ついに全世界でのデジタル配信楽曲の売上がCDの売上を上回る

2014年に全世界で販売されたデジタル配信楽曲とアナログCDの売上において、初めてデジタル配信楽曲がCDの売上を追い抜いたことを国際的なレコード業界団体である「IFPI」が明らかにしました。

IFPI publishes Digital Music Report 2015
http://www.ifpi.org/news/Global-digital-music-revenues-match-physical-format-sales-for-first-time

Digital-Music Sales Overtake CDs for First Time - WSJ
http://www.wsj.com/article_email/digital-music-sales-overtake-cds-for-first-time-1429034467-lMyQjAxMTI1NjE4NDAxMjQzWj

Digital music revenue overtakes CD sales for the first time globally | The Verge
http://www.theverge.com/2015/4/15/8419567/digital-physical-music-sales-overtake-globally

2014年にデジタル配信された楽曲の売上は約69億ドル(8200億円)で、これに対してCDの売上は約68億ドル(約8100億円)となり、初めてデジタル配信楽曲がCDの売上を追い抜きました。以下のグラフは過去10年間の売上高の推移を示したグラフで、着々とデジタル配信がその売上高を伸ばしてきたのに対し、CDの売上は一気に下がり続けてきたことがよく分かるようになっています。

詳しい内訳をみると、全世界の音楽産業の売上合計は149億7000万ドル(約1兆7800億円)で、業界全体で見れば2013年と大きく変わっておらず、前年比で0.6％だけ下がっています。CDの売上は前年比で8.1％減少して68億2000万ドル(約8100億円)、デジタル配信楽曲は前年比で6.9％増の68億5000万ドル(約8150億円)となっています。デジタル配信とCDの売上はそれぞれ収益全体における約46％に相当します。なお、その他の8％はラジオ放送やテレビ番組などでの使用料から得ています。

課金制または広告付き音楽配信のオンラインサービスは2013年から39％の急成長を遂げています。課金制サービスはデジタル配信収益の23％に相当する15億7000万ドル(約1800億円)になり、広告付きデジタル配信は全体の9％を占める程度の収益しか上げられていません。また、ダウンロード配信はデジタル配信の売上の52％を占めていますが、2013年時と比較すると全体における割合は8％減少しています。IFPIのフランシス・ムーア氏によると、「課金制ストリーミング配信が今の音楽業界では、優勢である」とのこと。

また、AppleやSpotifyといったデジタル配信サービスを展開する企業は、アーティストに十分な使用料を支払っていないと論争になっていますが、デジタル配信の急成長の重要性を音楽産業に示しています。

デジタル配信の方式も国によって異なっており、スウェーデンや韓国ではストリーミング配信が主流になっていますが、カナダ・オーストラリアではダウンロード配信が主流です。以下のグラフは紫色のグラフがダウンロード配信、赤色のグラフがストリーミング配信の割合を表しており、各国でどちらのデジタル配信方式が好まれているのかが分かります。

世界中でデジタル配信が勢力を伸ばしていますが、日本のように音楽業界全体の売上の78％をCDが占める国もあり、日本以外でCDの売上割合がまだまだ高い国としては、フランス(57％)とドイツ(70％)が挙げられます。なお、2015年には「YouTube Music Key」「TIDAL」「Appleによる新課金制サービス」の3サービスが大きく成長する可能があるとのこと。