見知らぬ人の顔でも一瞬見れば脳は即座に相手の印象を決めてしまうことが明らかに

By Mait Jüriado

男性の顔が「性的に魅力があるかどうか」を判断するとき、女性は男性の唇やあご等の各パーツを見て判断するそうですが、そもそも人間の脳は、脳が認識できるスピードよりも早い一瞬の間に人間の顔写真を見せられるだけでも相手の印象を自動で決めてしまい、この印象は実際にじっくり相手の顔を見た際の印象と同じ結果になる、ということがニューヨーク大学の研究により明らかになりました。

What your cheekbones say about you: Study shows brains make snap judgments on whether to trust a face ‘in a matter of milliseconds’ - Science - News - The Independent
http://www.independent.co.uk/news/science/what-your-cheekbones-say-about-you-study-shows-brains-make-snap-judgments-on-whether-to-trust-a-face-in-a-matter-of-milliseconds-9652367.html

Face Value: How Our Brain Decides Who We Can Trust - Everyday Health
http://www.everydayhealth.com/news/how-our-brain-decides-who-we-can-trust/?xid=tw_everydayhealth_sf

これまで人間の顔を見た際に形成される印象についての研究は多々行われてきました。これらの先行研究により、人間の脳は見知らぬ人の顔を見た際に自動的に相手の第一印象を決めることが分かっており、例えばほお骨が出ていると相手に信頼されやすく、大きな目の人は相手に魅力的に見られる、と考えられています。しかし、なぜ人間の脳がそのように感じるのかはほとんど不明なままでした。

研究では現実の顔とコンピューターで生成した顔のセットを用意し、被験者に一定数の顔のセットを見てもらい、先行研究が示すような印象を抱くのかどうかをまず調査したそうです。この実験結果は、先行研究の結果とおおむね同じものであったそうで、人間は顔の印象から受ける信頼性に関する判断を強く信じる傾向にあることも判明しています。

その後、他の被験者グループには同じ画像を33ミリ秒という、脳が何が起きたかを意識的に把握するのに必要な時間よりも短い時間だけ見せました。この「33ミリ秒」というのは、脳が何が起きたのかを認識するには不十分なほど短い時間ですが、脳の扁桃が反応するには十分な時間とのこと。このわずか一瞬の間に脳は顔写真から相手の印象を導きだしたそうで、その印象の結果はじっくり顔写真を見た際と同じ結果が得られたそうです。

実際に実験で使われた写真は以下のようなもの。上が現実の写真で、下がコンピューターが生成した顔写真。これらの写真は、左側が眉毛の内側が下がっており、右に行くほど内側が上がっています。さらに、左側はほお骨があまり出ておらず、右に行くほどほお骨が出ている顔が並べられています。

実験結果は、右側の写真の顔がより「信頼できる」顔と判断され、これは写真を33ミリ秒という一瞬しか見られなかった場合でも同じでした。

実験結果についてニューヨーク大学で心理学部の助教授を務めるJonathan Freeman氏は、「我々の調査結果は、脳は頭で顔を認識するよりも早く、自動的に人間の顔が信頼に値するかどうかを判断する、ということを示唆しています。さまざまな先行研究結果と、我々が行った人間の知覚外の一瞬だけ顔を見せる、という実験の際に形成される相手の印象は完全に一致しています」と言います。さらにFreeman氏は、これまでの「眉毛の内側が高く、ほお骨がはっきりとしている顔」は信頼できる顔で、「眉の内側が低かったり、ほお骨が出ていなかったりする顔」は信頼できない顔と見られる、という定説のより強固な証拠が得られた、と語ります。

さらに、先月発表されたニューヨーク大学の他の研究によれば、眉毛やほお骨以外のパーツでも同じように脳にさまざまな印象を与えることが分かっており、例えば満面の笑みは相手に「親しみやすい(Approachability)」という印象を与え、「若さや愛嬌(Youthful-Attractiveness)」などの印象は目の形や大きさに左右され、男性的な顔の構造は脳に「優性(Dominance)」と印象づけられることが分かっています。

なお、これらの特徴と実際の性格との間にはなんら相関性がないことも判明しているので、信頼できそうな顔だからといって相手を全く疑わないというのは禁物のようです。