「Adblock Plus」はFirefoxのメモリ消費量を大幅に増加させている

By Pascale PirateChickan

ウェブ上の広告を自動的に非表示にしてくれる「Adblock Plus」は、Firefoxアドオンの中で最もインストールされている人気アドオンです。広告を消すことでページの読み込み速度が上がったり、ページ上の不要な要素がなくなったりしてブラウジングが快適になる効果がありますが、一方で、Adblock PlusがFirefoxのメモリ消費量を大幅に増加させていることが明らかになりました。

AdBlock Plus’s effect on Firefox’s memory usage | Nicholas Nethercote
https://blog.mozilla.org/nnethercote/2014/05/14/adblock-pluss-effect-on-firefoxs-memory-usage/

Firefoxの「最も人気の拡張機能」のページを見てみると、Adblock Plusのユーザー数は1900万人オーバー。2番目に人気のアドオンのユーザー数は約630万人なので、2倍以上の開きがあることがわかります。数年にわたってAdblock Plusを愛用しているプログラマーのNicholas Nethercoteさんは、別のブラウザを使わなければいけない時には無数の広告を目にすることになり、ぞっとすると語っています。

そんなNethercoteさんは、Adblock PlusがFirefoxのメモリ消費量を大幅に増加させていることに気付きました。Windows 7(64ビット版)を使っていると、Adblock Plusを有効化するとメモリ消費量が恒常的に60～70MiBほど増えていました。この増加分は、主にJavaScript用にあてがわれていました。

また、調べを進めていく中で、ページ中にインラインフレーム(iFrame)が使われていると、1つのフレームごとに約4MiBずつメモリ消費が増えることが判明。あちこちのページでiFrameが使われていてAdblock Plusがその読み込み阻止のために動いていると考えると、メモリ消費量が増えているという結果に納得がいくとNethercoteさんは話しています。

具体的事例としてNethercoteさんはTechCrunchへのアクセスを挙げました。TechCrunchでは各記事にSNSで共有するためのボタンが埋め込まれていて、ボタンにカーソルを合わせるとそれぞれの共有数を表示するために大量のJavaScriptコードが読み込まれます。Adblock Plusを無効化したFirefoxで見ると、194MiBの物理メモリを使用している一方で、Adblock Plusを有効化してみると、Adblock Plusが広告の読み込みをブロックしているにも関わらず、メモリ消費量は417MiBと倍以上に増加することが判明。

どれぐらいメモリ消費量が増えるのか、NethercoteさんはサンプルとしてVIM配色チェック用のサイトを挙げています。このページには400以上のiFrameが使われていて、Adblock Plusを無効化した状態のFirefoxで閲覧するとメモリ消費量は370MiBほどでしたが、Adblock Plusを有効にすると1960MiBに跳ね上がります。そのため、Adblock Plusを有効にしていた方がページ読み込みが遅くなるという逆転現象が発生します。

VIM Color Scheme Test - C - Sat Sep 26 16:32:23 2009
【iFrame大量なので閲覧注意】http://vimcolorschemetest.googlecode.com/svn/html/index-c.html

Adblock Plusを有効にしているとメモリ消費量が増加するというのは、これまで挙げたように事実です。しかし、「私を含む多くの人は広告を非表示にするための交換条件がメモリ消費量増加で済むのなら満足でしょう。広告をブロックできるのなら、喜んで余分なメモリを差し出します」とNethercoteさんは述べています。一方で、低価格PCを使っていたりしてメモリに余裕のない人もいるはずなので、Adblock Plusの作者が何らかの対策を講じることを願っています、とも続けました。