メープルシロップの生産量を5~6倍に引き上げることができる新技術

by Valerie Hinojosa
パンケーキやフレンチトーストに欠かせないメープルシロップはおいしいのですが蜂蜜やコーンシロップに比べて価格が高いのがネック。そこで、よりメープルシロップを身近にするために、メープルシロップの生産量を5~6倍に増やすためのプロジェクトが行われています。
Suckers for Sap - YouTube
これがサトウカエデの木。伝統的なメープルシロップ作りはまず、サトウカエデの木からメープルウォーターという樹液を採取することから始まります。

サトウカエデは気温の低い夜の間に根から水分を吸収します。

そして気温の高い昼になると、樹木が加圧状態に変化。

そこで、木に穴を開けると……

穴の下に設置したバケツにメープルシロップ作りのもととなる「メープルウォーター」がたまっていくという仕組みです。

メープルシロップには色がついていますが、メープルウォーターは透明で、かすかな甘みがあります。もちろん年中いつでも採取できるわけではなく、メープルウォーターの流出は1年のうち約12日程度の間、気温の変化によって起こる現象です。

伝統的な採取方法の場合、採取口は樹齢40年以上、幹の太さが直径20cm以上の樹木でなければ、取り付けられません。樹木の直径が20cm増すごとに採取口を1カ所増やすことができますが、1本の樹木に4カ所以上の採取口を取り付けることは不可能。
そこで、メープルウォーターの採取方法を改良しようとしているのがProctor Maple Research CenterのAbby van den Bergさん率いるチーム。

そもそも樹液の98%は水分で、2%がスクロースという砂糖の主成分。

一方、完成したシロップは66%がスクロースで、34%が水分。

そのため、シロップを作るときには加熱処理を経る必要があります。

メープルシロップ独特の風味は、この煮詰めるプロセスによって生まれます。

また、高い温度で加熱することでキャラメルのような色合いに。

ろ過し、不純物を取り除いたら瓶や缶に入れられて……

お店に並ぶというわけです。

大規模な採取場ではチューブをサトウカエデの大きな木々に張り巡らせ、1箇所に樹液を集める大規模なところもあります。

穴に取り付けられたチューブ。

チューブの中を樹液が流れていきます。

一方Bergさんらの採取方法はサトウカエデの大木ではなく、まだ若い木を利用。

穴を開けるのではなく、人の腕ほどもない細さの木の枝をノコギリでカットし、プラスチック製のバキューム・ユニットを取り付けて樹液を吸い上げていきます。

採取されたメープルウォーターはチューブの中を流れていき、こんな感じでためられます。

若い木をカットしたら木がダメになってしまうのでは?と思ってしまいますが、そんなことはなく、木はカットされても成長を続けるので、木を傷つけてしまうことはありません。

伝統的な方法で利用されていたサトウカエデの木1本から年間0.4~0.5ガロン(約1.5~1.9リットル)のシロップが作られますが、若い木を使った場合、年間0.07ガロン(約0.26リットル)しか作れないため、一見効率が悪いようにも見えます。

しかし、若い木は大きな木と違ってたくさん植えることが可能なため、土地の広さ単位で考えると、若い木は1エーカー(約4000平方メートル)あたり300~400ガロン(約1100~1500リットル)のメープルシロップを作ることが可能となり、大きな木が作るメープルシロップの量は80~120ガロン(約300~450リットル)なので、場合によっては5~6倍以上のシロップを作ることが可能とのこと。

このプロジェクトはまだ初期の段階で、「改良された採取方法が商業的に利用可能か」といった点などは現段階では不明ですが、土地を広げずにメープルシロップの生産量を上げることができる画期的な方法であることは確か。メープルシロップは比較的高価なため安価なコーンシロップにメープルの風味を添加した商品もありますが、新たな採取方法が商業化されれば、テーブルにメープルシロップが並ぶ機会も多くなるはずです。

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