ハリケーン被害の教訓から無線メッシュネットワークを街全体に構築する試み
By Kārlis Dambrāns
アメリカのニューヨーク湾に位置するレッドフックは、2012年のハリケーン・サンディで甚大な被害を受けた地区の1つ。復旧作業によって街は立ち直っていますが、さらにハリケーンの教訓を生かして、どこでもすぐにインターネットに接続可能な地域密集型のメッシュネットワーク「Red Hook WiFi」が構築されています。
Red Hook’s Cutting-Edge Wireless Network - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2014/08/24/nyregion/red-hooks-cutting-edge-wireless-network.html
Hyperlocal Mesh Networks – AVC
http://avc.com/2014/08/hyperlocal-mesh-networks/
レッドフックはブルックリン区の中にあり、単身や工場勤務者向けの公営住宅団地が立ち並んでいます。地下鉄は通っておらず、唯一の公共交通機関はダウンタウンへ続くバス網と、時々運行されるIKEAフェリーや水上タクシーのみとのこと。
この地区は2012年に上陸した大型ハリケーン「サンディ」によって大きな被害を受けたことでも知られています。携帯電話がつながらず、モバイル通信もつながりにくい状況だったハリケーン被害の教訓から、地域団体のRed Hook Initiativeが、街の通信環境を強化するため街全体をカバーする規模のメッシュネットワークの構築作業を進めています。
メッシュネットワークとはさまざまなポイントにノードを設置して、ノード同士が相互通信を行うことで網の目のように広がるネットワーク通信の形態。公衆Wi-Fiのアクセスポイントは、ルーターを中心にしたエリア内でしか通信を行うことができませんが、メッシュネットワークならどこでもインターネット通信を得ることができます。ノードは公衆インターネットに接続して通信していますが、ネットが落ちてしまってもローカルで相互通信を続けるため、災害時でも無線ネットワークを通じてメールや音声通話をかけることが可能になります。
通信機器は以下のように教会などの高い建物の屋上に設置されています。
ノードなどの設備は比較的安価で済むとのことで、インターネットは無料で提供されています。Red Hook Initiativeはノードの設置場所を探せるサービスも開始しており、インターネット普及率の低い地域でも、ノードが近くにあれば無料でインターネットが使用可能になるとのことです。
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