取材

イセエビもロブスターも似たようなものだと思っていたら、どうみてもハサミがザリガニでした


「伊勢えび」をお得に食べたかったので、アメリカのスーパーでロブスターを手に入れました。日本では考えられないロブスターの巨体を見るだけでテンションが上がります。茹で上げると赤く染まるロブスター。尻尾にはぷりぷりとした身がぎっしり。頭には蟹のような味噌も詰まっていました。そして、巨大なハサミ……。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。カリブ海の島国を周った後は、トランジットでフロリダに4日間滞在しました。2012年にモンタナ、ユタ、アリゾナと自転車で縦断して以来、約2年ぶりとなるアメリカ滞在。ロブスターを食べることを、何よりの楽しみにしていました。

◆イセエビが売られていた
カリブ海諸国を周っていた時に見たイセエビは、1匹が約35USD(約4200円)もして手が出せませんでした。でも、海外にいることだし一度は食してみたい。アメリカなら、ウォルマートなら、需要と供給が大きいから安いロブスターが手に入るはず、と期待しながらその時を待ちます。

バハマの首都ナッソーでみた魚屋さん。


ドミニカ共和国では、路上でイセエビが販売されいて、思わず足を止めました。


◆生きたロブスターの購入
照りつける日差しに椰子の木と青いビーチといったイメージを吹き飛ばす冷たい風。汗ばむほどの陽気だったトリニダード・トバゴから一転して、12月初旬に降り立ったフロリダは冬の支配下にありました。それでも、カリブ海周遊を終えてようやく一息。どこに行く予定もなかったので、のんびりと過ごしていました。

ただ、何が何でもロブスターは食べたかったので、世界最大のスーパーマーケットチェーンでもあるウォルマートの店舗へ。ここに期待していたものの、歩き疲れるほどに巨大な店内だというのに、なぜかロブスターの姿は見当たらず。「もしかして食べられないかも」と焦りましたが、帰り道に訪れた別のスーパーでようやく、水槽に入ったロブスターを発見しました。

水槽の中のロブスターたち。


「いくらになるの?」と尋ねても、1ポンドあたりの価格じゃ見当もつきません。「じゃぁ、1匹あたり大体いくらぐらい?」と尋ねると「だいたい20USD(約2400円)前後」というので、購入を決意。鮮魚コーナーの従業員が水槽からすくって、生きたままロブスターをパッキングしてくれます。値段は1lbあたり12.99USD(だいたい450gで1300円)で、1.70ポンド(約770g)のロブスターは22.08USD(約2650円)でした。会計を済ませて、鮮度が落ちないよう急いで宿のキッチンを目指します。

箱に詰められたロブスター。


箱を開けると、ロブスターが鎮座していました。底には吸湿紙が敷かれています。


缶コーラと大きさを比較。


正面からのアングル。


手に掴むのも躊躇してしまうくらいの大きさでした。美味しそうな反面、グロテスクで少し恐くもあります。生きていたので、ガサゴソと手足を動かしていました。


◆とりあえず茹でてみた
インターネットで調理方法を調べると「そのまま茹で上げるだけ」とあったため、何も考えず沸騰した鍋にロブスターを投入。しばらくするとロブスターは熱湯から逃げ出すかのように、鍋の縁へ這い上がってきました。それを見過ごすわけにもいかないので、鍋に蓋をします。ロブスターの必死の抵抗には「無駄にはしません」と手を合わせるしかありません。食事の前に「いただきます」と唱える意味を思い出しました。命を頂いていました。

蓋をしてグツグツと茹で上げます。


すっかり赤い身体となったロブスター。


ロブスターを生きたまま茹でる行為は、海外の一部では残酷だと議論にもなっています。実際の光景は残酷そのもので、だからこそ命を食べることに自覚を持ちました。賛否両論があるものの、また料理する機会があれば、調理方法は考えるかもしれません。ただ、魚に関しては活造りが一番美味しいと思ったりするのですが……。

茹で上がると、尻尾がくるっと丸まった姿に変わります。


大きさを缶コーラで比較。


生々しい外観だったロブスターも、火が通って赤くなると立派な料理に。これで、安心して食べることができます。


◆美味しくいただきました
両端から力を入れると、簡単に頭部と尾部に分かれます。


身が詰まった尻尾にかぶり付くと、プリプリとした食感は確かにエビそのもの。一口では食べきれない大きさですから、十二分にプリプリを堪能できます。塩を少々かけただけでしたが、身からはほんのりとした磯の風味が伝わってきました。


殻だけになった尻尾。


頭の部分は蟹味噌ならぬ、海老味噌が詰まっています。


スプーンに取って頂きました。控えめであっさりしているのですが、それでも白いご飯が恋しくなるほど。ロブスターの身と一緒に食べるのもありかもしれません。


最後に残った大きなハサミは、どう頑張っても手では割れません。ただ、ぎっしりと身が詰まっているので諦めたくない結果……。


自転車の調整に使っているレザーマンツールのマルチツールで、固い殻を砕くことに。南米チリで、友人のチャリダーが蟹に使っていたのが、頭に残っていまして。


ハサミの身は尻尾に比べると柔らかめ。こちらも、素材そのものの旨みが、うっすらと口に広がります。


こうして、ロブスターを十分に堪能……したわけですが、よくよく考えてみると何か違います。自分が食べたかったのはイセエビです。日本でも食べることができるイセエビには、ロブスターのように巨大なハサミはついていません。生物学的には、ロブスターはザリガニの仲間だそうです。カリブ海で売られていたものこそ、ハサミもなかったのでイセエビでしょう。費用対効果ばかり考えていたので、イセエビとロブスターを混同していました。間違ってしまいました……。いつになるか分かりませんが、いつかイセエビも口にしたいものです。

間違ってしまったものの、ロブスターはロブスターで貴重な体験ができました。日本では未だ馴染みのない食材ですが、アメリカだとこうやってスーパーで気軽に買うことができます。アメリカを訪れる機会のある方は、試してみてはいかがでしょうか?

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材,   , Posted by logc_nt

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