本場ケンタッキー州の蒸留所で教わる「バーボンの作り方」ドキュメンタリー

ウイスキーは「スコッチ・ウイスキー」「アイリッシュ・ウイスキー」「ジャパニーズ・ウイスキー」「カナディアン・ウイスキー」「アメリカン・ウイスキー」という世界5大ウイスキーに分類されており、アメリカン・ウイスキーの中ではケンタッキー州を中心に作られているバーボン・ウイスキーが有名です。そんなバーボンを作っている12カ所の蒸留所を巡って作られたドキュメンタリームービー「How Bourbon is Made(バーボンができあがるまで)」が公開されています。
How Bourbon is Made - YouTube
穀物を発酵させるまでの手順は「科学」と語るバーボン製造職人。

「バーボンの作り方は何十年も変わってない。技術や技量は移り変わるものだが、製造過程はいまだにずっと一緒なんだ」

「バーボンはアメリカが世界へ誇る国産製品さ」

流れ作業で瓶詰めされていくバーボン。

バーボンとは、51%以上80%未満のトウモロコシを主原料とするウイスキー。トウモロコシの割合が80%を超えるとコーン・ウイスキーに分類されます。

時間・炭化させたオーク樽という3つの要素がバーボンに深い味わいを形成していきます。

製造過程で、エチルアルコールの体積濃度が160プルーフ(アルコール度数80%)以下になるように蒸留を行います。

蒸留したウイスキーは125プルーフ(アルコール度数62.5%)になるように調整して、内側を焦がしたオーク材製の樽に詰められます。

香料や着色料を加えることはありません。

ケンタッキー州では上質のバーボンの製造に適した「ライムストーンウォーター」と呼ばれる石灰層でろ過された水が流れています。ライムストーンウォーターはウイスキーの風味をまろやかにするカルシウムを豊富に含んでいる一方で、風味を悪くする鉄分が除去されているので、添加物を加えなくても風味豊かなバーボンを作ることができるとのこと。

これは穀物粉を作っているところ。

破砕する前に振動する網の上に落として不要な汚れなどを払い落とします。

原材料のコーンが大量に用意されています。

以下の写真では「マッシュ」と呼ばれる作業を行っており、粉々に破砕されコーンとスターチに加水したため、灰色っぽく濁った液体になりました。

これを機械でかき混ぜて、布を通してろ過して抽出。

抽出した液体に麦芽を加えて、大がかりなボイルマシーンで加熱します。

大きな釜が並ぶ発酵室にやってきました。

ここで酵母を加えることで、酸素とアルコールが反応して発酵させることができます。

発酵して表面がプクプクと泡立っています。この状態で3日間かけて発酵させるとのこと。

この状態だと味はビールに似ているそうです。

3日間の発酵が終わったら蒸留所へ移動します。

蒸留にかかる圧力をしっかりと調整する頑丈そうなフタ。

蒸留水がドバドバ流れています。壁にはジムビームのラベルが貼られており、山崎蒸留所のような一般客向けの見学スペースになっている模様。

蒸留器はこんな感じ。

中で発酵が終わった「もろみ」がボコボコに加熱されており、わき上がる水蒸気を抽出していきます。

蒸留器の形はさまざま。使い込まれて年季が入っているものから……

ピカピカのものまで。

蒸留されたばかりのバーボンはニューポットと呼ばれるもので、無色透明です。

グラスに注がれる蒸留酒。

職人が香りと味わいを厳しくチェックしています。水のように見えてアルコール度数は60%以上あるので、飲む機会があってもゴクゴク飲まないように注意して下さい。

蒸留器には種類があり、以下の左側に写っているのはウォッシュ・スチル(ビア・スチル)と呼ばれる初回の蒸留に使われるもの。

これは2度目の蒸留に使われる蒸留器で、「ダブル」と呼ばれているとのこと。これらの単式蒸留器は総称してポットスチルという名称。

というわけで蒸留が終わったら、次はホワイトオークの樽に詰められます。

できたてのニューポットが入った樽は貯蔵庫に並べられ、2年~数十年以上にわたって貯蔵することで、熟成が進んで風味豊かなバーボンへと変化するわけです。

「これは温度によるものではなく、樽の中の圧力によって熟成するものなんだ」

内側を焦がして炭化させているため、オーク材の成分がティーバッグのようにウイスキーに溶け込んでいくわけです。ただし、アルコールの分子は密閉した材木のすき間を通り抜けられるため、熟成後の容積は半分ほどに減少してしまいます。

「樽を開けたら中が空っぽになっていることもあるんだ。胸が痛む瞬間さ」

熟成が終わったバーボンは、ベルトコンベアに並べられた瓶の中に機械で注入されていきます。


透明だった液体が深い琥珀色に変化しているのがわかります。

コルクを締めるのは手作業。

作られていたのは馬のキャップが特徴的なブラントンだったようです。

「これこそが人生の旅さ」という職人の言葉でムービーは終了。

これだけの手間をかけて最後に残るのは半分だけ、というバーボンウイスキーは、なんともぜいたくなお酒と実感。製造工程を直接見たい場合は、サントリーの山崎蒸溜所、白州蒸溜所、ニッカウヰスキーの余市蒸溜所などで見学を受け入れており、バーボンとは異なるジャパニーズ・ウイスキーを知ることも可能です。
・関連記事
日本人はどのようにアメリカの文化を改良しているのか? - GIGAZINE
日本が世界に誇るジャパニーズウイスキーの元祖山崎蒸溜所に行ってきた - GIGAZINE
たった24時間で3年分もウイスキーをおいしくする「Whiskey Elements」 - GIGAZINE
ウイスキーを入れるあの「樽」が作られていく工程がよくわかる「The Birth of a Barrel」 - GIGAZINE
良いウイスキーを作る蒸留所には必ずネコがいる - GIGAZINE
オトナのウイスキーかき氷「みぞれ山崎」を食べてきました - GIGAZINE
冷やした石で飲み物の温度を最適化する「Rox」でコーヒー・ビール・ウイスキーを飲んでみた - GIGAZINE
ソファの下に2日間閉じこめられた男、ウイスキーを飲んで生き延びる - GIGAZINE
・関連コンテンツ
in 動画, 食, Posted by darkhorse_log
You can read the machine translated English article A documentary on "How to make Bourbon" t….