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外国人が買い物するとき不思議に感じる「あの謎のトレイ」の正体はいったい何なのか?


日本のコンビニやレストランでは、レジの横にお金をのせるためのトレイが置かれています。日本では当たり前に使われているものですが、海外には存在しない文化であるため、日本を訪れた外国人は買い物をすると出てくる「謎のトレイ」を不思議に思うそうです。そんな外国人から質問を受けたフリー・ジャーナリストのアリス・ゴーデンカーさんが「釣り銭トレイ」の正式名称や起源について徹底的に調査し、その正体を探りました。

Change trays | The Japan Times
http://www.japantimes.co.jp/news/2015/05/23/reference/change-trays/


東京を訪れたバーナードさんは、日本のお店のカウンターになぜか置かれている「トレイ」を生まれて初めて目にしました。現金を手渡す代わりにトレイにセットしている日本人を見たバーナードさんは、初めて見るやり取りに非常に興味を持ったとのこと。バーナードさんは、トレイにお金を置くことで、支払いの意志を明確にするために使われているのでは、と予想。しかし、レストランではチェックが革製のトレイで運ばれてくる一方で、郵便局や銀行ではプラスチックのトレイが使われているのを見たバーナードさんは、「なぜ店によってトレイの種類が違うのか」までは予想がつきませんでした。

そこでバーナードさんはThe Japan Timesに記事を寄稿しているコラムニストで、日本文化に詳しいアリス・ゴーデンカーさんに「トレイ」の出来事を話し、「一体全体、このトレイは何という名称で、どんな起源を持っているのか?」と尋ねました。15年以上東京に住んでいるアリスさんは、大多数の日本人と同様に「トレイ」を使っているものの、「なぜトレイを使うのか」「正式名称はなんなのか」ということまで考えたことがなかったため、トレイに関する徹底的な調査を開始。


まず始めにアリスさんは東京にある貨幣博物館を訪れました。日本の金融分野の研究機関でもあるため、トレイに関する疑問が一挙に解決すると思ったそうですが、日本のほぼ全ての銀行に必ず置いてある「トレイ」のサンプルや起源を示す文書は全く見つからなかったとのこと。博物館で質問したところ、学芸員でも「トレイ」に関する正式な記録を見たことがなかったそうです。そこではアリスさんは学芸員の提案で博物館の運営元でもある日本銀行に行ってみましたが、日本銀行ですら「トレイに関する情報は見当たらなかった」とのこと。

そこでアリスさんはトレイを販売する業者向けの販売店などをあたり、トレイが何と呼ばれているかの調査を開始。トレイは一般的に「釣り銭トレイ」と呼ばれているほか、「会計盆」「コイントレイ」という名前でも販売されていました。正式名称は「カルトン」であることが判明し、アリスさんは語源がフランス語で「厚紙・紙箱」を意味する「Carton」からきていることに驚いたとのこと。さらに「カルトン」を「新しい言葉の字引」で調べたところ、トレイはなんと100年以上前から使われていることが判明。

辞書にはトレイの起源までは書かれていなかったため、100年前にどのようにしてトレイが生まれたのかを調べるべく、アリスさんは江戸東京たてもの園の学芸員の田中裕二さんに質問を投げかけます。すると、田中さんは、トレイの起源について1603年~1868年の江戸時代までさかのぼって説明してくれたそうです。

田中さんいわく、江戸時代の商人は商売のほとんどを現金ではなく、1年に1度か2度のまとめ払いで行っていたのこと。その際に、客はお金を紙などに包んで渡していましたが、顧客の目の前で包みを開けて中身を確認することは一種の失礼にあたります。この文化は江戸時代が終わりを迎えても変わることはありませんでしたが、17世紀から18世紀に入る頃、「現金掛け値なし」をスローガンに掲げる越後屋(後の三越)が登場し、固定額で商品が販売されるようになります。このように現金取引が一般的になったころからトレイが使われ始めたとのことですが、正確な時期まではわかっていないそうです。


アリスさんは起源の調査をここで切り上げ、実際にトレイを使っている人々に理由を尋ねました。あるレジ係は「小銭が散らばってしまわないのが便利で、置かれた勘定を一目で確認できるため」と返答。ある店主は「おつりを手渡すよりも、トレイに置く方が丁寧に感じられます。それは日本人がむやみに他人の手に触れるのを好まないためで、トレイは顧客との適切な距離を作り出すのです」と答えました。従って、トレイがいつから使われ始めたのかは分からずじまいでしたが、トレイは日本文化の中で生まれた「顧客サービス」の一環として生まれたのかもしれません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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