スープストックトーキョーの味を手軽に家庭で楽しめるはずのレシピ本第2弾でスープ&カレーを作ってみた
うま味調味料や保存料を使わずに手間暇かけることで素材の味を生かしたおいしいスープを作るSoup Stock Tokyo(スープストックトーキョー)の味を家庭で再現できるレシピ本の第2弾が「Soup Stock Tokyoのスープの作り方2 日常スープ篇」です。第1弾はSoup Stock Tokyoのスープがどれだけ手間暇をかけているのか体感でき、かつ家庭レベルではないおいしいスープが作れるようになっていたので、「日常スープ篇」と題された第2弾がどんな感じになっているのか、実際に作って確かめてみました。
レシピ本「Soup Stock Tokyoのスープの作り方 2 ~日常スープ篇~」を10月30日(水)出版します|Soup Stock Tokyo
http://www.soup-stock-tokyo.com/news/recipebook2.php
これが「Soup Stock Tokyoのスープの作り方 2 ~日常スープ篇~」
全95ページで、分厚さはこのくらいです。
これが目次。レシピは「Chapter 1:時間をストックするスープ」「Chapter 2:季節の恵みを身体に取り入れるスープ」「Chapter 3:身体を整えるスープ」「Chapter 4:仲間と心豊かな時間を過ごすための料理」「スープのある毎日」「調理の基本」に分かれています。看板メニューであるオマール海老のビスクなどの作り方が公開されていた前回のレシピ本では「オマール海老の頭ってどこで売っているの???」というところからスタートしましたが、今回はより身近なスープが並んでいる印象です。
目次の端には前回のレシピ本と同様に「大さじ1=15cc」「適宜は『あればお好みで』の意です」「調味料については、目安になる分量を記してありますが、必ず調理の最後に自分の舌で確認し、味を調えてください」など、料理初心者でも困らないように表記のルールが記してありました。
ということで、レシピの中身を見てみます。まずは「Chapter 1:時間をストックするスープ」から香味野菜をオイルで炒めた「ミルポワストック」
作り方は写真付きで親切。ミルポワストックは冷凍で3週間程度持つので、たくさん作って冷凍しておけば、スープ以外にもハンバーグ・ミートソース・カレーなどを作る時に重宝するとのこと。
このミルポワストックがあれば、一見手間のかかりそうなチリコンカルネやラタトゥイユカレーも手間や時間をかけずに作れるというわけです。
「Chapter 2:季節の恵みを身体に取り入れるスープ」では春・夏・秋・冬それぞれの旬の食材を使ったレシピを紹介。
また「Chapter 3:身体を整えるスープ」では「肉の食事が続いた後は」「風邪の予防に」「二日酔いの翌朝は」「ストレスがたまってきたら」など、自分の体の状態に合わせたスープを作ることが可能です。
さんまのつみれスープなど体に優しそうなレシピが並んでいました。風邪気味の時などにはまずインターネットで二日酔いに良い食べ物を検索して、レシピを調べて、さあ作ろう、となるので、体調からレシピを一発で選べるのはかなりよさげです。
「Chapter 4:仲間と心豊かな時間を過ごすための料理」ではただ料理の作り方を紹介するのではなく、前日の支度からパーティーの終宴まで、仕込みや時間配分のコツまで記載されているという、ユニークな章。
前日までにやっておくことや、午前中のやるべきことなどが書いてあるので、「たくさん料理を準備しないといけないのに、時間配分を間違って間に合わない!」ということにならず非常に便利そうです。
パーティー用の料理なので、スープだけではなく、野菜といかのフリットや4種のチーズのピザなどのレシピも公開してありました。
「スープのある毎日」では忙しさゆえに削られてしまいがちな「食事の時間」を豊にすごすために、なるべく手早く作れる「一汁一菜の献立」を紹介。
「調理の基本」は調理のコツやそろえておくべき調理器具・器について解説しています。
「チキンストック」「昆布かつおだし」「干し貝柱だし」「ほうじ茶かつおだし」などの基本だしの作り方も記載されていました。
◆牛すじ煮ストック
