ソニーが公募で選びつつも使用せずお蔵入りにしていたロゴとは
By warrenski
戦後の日本に誕生し、その後は世界に飛び出して今では世界中に知られている日本発のブランドが「ソニー」です。4文字のアルファベットがデザインされた「SONY」のロゴは街中やテレビ、ネットなどで毎日にように目にすることが多いものですが、実はこれまでに一度だけそのロゴを公募して刷新する試みが行われたことがあります。しかし、選ばれたデザインは実際には使用されず、お蔵入りになっています。
The Sony Logo That Never Was | Co.Design | business + design
http://www.fastcodesign.com/3038869/the-sony-logo-that-never-was
デザインの公募が行われたのは、ソニーが設立35周年を迎えた1981年(昭和56年)のこと。それまで用いられてきたロゴのデザインを一新すべく全世界に対して公募を行ったところ、北米、ヨーロッパ、アジア、そしてもちろん日本など世界中からおよそ3万件にも達する応募が寄せられました。
コンテストを進める専門のチームはまず3万件の応募作品から59件にまで絞り込みを行いました。そして、選抜されたデザイン案がソニーの取締役会、デザイナー、営業本部、そして当時の取締役であった盛田昭夫氏などの審査を受け、以下の3つのデザインが最優秀作品として選ばれるに至りました。
コンテストの勝者はドイツのVilim Vasata氏、オーストラリアのBruno Grasswill氏、そしてアメリカのFred Burton氏の3名で、ソニーでは「優劣がつけがたい」として3作すべてをコンテスト勝者として認定し、賞金を3等分することでコンテストは終了。Time誌にはコンテストの結果を公表する広告ページが掲載されました。
By Greg Prichard
いずれもまさに「80年代」を象徴するようなテイストのデザインですが、結果的にこれらのロゴが日の目を見ることはありませんでした。その理由は、盛田氏と井深氏が「今のロゴのほうが明快で良い」と判断したことによるものだったそうですが、以下の現行ロゴを見るとその判断が正しかったことも理解できそう。Clarendon(クラレンドン)フォントのボールド体、もしくはそれに類似する書体が用いられた現行デザインは、非常にシンプルで分かりやすいデザインに仕上がっているといえます。
ソニーのサイトで公開されているドキュメンタリー「Sony History」でも、そのいきさつが紹介されていました。
「SONYブランド」の出発 第2話 インパクトのあるキャッチフレーズ
ソニーが創立35周年を迎えた1981年、「新しいロゴをつくろう」と世界からデザインを公募したこともあったが、結局、井深と盛田の「今のロゴのほうが明快で良い」の言葉で、1973年にできたデザインがその後も守り続けられている。
さまざまな企業のロゴを集めたサイト「Logopedia」では、ソニーの前身である「東京通信工業」(東通工)や、社名を「ソニー」に変更して以降のロゴの変遷を見ることができます。
By Logopedia
企業やブランドのイメージを世間に伝えるにあたって、そのロゴが果たす役割は言うまでもなく非常に大きなものがあります。果たして上記の3デザインが採用されていたとしても、2000年代にも生きながらえていたかどうかを考えると当時の判断は正しかったと言えそう。古くからブランドイメージを重要視してきたソニーですが、その姿勢は大賀元社長が語る以下の言葉に集約されています。
「SONYブランド」の出発 第4話 ブランドイメージ、ナンバーワン
「SONYの四文字は最大の財産だ。しかし、なぜこんなにブランドイメージが高くなったか、改めて考えて整理しなくてはいけない。それが、これからのソニーの行動指標、経営指標になるからだ」と大賀は語っている。
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