ドラゴンやアルマジロでも航空力学に基づいた「飛べる」紙飛行機に変える「Pteromys(テロミス)」がすごすぎ
紙を折り曲げるだけで作れる紙飛行機は子どもたちの代表的な遊び道具の1つですが、「うまく飛ぶ飛行機がなかなか作れない……」といった経験は誰にでもあるはず。そんな紙飛行機を機械学習によって、誰でも簡単に好きなデザインかつ航空力学に沿った設計で生成することができるソフト「Pteromys(テロミス)」を、梅谷信行氏が公開しています。
Pteromys: Interactive Design and Optimization of Free-formed Free-flight Model Airplanes
http://www.nobuyuki-umetani.com/publication/2014_sigg_pteromys/2014_siggraph_GliderDesign.html
Pteromysの仕組みは以下のムービーで説明されています。
Pteromys: Interactive Design and Optimization of Free-formed Free-flight Model Airplanes - YouTube
Pteromys:インタラクティブデザインと自由曲面・自由飛行に最適化された紙飛行機モデル。
紙飛行機を自作しても、うまく飛行させるのは難しいもの。
Pteromysのシステムは自由なデザインの飛行可能な紙飛行機を実現するとのこと。以下はアルマジロモデルの紙飛行機で、「本当に飛ぶのだろうか?」と疑いたくなるデザインですが……
手で投げるとスイスイ飛んでいます。
このシステムを実現させた手法としては、まずあらゆる形の紙飛行機サンプルを作成。
サンプルの飛行軌道をビデオカメラで録画してデータ化します。
さらにサンプルの飛行軌道のシミュレーションデータと合わせて、ソフトに翼の形と揚力を学習させ、実際の物理的モデルの生成を可能にしました。
そうして作られたのが紙飛行機設計ソフト「Pteromys」。
画面の下にはシミュレーションされた飛行軌道が表示されています。
マウスで翼の形をぐにゃぐにゃ変えてみると、飛行軌道シミュレータが変動しているのがわかります。
算出された飛行軌道はどれもすぐに墜落してしまう好ましくないラインを描いていますが……
「Make It Fly」にチェックを入れると翼の位置などが自動で最適化され、ググっと飛距離が伸びました。
さらに翼の位置を変更すると尾翼の位置の自動調整される機能があったり、重心や翼の位置をマウスで動かすと自動で全体のバランスがリアルタイムで最適化されたりします。こういった機械学習を用いたシステムによって、経験のない人でも簡単に飛ぶ飛行機を作ることができるというわけです。
ソフトによって算出された飛行機モデルはレーザーカッターで切り抜かれ、切り込みに合わせてはめ込んでいくだけで完成します。
その結果、完成した自由なデザインの紙飛行機はこんな感じ。
このようなドラゴンモデルでも……
航空力学に沿った設計のため問題なく飛行。
かなり変わった形の飛行機でも……
シミュレーション通りスイスイ飛んでいました。
素材としては、紙以外にも1mmのアクリルシートも使用可能。コストはどの紙飛行機も1ドル(約100円)以下で作れるとのことです。
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