ネットショップで手作りアイテムを販売し年間1億円以上を売り上げるための秘密
by Tim Reckmann
三児の母にしてオンラインショップで月8万ドル(約950万円)、1年にすると96万ドル(約1億1000万円)の収益を上げることに成功したのがアリシア・シェイファーさん。この売り上げはアメリカでトップの整形外科医の収入とほぼ同じだそうですが、高収入を得にくいネットショップでシェイファーさんがなぜ成功したのか、Co.Designでその秘密が明かされています。
How One Woman Makes Almost $1 Million A Year On Etsy | Co.Design | business + design
http://www.fastcodesign.com/3042352/how-one-knitter-makes-almost-1-million-a-year-on-etsy
シェイファーさんのお店の名前は「ThreeBirdNest(三匹の鳥の巣)」で、これは三児の母であることを誇りとして名付けられたもの。現在ThreeBirdNestが受ける注文の数は、自身のウェブサイトと手作りアイテムのオンラインショップEtsyを通して1日150件ほどで、その多くは3つ程度のアイテムを同時に注文したものだとのこと。休日になると注文の数は700件から1200件にまで上るそうです。2015年1月の売り上げは12万8000ドル(約1500万円)で、お店を始めてから3年間でEtsyを通してだけでも10万以上のアイテムを売り上げています。
レッグウォーマーやボヘミアンなスカーフ、レースでできたヘッドセット、そして「ごはんをちょうだい、そして私をかわいいと言って」という子どもが母親に構ってもらいたがっているようなメッセージ付きのTシャツなど、シェイファーさんが販売するのは若い女性に好まれそうなファッションアイテム。Etsyの販売サイトを見ると、一体どんな感じのアイテムなのかが分かります。
これがシェイファーさんがEtsy上でアイテムを販売するページ。
Boot Socks Leg Warmers & Cute Lace Headbands by ThreeBirdNest
https://www.etsy.com/jp/shop/ThreeBirdNest
2200円ほどのヘッドバンドや4500円ほどのレッグウォーマーなど、アイテムはリーズナブルなものばかり。
服の下に重ねるレースのスリップや……
花柄のスカーフ。
レザーのブレスレットなどもあります。
Etsy上にお店を持つ「オーナー」にとって、月に10アイテムが売れればいい方で、65%のオーナーは1年を通しての売り上げが100ドル(約1万2000円)以下であることが分かっています。では、シェイファーさんはなぜこんなにも売り上げることができたのでしょうか。
Co.Designは、シェイファーさんの成功のカギが「確固たるモチベーションにある」としています。もともとシェイファーさんは自分でブティックを立ち上げた起業家なのですが、経営がうまくいかず家族を養うだけの収益が得られなくなったため、子どものブランケットやベビーカーといったアイテムを売り出さなければならない状況にまでになっていました。自分の作ったアイテムはお店でも販売していたのですが、少しでも生活の足しになればとオンラインショップを始めたのがきっかけです。
ビジネスの失敗で自信を喪失していたシェイファーさんですが、2011年の12月にオンラインショップを始めてから2週間後、ThreeBirdNestは90個ものアイテムを売り上げます。始めは「まぐれに違いない」と思っていたシェイファーさんでしたが、ホリデーシーズンが終わってもアイテムは売れ続け、「自分一人では処理できない」と考えた彼女は友人に手助けを求めました。
現在、シェイファーさんのチームは15人の製作スタッフとプロのカメラマンで構成されています。製作スタッフはみんな「母親」であるとのこと。アイテムは100%手作りというわけではないのですが、インドの倉庫からレッグウォーマーや靴下・手袋などを輸入して、チームがレースやボタンをつけたり、不要な部分をカットしたりして仕上げを行っているそうです。これら輸入アイテムのマージンはだいたい65%ほどとのこと。
しかし、もちろん「ビジネスを成功させたい」という強い思いだけで本当に成功させることなどできません。彼女は細部までこだわり、カスタマーサービスにも力を入れ、Etsy上のeコマースについても深い知識を持っていました。だからこそ3000万人の登録ユーザーがシェイファーさんのショップで買い物できたのです。
そんなシェイファーさんがオンラインショップでビジネスを展開する上で学んだことは大きく分けて以下の5つ。
◆1:買い物をする人の気持ちで考える
by David Blackwell.
