河川の決壊による浸水リスクを動くアニメで把握できる「浸水ナビ」

夏から秋にかけての台風シーズンには、日本各地で大雨による水害が毎年のように発生します。国土交通省・国土地理院が公開した「地点別浸水シミュレーション検索システム(浸水ナビ)」は、河川の氾濫などによる浸水リスクをウェブから検索できるシステムになっており、調べたい地点をマップ上で指定するだけで「どの河川が氾濫した場合に浸水するか」「河川の決壊後、どれくらいの時間で氾濫水が到達するか」「どれくらいの時間、浸水した状態が継続するか」などの浸水リスクを把握できるようになっています。

知りたい場所の浸水リスクがＷＥＢサイト上でわかります ― 地点別浸水シミュレーション検索システム（通称：浸水ナビ）を公開 ―｜国土地理院
http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/bousaichiri60021.html

地点別浸水シミュレーション検索システム
http://suiboumap.gsi.go.jp/ShinsuiMap/Map/

実際に使ってみた様子は以下のムービーから。マップを拡大・縮小して調べたい地域を表示し、地図上をクリックするなどで地点を指定すると、その地点の浸水リスクや河川氾濫時に浸水が広がる状態をアニメ－ションやグラフでシミュレーションできます。なお、記事作成時では検索可能な地域は一部の地域に限られており、マップ上の青いエリアで認識できるようになっていました。

「浸水ナビ」で浸水のリスクがある地域の様子を確かめてみた - YouTube


サイトにアクセスするとマップが表示されます。先述のように、浸水ナビでは「浸水シミュレーションデータ」が掲載されている河川のみ検索・確認を行うことが可能となっており、検索可能な地点はマップで青く表示されています。検索できる河川は記事作成時点では全国119河川となっており、このページから確認することが可能です。

地図をズームアップし、画面左にある「座標または地図上で指定」を選択してアイコンをクリックすると、マップ上で希望の地点を選択できます。

なお、自宅や特定の場所をピンポイントで探したいときは、地点名で検索したり緯度・経度を指定して探すことも可能です。

マップ上で地点を指定すると黄色いアイコンが表示され、その周囲には青い丸アイコンが表示されました。これは河川の決壊が予想される「破堤点」と呼ばれる場所で、指定した地点に被害を及ぼす恐れのある破堤点が画面に表示されます。

破堤点にマウスカーソルを合わせると、破堤点の座標や名称、決壊が予想される場所などが表示されます。さらにアイコンをクリックすると……

破堤点が決壊した際に想定される浸水地域が赤色で表示されました。左のリストには、選択している破堤点が表示されます。

リストから破堤点を選んで確認することも可能。破堤点を切り替えると浸水想定地域も変化します。

特定の破堤点が決壊した際に、指定した地点でどのような浸水が想定されるかを示すグラフを表示させることもできます。このグラフでは、決壊から2時間後に水が押し寄せ、3時間の時点で最大水深30cmに達することが示されています。

浸水地域は、想定される水深で色分けした表示に切り替えることも可能。どの地域がよりリスクが高いのか、より確実に確認できます。

さらに、決壊からおよそ1日後までの時間軸で浸水の広がりを予測したアニメーションを表示させることも可能。浸水ナビではこのようにインタラクティブに災害のリスクを把握することが可能となっています。

浸水マップはあくまでもデータに基づいたシミュレーションなので、必ずしも実際にこの情報に沿った形で災害が発生するとは限らない点には注意が必要。それでも事前に自分の住んでいる地域にどの程度リスクが存在しているのかを把握できるので、台風シーズン前には1度確認してみても良さそうです。

なお、対応する河川は今後も追加される予定となっているほか、年度内をめどに内水・高潮の浸水想定区域図データの検索にも対応する予定とのことです。