ということで、実際に本の中に書いてあるスープを作ってみます。今回は手間暇かけることでおいしいスープを作った前回とは反対に、できるだけショートカットを図りたいということで「Chapter 1:時間をストックするスープ」から「牛すじ煮ストック」を使ったスープを作ってみます。まずはベースである「牛すじ煮ストック」を作っていくため、牛すじ1kgとスライスしたショウガ3枚を用意。
牛すじ1kgはこのくらいの量です。かなり山盛りなので、ストックがたくさん作れてショートカットが図れるはず。
まずは圧力鍋に1kgの牛すじとショウガを入れ、水1000ccを注ぎ入れます。
水を沸騰させるとアクがでてくるので、しっかりとアクとり。
アクがとれたらフタをして圧力をかけます。とくにレシピ本に指定がなかったので、今回はビーフシチューを作る時と同様に、2段階のうち「強」の圧力で20分間弱火で加熱しました。
20分後、お鍋の中はこんな感じに。かなり脂が浮いています。
次は煮込んだ牛すじをスープと分ける作業。
こんな感じ。
しばらく冷ましてスープと牛脂とを分離させます。冷蔵庫で冷やしているときれいな2層になりました。
「何かのスイーツ?」と聞かれるほどクリーミーな見た目の牛脂。これをスープと分離させていきます。
これで牛すじスープ・牛脂・牛すじ煮の完成。保存の目安は冷蔵で2日、冷凍で3週間程度なので、すぐに使わない分はプラスチック容器やジップロックなどに入れて冷凍保存しましょう。
◆牛すじとクレソンのベトナム風スープ
「牛すじ煮ストックはできたし、スープを作るにしてもあとは材料を放り込むだけだろう」と思いつつ「牛すじとクレソンのベトナム風スープ」のレシピをよく見たら、材料の項目に「昆布かつおだし(p89)」という文字。市販の顆粒だしを使っても問題ないと思いますが、 こだわりのスープを提供するSoup Stock Tokyo、ここは本に記載されている「調理の基本」の89ページに従ってだしをとっていきます。まずは昆布15gとかつお節12gも用意。
しっかり絞った布巾で汚れをとり5~6cm角にカットした昆布を30分ほど水1000ccにつけておきます。
30分たったら、弱火で10分ほど加熱。
沸騰する直前で火を止め、お湯から昆布を取り出し、アクを取ります。
一度強火にして沸騰したらかつお節を投入。
かつお節の動きが静かになったら火を止め、ざるにキッチンペーパーを敷いてかつお節をこします。
できあがり。
昆布かつおだしを用意し、ようやく牛すじとクレソンのベトナム風スープを作る準備が整いました。クレソン・大根・ショウガ・ニンニク・塩・砂糖・魚醤・牛すじ煮・牛すじスープ・コショウなどを用意し、調理を始めます。
まずはお鍋の中に乱切りにした大根・牛すじ煮・牛すじスープ・昆布かつおだしを投入。中火で加熱し、大根に火を通します。
大根に火が通ったら、砂糖やショウガ、ニンニク……
魚醤を入れてさらに2~3分煮込みます。
一度冷まして全体に味をなじませてから、ふたたび中火で加熱し、クレソンを投入。一煮立ちさせたら塩で味を調えます。
これで完成です。牛すじ煮ストック・昆布かつおだしを取る手間暇はガッツリかかりましたが、それさえ準備されていればあとは材料を投入して煮るだけとかなり簡単なスープで、所要時間は20分ほど。夕食どころか朝食としても食べられそうな手軽さでした。
しかし、スープを飲んでみるとアッサリしつつも牛すじのコクがあり、かなり深い味わい。牛すじ煮ストックを作った際に出た牛脂を使っていないためか、肉の食べ応えはあるのにくどさや脂っぽさがありません。魚醤を使っているので好き嫌いがあるかも……と思っていましたが、昆布かつおだしがベースなので予想以上に和の雰囲気で、エスニック料理が苦手な人でも飲みやすいつくりです。
大根にもだしが染みていてウマウマ。
ドーンと大きな肉塊が入っているのも家で作るスープならでは。クレソンはカルシウム・βカロテン・ビタミンC・ミネラルが豊富なので、やわらか牛すじ肉をがっつり食べつつもバランスが取れた食事ができるというわけ。レシピ本には新鮮なクレソンは香りが強いとあったので、素材が新鮮であるほど味のメリハリがつきそうです。
