超低コストで火星到達を果たしたインドの火星探査機「マンガルヤーン」とは?
2014年9月24日(水)に、インドの火星探査機「マンガルヤーン」が無事に火星到達を遂げました。これまでアジアからは日本の「のぞみ」や、中国の「蛍火1号」が火星を目指しましたが、どちらも失敗に終わっており、初挑戦のインドがアジア初の成功国となりました。そんなインドの火星探査機はアメリカの探査機に比べて10分の1という驚きの低コストで作られています。
ISRO: Mars Orbiter Mission
http://www.isro.org/mars/updates.aspx
BBC News - Why India's Mars mission is so cheap - and thrilling
http://www.bbc.com/news/science-environment-29341850
マンガルヤーン・プロジェクトに充てられた予算は45億ルピー(約7400万ドル/約80億円)で、欧米基準と比較すると驚くほど安価です。2014年9月22日(月)にアメリカの火星探査機「メイブン」も火星到達を果たしていますが、マンガルヤーンの10倍ほどの6億7100万ドル(約732億円)のコストがかかっています。低コスト実現の理由は、人口大国のインドにおいて、低い人件費で開発スタッフを雇用できること。他国における宇宙開発はエンジニアや科学者に必要な人件費が予算の大部分を占めます。また、高価な海外輸入を避け、優先的に国産の部品や技術を使用していることも理由に挙げられます。
シンプルな設計にこだわったことも理由の1つで、2018年のヨーロッパ火星探索計画の主要研究者となるイギリス人のアンドリュー・ユーツ教授は、「マンガルヤーンは徹底的にコンパクトに作られており、可搬重量はたったの15kgに抑えられています。複雑な計器類を搭載するメイブンと比較すれば、コストについて説明がつくでしょう」と話しています。
もちろん、装備の縮小によって他機よりも調査範囲は縮小されてしまいますが、マンガルヤーンは大気中のメタン測定装備を搭載しています。大気中のメタンの調査は火星研究で最も注目されている分野の1つ。地球の大気には大量のメタンが含まれており、その大部分は地球上の生物の消化器官内で見つかるメタン菌のような微生物から生成されています。そのため、火星にメタンが確認されれば、メタンを生成する虫や微生物が生息していると予測できるため、マンガルヤーンの今後の調査結果は、欧米でも注目されています。
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