メモ

週4日労働は男女平等を促進する

by sarahbernier3140

労働時間を減らすと労働者の生産性が上がるという指摘はかねてから行われていますが、労働時間の短縮が雇用における男女格差を小さくできるという考えも唱えられています。出産や育児の影響で女性が低収入になりがちだという現象を、週4日労働がどのように解決し、男性・女性従業員双方の生産性や幸福度を高めるのかを、作家のCassie Werber氏が実例と共に解説しています。

Wellcome Trust's four day week is great for gender equality — Quartz at Work
https://qz.com/work/1530023/wellcome-trusts-four-day-week-is-great-for-gender-equality/

1936年に設立された公益信託団体のウェルカム・トラストが、800人のスタッフに対し週4日勤務の導入を検討していることは2019年1月に報じられました。このプランが実行されると従業員は給与額を変えずに週4日勤務を選択することが可能となり、従業員の幸福度を上げつつも仕事に良い影響を与えることができるとみられています。

ウェルカム・トラストの 政策担当部長であるEd Whiting氏は「週4日勤務の導入は、私たちが模索していた『ウェルカム・トラストの全社員の生産性や幸福にとって有益なアイデア』の初期のものの1つです」と述べており、実際に週4日勤務が導入されるかどうかの正式な決定は数カ月先とのことで、どのようなインパクトがあるのかを見当中だそうです。

男女の賃金格差が存在することはこれまでも報告されているところで、特に子どものいる女性の格差が大きいとして問題視されています。男女ともに子どもを持った時は収入が下がりますが、男性の収入額がすぐに回復するのに比べ、子どもを持った女性の収入が回復することは少ないとのこと。UK’s Institute for Fiscal Studiesは、子どもが12歳になる頃には格差は33%に拡大すると発表しています。


女性の収入が減少する原因の1つは、子どもを持つとキャリアより子育てを優先した女性の勤務時間が男性に比べて短くなるということにあります。しかし、この他にも原因はあり、たとえば育児休業が定められている国において女性は仕事を離れて育児を行いやすい一方で、男性は育児休業を取りにくいという背景があります。また既に男性が給与の多い立場にあると、失うお金を少なくするために「男性が働く」という選択が取られることもあります。

女性がパートタイムの仕事を選ぶのはパートタイムを好んでいるからではなく、出産・育児の間にフルタイムの仕事をするだけの能力がなくなるからでもありません。週4日勤務を導入すると、女性はこれまでの週5日勤務に比べて子どもに費やす時間が増えますが、他の同僚との差が生まれません。また男性スタッフも女性スタッフと同様に子どもたちと過ごす時間が増えるので、「パートタイムかフルタイムか」という選択をしなくてもよくなると考えられています。

by sathyatripodi

ニュージーランドを拠点とする資産管理会社・Perpetual Guardianは2018年10月に250人の従業員に対して試験的に週4日勤務を導入しました。週4日勤務をデザインするにあたってPerpetual Guardianは専門家と共に従業員がより生産的になるよう、いくつかのプロセスを自動化し、インターネットを使用しない仕事を削減するなど工夫を行いました。この結果、従業員のストレスが7%ポイント減少したと判明しています。Perpetual Guardianの創設者であるAndrew Barnes氏は「現代の勤務時間、環境、家族への影響については幅広い議論が必要だと考えられます」「取締役が週4日勤務であるとき、女性の背景にあるガラスの天井は取り除かれます。ジェンダーバランスは向上し、賃金格差は小さくなり、家族や子どもの存在に対する柔軟性が与えられます」とコメントしています。

The Stanford Center on Longevityの所長であり心理学者のLaura L. Carstensen氏は、キャリアの最も忙しい時期において仕事への注力が削がれてしまうことと、人生の後期においてフルタイムの仕事を強いられることの間に関連性があると主張しています。週4日勤務の実験の特筆すべきところは「全ての人に対して導入される」ということであり、このような実験は無意識のバイアスに対する訓練や、政策の変更、支払いの見直しなどよりも意味のあるものだと見られています。

by geralt

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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