Amazonが写真撮影の手法を「発明」したとして特許を取得したことが判明
By Lenny Garza
カメラで写真を撮るために必要なことは基本的に「カメラを持ってシャッターを押す」だけで、少しこだわった写真を撮る場合には被写体のレイアウトや照明を調整したりするものですが、Amazonの関連会社であるAmazon Technologies, Inc.はそんな写真撮影の技術を「発明した」として2011年に特許を出願し、2014年3月に特許権を取得していたことが判明しました。
Amazon inexplicably granted patent for common photography flash setup | The Verge
http://www.theverge.com/2014/5/8/5696356/amazon-inexplicably-granted-patent-for-common-photography-flash-setup
Patent Images
http://pdfpiw.uspto.gov/.piw?Docid=08676045&idkey=NONE
Amazonが「発明」して特許を取得した技術のイメージ図がこちら。スタジオ設備(100)の中に配置された白いバックドロップ(背景:102)の前に配置された台(101)の上に被写体(104)を載せて写真を撮影。台はバックドロップから9フィート(約2.74メートル)の位置に配置し、床から台上面までの高さは21インチ(約53cm)。被写体を載せる台の素材にプラスチックやアクリルなどの透明な素材を使って撮影することで、真っ白な背景の中に商品やモデルが浮かび上がるような写真を撮影することができる、というものとなっています。(手順は抄訳)
スタジオを上から見た場合の図がこちら。撮影の場合には、メインストロボ(107)やリア照明(115/117/119/121)や遮光板(131/133)、遮光カーテン(108)などを組み合わせることとされています。
この特許技術を使う目的は、製品写真を撮影する際に「十分にシームレスな背景を実現する」ためとされており、被写体となる製品やモデルの姿が背景に浮かび上がるような効果を狙ったものと考えられます。
ただ、この手法そのものは以前から広く使われているものなので、他者が実際にこの手法を使って撮影を行っても特許を侵害したと特定することは困難とみられています。そのため、Amazonが特許を取得する狙いは謎とされ、海外のカメラ撮影に携わる人たちからは以下のようにFワードを使うレベルで混乱と怒りの声も挙がり始めています。
Looks like I’ll be infringing on a patent and not giving two f#cks about doing so. http://t.co/xxZWvNGqlf
— Zack Arias (@zarias) 2014, 5月 6
考えられる狙いの一つとしては、既存の技術で特許が取得されていないものを他者に先駆けて押さえるだけというものがありますが、その真相は不明です。取得した特許権を行使して大金を得ようとするパテント・トロールにつながるものではないように思えますが、過去にAmazonは1回クリックするだけでオンラインで買い物&決済を可能にする「ワンクリック特許」で裁判を起こし、実際にAppleはオンラインストアでワンクリックでのお買い物を実現するためにAmazonから特許の使用権を取得(アップル、Amazon.comの1-Click特許と商標をライセンス)、日本でも出願から14年かけて1クリック特許を成立させており、今回の写真撮影もわざわざ特許申請していることから考えて、冗談ではなくある意味「本気」で類似の写真を掲載しているオンラインショッピングサイトをたたきつぶしに来る可能性があります。
・つづき
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