インターネット上にはEtsyでお店を成功させるためのコツを書いた記事やムービーが大量に存在します。シェイファーさんはまず、これらのコンテンツから成功のコツを学んでいきました。また、例えばEtsy上で「ヘッドバンド」を検索した時に検索結果として上がるお店の数は24個もあるわけですが、その時に「もし自分がお客さんだったらそのうちどれをクリックするか?」という視点を持つことが重要。「こういうお店にしたい」という視点だけではなく、「お客さんにどう見えるか」という考えを常に持っていることが大切です。
◆2:写真やスタイリングの重要性を知る
商品がどのくらい売れるかは展示の方法や写真にかかっていると言っても過言ではありません。Etsy上で「lace headband(レースのヘッドバンド)」と検索すると、ヘッドセットを並べている写真からマネキンに装着している写真までいろいろ表示されるのですが、ThreeBirdNestの場合はプロのモデルのような女性が実際にヘッドバンドを装着している写真を使用しています。女性はシェイファーさんの妹ですが、このように、プロっぽい写真を使うとユーザーの購買欲をかき立てることができるようです。
◆3:Etsyのアドバイスには素直に従う
Etsyにはアバウトページを作る機能やタグ機能がありますが、これらに細部まで気を遣うこと。タグはしっかりつけられているか、ショップの説明は書けているか、「about us(私たちについて)」のページの内容を人に言えるかなど、取るに足らないことに思えますが、小さな点が重なることでお客さんが受ける印象を変えることができます。
◆4:商品にばかげた名前をつけない
by Andy Castro
「ジューシーなフルーツケーキみたいな花飾り」といったような検索されにくい名前をアイテムにつけるのは避けるべき。「色とりどりの花飾り」「バースデーパーティー用の飾り」など一般的なものをつけたほうがいいとのことです。実際にThreeBirdNestのアイテムにつけられている名前を見てみたところブラウンのブレスレット1つ取ってみても「Leather Bracelet, Boho Cuff, Indie Fashion Accessories, Linked Leather Wrap Bracelet in Browns(レザーのブレスレット、ボヘミアンの腕輪、インドのファッションアクセサリー、レザーが連なった茶色いブレスレット)」など、そのままタグになってしまいそうな言葉がずらりと並んでいました。
◆5:お客さんにはやりすぎなくらい丁寧に接する
by Erik Söderström
ThreeBirdNestは広告費を使うことなく、お客さんに作って欲しいものを尋ねたり、商品を送る時に次回の買い物が5%オフになるクーポンをつけたり、あるいはブログに記事を書いて欲しいとお願いしたりすることで、SNSを介して評判が広がっていきました。また、注文を受ける前に製品を準備しておいてすぐに発送できるようにし、メールの返信を即座に行い、相手からの返信も忘れずに確認するなど、カスタマーサービスを強化することの効果は非常に大きいとのことです。
2015年に入って子ども向けのアイテムも販売し出したThreeBirdNestの目標は、家族全員が利用できるブランドにすること。ThreeBirdNestには複数の製作メンバーがいるため、現在シェイファーさんが実際に得るお金は年5万5000ドル(約650万円)ですが、シェイファーさんは「人は『すごい金額だね』と言いますが、私はそうは思いません。座って人に指図したり、『働け』と命令するのではなく、私はしゃかりきに働いています。家に帰って子どもを寝かしたら、あとは働きづめ。1週間のうち7日間、24時間勤務なのです」と語りました。
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