なぜ「録音した声」は普段の声とまるで違うものに聞こえるのか?
By Bob Bekian
「録音した自分の声」や「電話などで反響して聞こえてきた自分の声」「ムービーの中で話す自分の声」などが、普段自分が耳で聞いているものとは少し違って聞こえることに驚いた、という経験をしたことがある人も多いはず。聞き慣れているはずの自分の声が録音されたものになると普段と違って聞こえる仕組みについて、「Why is my voice different when I hear a recording?」というムービーが解説してくれています。
Why is my voice different when I hear a recording? - Big Questions - (Ep. 207) - YouTube
「音」というのは空気中の振動です。振動は空気中を伝わるものですが、耳介(Outer Ear)により集められたものが外耳道(Ear Canal)を通ることで増幅されて……
そして鼓膜(Ear drum)を揺らすことで、振動が内耳(Inner Ear)に伝わります。内耳には聴覚部分を担当する蝸牛(Cochlea)と呼ばれる部位があり、これが音の振動を電気信号に変換して脳の聴神経に伝えることで音が聞こえるわけです。
そして、人間の発する音である「声」は、喉頭上部にある声帯を振動させることで発生させるものです。
この「声」という名前の振動は、骨伝導で発声者本人の体中を伝わります。つまり、普段聞き慣れている「自分の声」というのは、声帯で発生した振動が骨伝導で体内を通り、内耳の蝸牛まで直接伝わったものを指すわけです。骨伝導は低い音を伝えやすいので、普段自分が聞いている「自分の声(体内を伝わって聞こえる自分の声)」は、基本的に周りが聞いている「自分の声(空気中を伝わる自分の声)」よりも低く・太く感じる模様。
なお、普段聞き慣れている「自分の声」は周りが聞いているものよりも低い声なので、多くの人が低くて太い声を好む傾向にあるそうです。この聞き慣れた低くて太い声を好む傾向は、「単純接触効果」と呼ばれるもので、特に男性でよく見られる心理現象だそうです。
例えば「自分の写真を見るのが嫌い」という人がいますが、これは「自分自身は鏡に映った自分(左右が反転した姿)を見慣れているため、写真に映った自分に違和感を覚えてしまう」という単純接触効果が原因と考えられている模様です。
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