トッピングでコショウをつけても味にアクセントがでてグッド。スープストックトーキョーのスープは基本的に無国籍っぽい雰囲気のものが多いので、このスープは非常に「らしい」味わいになっていました。今回は比較的サッと加熱していますが、牛すじ煮と大根をさらに煮込めば味がしみておいしくなることが想像できるので、大量に作って味の変化を見るのもよさそうです。牛すじ好きにはたまらないスープとなっていました。
◆牛すじの和風カレー
牛すじ煮ストックを使った次なるメニューは「牛すじの和風カレー」。これもベトナム風スープと同様、牛すじ煮ストックの他にチキンストックを作る必要があったので、まずはもも肉・手羽肉・ホールの白コショウを使ってチキンストックを作っていきます。
水を沸騰させたら、その中にお肉を全ていれていきます。
これは何をしているのかというと、アクとりの作業。このお湯は捨ててしまうので、あまりゆですぎないようにしましょう。
アクが取れたらお肉を流水ですすぎつつ、手羽先に残った羽根や血を取り除いていきます。
再びお肉を鍋に入れたら、3000ccのお水を注ぎます。なお、このレシピで作れるチキンストックの量は1000ccなので、かなりの水分が蒸発していくということ。
粉々になっていない丸ごとホールのホワイトペッパーを入れて……
中火で40~50分ぐつぐつ煮込みます。
アクとりを忘れずに。
手羽肉が手でほぐれるくらいの柔らかさになったらザルにキッチンペーパーを敷いてスープをこします。
これでチキンストックの準備が完了。
ということで、ようやく準備が整ったので、カレー作り。材料は牛すじ煮・牛すじスープ・牛脂・チキンストック・たまねぎ・りんご・白ネギ・こんにゃく・ショウガ・ニンニク・トマトペースト・ヨーグルトなど、かなりいろいろ使っています。
まずは鍋の中に牛脂を入れます。
すり下ろしたニンニクとショウガを入れ、香りが立つまで炒めます。
そこにタマネギのみじん切りを投入。
きつね色になるまで中火でじっくりと20分ほど炒めたら……
牛すじ煮
そして手でちぎったこんにゃくを加えて軽く炒めます。
今回は市販のルーは使わず、カレー粉・クミン・コリアンダーを使ったカレー。
ということで、上記のパウダーを合わせたものを鍋の中に入れていきます。
香りが立つまで弱火で1~2分炒めます。
そこに、牛すじスープ・すりおろしリンゴ・チキンストックや……
トマトーペーストなどを加え、15分ほど煮込みます。
かなりカレーっぽくなってきました。
今度は別のフライパンにサラダ脂を引いて、2cmぐらいにカットした白ネギに焦げ目をつけます。
これをお鍋に投入し、白ネギが柔らかくなるまで、さらにグツグツ。
最後に塩・しょうゆ・生クリーム・かつお節などで味を調えたら……
できあがり。
さっそく食べてみると、リンゴの甘さがありつつも、食べた後にジワジワ体が熱くなるスパイシーさがありました。牛すじスープやチキンストックを1から作っただけあってコクがしっかりあるのですが、市販のカレーのように口の中にベットリ張り付く感じがなく、後にひかないサラッとした味わい。甘さ・辛さ・コク・旨みのバランスが絶妙で、いつものおうちのカレーと少し違って、レストランやカフェのような雰囲気です。
カレーにコンニャクというと不思議な感じがしますが、予想外に相性はよいです。牛すじ・コンニャク・ネギという土手焼のような組み合わせが確かに和の様相をかもしだしていました。
今回のレシピは「日常スープ篇」となっていたので、手軽に作れるスープなのかと思いきや、そこはSoup Stock Tokyoで、「事前にがんばって準備しておけば日常でもおいしいスープが飲めるレシピ」となっており「人間なにごともメリハリが大切なんだな……」としみじみしました。ただし作ったスープやカレーの味は普通に家庭で作るものと一線を画しており、料理の好きな人であれば試してみる価値はアリ。また、体調に合わせたレシピが紹介されている他、基本だしの取り方や必要な調理器具まで丁寧に解説されているので、料理初心者やこれから1人暮らしを始める人にもオススメできる本となっていました。
なお、「Soup Stock Tokyoのスープの作り方2 日常スープ篇」はAmazonで税込1512円で購入可能となっています。
Amazon.co.jp: Soup Stock Tokyoのスープの作り方2 日常スープ篇: スープストックトーキョー: 本
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