世界初、虫っぽい見た目で水面をびよーんとジャンプするロボットの開発に成功
これまでの研究で「水に浮くロボット」や「水の上を歩くロボット」は開発されていましたが、「水面を跳ねるロボット」の開発は実現されていませんでした。しかし、2015年7月31日、ソウル大学の研究者たちが世界で初めて「水面を跳ねる」アメンボっぽいロボットの開発に成功したとScience誌で発表されました。
Jumping on water: Surface tension–dominated jumping of water striders and robotic insects
http://www.sciencemag.org/content/349/6247/517
虫っぽいロボットが水面をジャンプする様子は以下のムービーから見ることができます。
The robot water strider jumping off both water and solid surfaces. - YouTube
また、研究がどのように行われたのかは以下のムービーで確認可能です。
The story behind the water-jumping robot - YouTube
水の上にいるのは小さなアメンボ。
アメンボは4つの脚を中心に引き寄せるように動かし、ピョーンと水面を跳ねます。
宙高くジャンプ。
このアメンボの動きを力学的に研究し、ロボット開発に生かしたのが「Robotic Water Striders」です。
Robotic Water Stridersの動きは以下の通り。着水させると、4つの脚を使い、表面張力で水面に浮かびます。
4つの脚がぐぐっと水面を押して……
立ったような状態に。
そのままピョンと跳ね上がります。
Robotic Water Stridersが水面(左)と地面(右)を押し下げる様子を横から見ると以下のような感じ。
水面の場合、脚で水面を押し下げると、体全体が勢いよく持ち上がります。
体が上昇すると、脚が水面を押し下げる力が小さくなり……
そのままぴょーんよ跳ね上がるわけです。「表面張力を利用して飛び跳ねる」という点に特化しているので、地面の上に置くよりも水面に置く方が勢いよく跳ねています。
Robotic Water Stridersの開発は、アメンボの動きをハイスピードカメラで観察することから始まりました。アメンボは水面を飛び跳ねる瞬間、表面張力が生まれるギリギリの速度で水を押し下げています。この時、アメンボが脚を押し下げるほど表面張力も大きくなるのですが、押し下げる力が強すぎるとメニスカスが生まれず脚が水の中に沈んでしまいます。つまり、アメンボは絶妙な速度で脚を動かしており、大きな表面張力が生まれ、かつ脚が沈んでしまわないギリギリのバランスを保っているわけです。
また、単純に脚を上下するだけでは脚が簡単に水中に沈んでしまうのですが……
アメンボは脚を内側に寄せるように動かすことで、脚で水面を押し下げる時間を延ばしていることも分かりました。
これらアメンボの特徴を模倣することで作られたのがRobotic Water Stridersというわけです。Robotic Water Stridersは5cmの長い脚を持ち、本体の中心に小さな電熱線を使うことで強度を保ちながら、跳ねの力が強くなるような構造が作り出されています。
なお、Robotic Water Stridersがどのような分野に応用可能なものかは記事作成時点では不明ですが、例え実用化されなくても「昆虫が表面張力を使ってどのように動いているのか」を解明した今回の研究は非常に有益だった、とのことです。
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