「モラル」ある行動は宗教を信仰しているかどうかに関わらず一定の確率で生じる

By haRee

人間の持つ倫理観や道徳観のことを「モラル」と呼びますが、最新の研究により人間のモラルは宗教を信仰しているかどうかには関係していないことが判明しています。

Morality in everyday life
http://www.sciencemag.org/content/345/6202/1340


Scientists used smartphones to test morality in the real world | The Verge
http://www.theverge.com/2014/9/11/6133619/in-the-real-world-being-religious-doesnt-make-you-commit-more-morally

モラルは単純なものと思われがちですが、各個人の「モラルの基準」というものはいくつもの要因に基づく複雑なものです。例えば、アメリカの保守派は高く評価しているものに対しては誠実さや清潔さを示すそうで、自由主義者は思いやりや公正な考えに基づいてモラルある言動をとる傾向があると考えられていました。このように、「○○な人は××な行動をとりがち」といった指標は、これまでたくさん行われてきた研究調査により明らかになったものです。

しかし、1880年に創刊された世界有数の学術誌「Science」に掲載された最新の研究では、これまでの研究とは異なり研究所ではなく町中でモラルに関する調査を行ったそうです。研究所ではなく町中で調査を行うことで、実際の日常生活で人々はどのようにモラルに関する判断を下すのか、などが調査できるようになったとのこと。

By Ted Sakshaug

「調査方法はとても奇抜なものでした」と、語るのはSaint Peters Universityの心理学者であり、Science誌で公開された論文の共著者でもあるDan Wisneski氏。「これまでのモラルや倫理学に関する多くの研究は、研究所という『管理された環境』の中で行われてきました。先行研究を活かしながらさらなる知見を得るため、これまでの研究成果と日常生活の中で人々が下すリアルなモラルに関する判断とを比較した」とも言います。

研究では1252人の成人アメリカ人とカナダ人に、3日間、モラルに関する経験についてアンケート調査を行いました。この調査というのは、被験者が1日当たり5回ランダムなタイミングでテキストメッセージを受け取り、そしてメッセージを受信するまでの間に経験したり見かけたりした、「モラル」もしくは「インモラル」な経験を問いかける、というもの。

被験者は何かしらモラルに関する経験をした際、スマートフォンなどを使ってその出来事の詳細を研究員に説明するわけですが、この回答は研究者により、公平性・誠実さ・権力・尊厳・自由などの「モラルに対する考えの出発点」に基づいたカテゴリーに分けられます。さらに、被験者は調査に協力する度、抽選で賞品がもらえるようにもなっていました。

By Eric Rice

この研究で明らかになった結果は非常に興味深いもので、例えばモラルある行動をとったという場合には「思いやり」がそのベースにあったとのことですが、インモラルな行動の場合はその動機はさまざまで、そのほとんどが「悪意」だとか「不当さ」、「不正」などが原因になっていたそうです。

さらに、モラルある行動は、宗教を信仰しているか無宗教であるかに関わらず約29%の確率で行われたことも明らかになっています。また、多くの場合モラルある行動は道徳的な考えにコミットしているものですが、普段モラルある行動を取ることで「多少であればインモラルな行動を起こしても良い」と勝手に自分の行動を正当化していくことにもつながる、とのことです。

By Ed Yourdon

何人かの被験者は調査の行われる3日間ずっとインモラルな行動をとっていたり、「実験が我々によりモラルある行動をとらせようとしている」と語る被験者もいたそうですが、研究では被験者が「モラルのない行動も積極的にレポート」するように報酬を用意しており、「この研究結果は被験者の経済状態をよく表すものになったのでは」とWisneski氏は語っています。

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in サイエンス,  メモ, Posted by logu_ii