現在の暗号化方式を将来解読し得る能力を持った量子コンピューターが誕生か

by ditasst

桁数の大きな数の素因数分解を解くことはスーパーコンピューターを用いたとしてもかなりの時間が必要になる難題で、これを根拠として暗号方式の1つであるRSA暗号は作られています。しかし、この暗号方式の根本である「大きな数の素因数分解」を高速で解くことのできる量子コンピューターが生まれつつあります。

The beginning of the end for encryption schemes? | MIT News
http://news.mit.edu/2016/quantum-computer-end-encryption-schemes-0303


Quantum Computer Comes Closer to Cracking RSA Encryption - IEEE Spectrum
http://spectrum.ieee.org/tech-talk/computing/hardware/encryptionbusting-quantum-computer-practices-factoring-in-scalable-fiveatom-experiment

MITとインスブルック大学の研究者が作ったのは、5キュービットの新たな量子コンピューターです。従来のコンピューター(古典コンピューター)の扱う最小単位・ビットが0か1かどちらかの状態にしかなれなかったのに対して、量子コンピューターでは、0と1の量子力学的重ね合わせ状態もとることができる量子ビット(キュービット)により、1キュービットについて0と1を任意の割合で重ね合わせて保持することができ、古典コンピューターでは不可能な規模の並列コンピューティングが可能になります。

新たな量子コンピューターでは、4つの原子をレーザーパルスで重ねて論理ゲートに転換、2つの異なるエネルギー状態を同時に維持できるようにしたことで、これまでの量子コンピューターよりも高速に計算を行うことが可能になったとのこと。

従来、15の素因数分解を行うには一般に12キュービットが必要だとされていて、2001年12月にIBMのアルマデン研究所が7キュービットの量子コンピューターで15の素因数分解に成功したことが大きく取り上げられましたが、5キュービットで実現したのはこれが初の事例とみられます。

現時点では「15の素因数分解」ですが、性能が向上してもっと大きな数の素因数分解が可能になると、RSA暗号の安全性が保証されない、ということになります。ここが、現行の暗号化方式の「終わりの始まり」なのかもしれません。

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in ハードウェア, Posted by logc_nt