8時間労働が誕生した経緯と労働時間を短縮すべき理由

By Amir Jina

日本では労働基準法により、雇い主は被雇用者に1日8時間・1週間40時間を超える労働をさせてはいけないことになっています。アメリカの労働時間に関する規制も日本とほとんど同じで、労働時間が週40時間、それ以上働く場合は雇い主が雇用者に割増賃金を支払う必要があります。ほとんどの先進国で1日8時間・週40時間労働が一般的である中、クレジットカードによる借金問題やお金の節約術などに消費者として取り組むサービスを提供するFrugalingが「週40時間を減らしてみてはどうか」という興味深い提案を行っています。

Destroy The 40-Hour Workweek | Frugaling
http://frugaling.org/destroy-40-hour-workweek/

日本やアメリカで1日8時間・週40時間労働が採用された発端は、18世紀半ばから19世紀にかけてイギリスで起こった産業革命までさかのぼります。当時のイギリスでは「労働時間が長ければ長いほど生産性が上がる」と考えられていたため、労働時間は1日14時間で、長いときでは16時間から18時間にもなったそうです。

しかしながら、労働者にとって14時間という労働時間は長すぎたため、健康問題や生産性の低下といった問題が勃発し、労働者が労働時間の短縮を訴える運動が巻き起こります。その成果もあり、イギリス政府は1833年に9歳未満の児童の労働を禁止し、9歳から18歳未満の労働者の労働時間を週69時間以内に制限する「工場法」を制定。工場法はその後何度か改正され、1874年には「全労働者の月曜日から金曜日までの労働時間は1日最大10時間」と定められました。

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一方アメリカでは1861年5月1日、ニューヨークやシカゴ、ボストンといった都市で38万人以上の労働者が8時間労働制を求める大規模なストライキを敢行。同年5月4日にはシカゴ市内のヘイマーケット広場で労働者による抗議集会が行われ、労働者と警察が衝突。その際に爆弾が投げ込まれ、警察と労働者の双方に死亡者が出て、後に事件はヘイマーケット事件と名付けられメーデーの創設のきっかけになったと言われています。

労働者による8時間労働制導入が要求される中、1919年に開催された国際労働機関第1回総会で「1日8時間・週40時間」という労働制度が国際的労働基準として定められました。日本では、1916年に施行された工場法を経て、1947年に労働基準法が施行され1日8時間労働が規定され、現代に至っています。

という経緯があり、現代では8時間労働が基準になっていますが、FrugalingのSam Lustgarten氏は「1日8時間・週40時間労働のおかげで、さまざまな弊害が発生している」と主張します。

Lustgarten氏によると、テクノロジーの発展のおかげで時間当たりの生産性は劇的に向上しましたが、生産性が向上したおかげで得をするのは労働者ではなく雇い主とのこと。どういうことかというと、仕事と睡眠時間以外の自由時間が制限されることで人間が求めるのは利便性。つまり、自由時間にありったけのことをするために、時間を節約したり、少ない時間で満足感を得たりすることにお金を消費してしまっているそうです。「こういった消費のおかげで労働者は怠惰になり、仕事以外の生活面を充実させる気持ちがそがれてしまう。また、労働者が自由時間に資本を消費することで得をしているのは雇い主である」とLustgarten氏は指摘します。

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さらに、「経済が不景気だ」と騒がれる一方で、大企業は成長し続けています。Lustgarten氏によると、企業の成長が止まらない理由は投資家たちが継続的な収入のために企業に圧力をかけ続けているからとのこと。Lustgarten氏は「企業が無限に成長し続けることで、人口は増加の一途をたどっている。この現象は産業革命が起こったときに人口が増加したのとは比べものにならないくらいです。また、人口増加は自然資源を減らし環境問題の原因となっており、社会は悪いサイクルを生み出してしまっている」と指摘しています。

悪循環を生み出している社会をよりよいものにするためにLustgarten氏が提唱しているのが「労働時間の減少」です。実際にスウェーデンのヨーテボリ市では市議会の2つの部署を対象に実験をスタートさせました。実験は1つの部署の労働時間を1日6時間にし、もう1つを8時間にしてどのような違いがでるか調べるというもの。ヨーテボリのMats Pilhem副市長は「少ない労働時間を課した職員の病気欠席が減少し、生産性が上がり、心と体の両方に好影響を与えることを期待しています」と述べました。

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また、Googleのラリー・ペイジ氏も「世界中で雇用問題が取り上げられ、特に若年層の失業率が問題となっています。働きたいけれども仕事が不足していると。それを解決するには、1人1人が仕事をする時間を減らすこと、つまり労働時間の短縮が必要です」と、2014年7月に行われたインタビューで発言。

スウェーデンでの動きや、ペイジ氏の発言を受けてLustgarten氏は「今こそ労働時間を短縮すべき時なんです」と主張。8時間労働が短縮されると、社会にどのような影響があるのかはわかりませんが、ブラック企業や雇用問題を解決する方法の1つとして議論されるべきなのかもしれません。

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