iPhoneが完全にロックされて使用不能になる「エラー53」問題が集団訴訟に発展
By Kārlis Dambrāns
iPhoneのホームボタンを非正規ショップで修理したあとにiOS 9以上にOSをアップデートすると、iPhoneが完全にロックされてしまい使用できなくなるという「エラー53」問題が世界中で大きな話題となっているのですが、ついにアメリカのカリフォルニアでAppleの対応に不満を抱いたユーザーを代表して法律事務所のPCVAが集団訴訟を起こしました。
PRESS RELEASE - PCVA Files Class-Action Lawsuit Against Apple for "Error 53" Issue | Seattle Tacoma Sexual Abuse Lawyers, Personal Injury Attorneys - Pfau Cochran Vertetis Amala
http://www.pcvalaw.com/press-release-pcva-files-class-action-lawsuit-against-apple-for-error-53-issue/
Class-action suit over iPhone-bricking Error 53 filed in California | Ars Technica
http://arstechnica.com/apple/2016/02/class-action-suit-over-iphone-bricking-error-53-filed-in-california/
問題となっているのは、「エラー53」と呼ばれるiPhoneが突然ロックされてしまう現象。この現象は、iPhone 6/6 PlusのホームボタンをAppleの非正規ショップで修理したり損傷を受けたりしたあとに、iOS 9以上のOSにアップデートすると発生するもので、iPhoneが完全にロックされてしまい使用できなくなるということで問題になっています。この現象はiOS 9がリリースされた2015年から存在したそうで、iPhoneの修理・解体で有名なiFixitのエラー53に関するページは、なんと18万回以上も閲覧されており、多くのユーザーがエラー53に遭遇していたことがわかります。なお、エラー53が広く知られることとなったきっかけは、2016年2月に入ってからのThe Guardianによる報道であったそうです。
「エラー53」については以下の記事を読むとApple側の主張と、ユーザー側がどこに不満を抱いているのかがよくわかります。
iPhone 6を文鎮化して死に至らしめる「エラー53」の恐怖 - GIGAZINE
実際、Touch IDではApp Storeでのアプリ購入や日本ではまだサービスがスタートしていないAppleの決済サービス「Apple Pay」が、ホームボタンに触れるだけで使用可能になります。このように、Touch IDが金銭取引に関わる機能であるため、これらを悪意のある攻撃者の手から保護するために「正規店舗以外での修理は受け付けない」とするAppleの姿勢もわからなくはありません。しかし、この現象に遭遇したiPhoneユーザーがApple Storeに端末を持ち込んだところ、スタッフから「どうすることもできません」と告げられ、交換のためには270ポンド(約4万6000円)が必要と言われたそうで、これらの対応に不満を抱いたユーザーたちが、カリフォルニアで集団訴訟を起こすことになったというわけです。
今回の集団訴訟を起こしたのはシアトルの法律事務所PCVAで、エラー53問題に遭遇した複数のiPhone 6所有者を代表して、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に訴状を提出しました。PCVAは「損傷を受けたTouch IDやこれらをサードパーティーの修理業者で修理した場合、iPhoneが正常に動作することを妨げるのは『嫌がらせ』である。Appleはこの問題について消費者側に十分な警告をしておらず、それによりTouch IDボタンに損傷を受けたユーザーがセンサーを交換し、今回の問題に直面している」主張しています。
Error 53 Lawsuit by Mikey Campbell
PCVAが訴訟でApple側に求めるのは、「サードパーティーにより修理されたiPhoneを無効化する措置をやめ、無効化された端末を復旧するためのソフトウェアアップデートを提供すること」「不満を訴えているユーザーの端末で、保証対象のものに対してはApple側が修理費用を負担すること」の2つ。なお、訴状によればApple側は「消費者がサードパーティーの修理業者を利用することで生じた問題である」として、保証対象の端末の修理を拒否している模様。
Touch IDを内蔵するiOS端末はiPhone 6/6 Plus以外にも複数存在します。iFixitと集団訴訟の訴状は「iPhone 6s/6s Plusでも同様の現象が生じる」と主張していますが、Touch IDを初めて搭載したiOS端末であるiPhone 5sに関しては言及されていません。これについてニュースサイトのArs Technicaは、Apple Pay用のNFCセンサーを搭載しているiPhone 6以降の端末でこれらの問題が生じるようになっているのかもしれない、としています。
なお、訴状は記事作成時点では裁判所から承認されるには至っていません。
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