円)となっています。

Store
http://blue-freedom.net/store/

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
大人数でBBQを楽しみながらスマホを充電できるグリルストーブ型発電機「BaseCamp」レビュー - GIGAZINE

お湯を沸かせば最大3つのデバイスを充電できる10W発電鍋「The PowerPot X」レビュー - GIGAZINE

薪を燃やしてスマホを充電しながらお湯も沸かせる小型のアウトドア用発電機「バイオライトキャンプストーブ」を使ってみた - GIGAZINE

世界最小級&出力1A/5V、太陽光だけでデバイスを充電する「SOLARADE」レビュー - GIGAZINE

アウトドアに特化したCASIOの頑丈系スマートウォッチ「WSD-F10」レビュー - GIGAZINE

in レビュー,   モバイル,   ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.