「Flappy Bird」の復活や開発秘話などを開発者がインタビューで明かす
5000万回以上ダウンロードされながらも開発者が「これ以上もう堪えられない」とコメントを残したのを最後に、App StoreとGoogle Playから削除された「Flappy Bird」というゲームがありました。Flappy Birdが姿を消した後も、ゲームシステムの酷似しているコピーゲームが次々に登場していますが、音楽や政治、大衆文化を扱う雑誌「Rolling Stone」がFlappy Birdの開発者にインタビューを実施したところ、Flappy Birdを再度復活させることや開発秘話などが明らかになっています。
The Flight of the Birdman: Flappy Bird Creator Dong Nguyen Speaks Out | Culture News | Rolling Stone
http://www.rollingstone.com/culture/news/the-flight-of-the-birdman-flappy-bird-creator-dong-nguyen-speaks-out-20140311
Flappy Birdを開発したDong Nguyen氏はベトナムのハノイに住む28歳のインディーズゲーム開発者。幼い頃にはスーパーマリオブラザーズを取りつかれたかのようにプレイしていたというNguyen氏は、16歳までにプログラミングを勉強しPC用のチェスゲームを開発します。大学に入学するとコンピューターサイエンスを勉強しながら、ベトナムのゲーム会社でインターンシップをしていたNguyen氏ですが、iPhoneとの出会いが人生を変えてしまったそうです。
iPhoneのタッチパネルで操作するゲームの可能性に魅せられたNguyen氏は当時話題になっていた「Angry Birds」をプレイしましたが、グラフィック要素を好きになれず、自分自身でiOS用ゲームの開発に着手。Nguyen氏が開発したかったゲームは「シンプルでありながらも常にアクションがあるもの」で、これはNguyen氏自身の性格を色濃く反映しています。
By Aaron Stroot
こういった経緯を経て開発されたのが2012年6月にリリースされたFlappy Birdです。プレイヤーが鳥のキャラクターを操作して土管の間をくぐり抜けるという単純なゲーム性のFlappy Birdのダウンロード数は公開当初鳴かず飛ばずでしたが、リリースから5カ月経過した11月4日に、あるユーザーが「Fuck Flappy Bird」とツイートしたことをきっかけにインターネット上の口コミで情報が広まっていき、プロモーションを全く行わずに2013年1月17日にアメリカのApp Storeで第1位を獲得。その2週間後にはアメリカのGoogle Playでも第1位に輝くという快挙を成し遂げました。
「アプリのランキングの第1位にFlappy Birdが表示されているのを見たときは本当に感動した」と語るNguyen氏の元には、AppleやGoogleに売上の30%を取られながらも1日約5万ドル(約514万円)もの大金が支払われたとのこと。見たこともないような大金を突然手にしたNguyen氏ですが、「不思議なことにそこまでうれしく思わなかったんです」と当時の気持ちを振り返ります。
Nguyen氏はFlappy Birdの大ヒットに伴いベトナムの新聞やテレビに出演まで果たしましたが、毎日自宅を取り囲むパパラッチのおかげで外出が困難になり、一時は引きこもり状態にまで追い込まれます。さらには、Nguyen氏のTwitterやメールアカウントに「世界中の子どもたちの気を散らしている」「私の学校では13人もの生徒がFlappy Birdにイライラしてスマートフォンを破壊してしまった。それでも生徒はゲームを辞めない。Flappy Birdは麻薬と同じくらい中毒性がある」「Flappy Birdのおかげで仕事を失った」「妻がFlappy Birdに夢中になり子どもたちと話さなくなった」というメッセージが送りつけられ、高校時代FPSゲームの「カウンターストライク」をやりすぎて授業をさぼってしまった経験のあるNguyen氏は、Flappy Birdが人々に与えた影響について深く考え込むようになりました。
By Kelly Mercer
その後Nguyen氏は「もうこれ以上堪えられない」とコメントし、22時間以内にFlappy BirdをApp StoreとGoogle Playから削除する旨をツイート。削除されるまでの22時間で1000万人以上のユーザーがFlappy Birdをダウンロードしています。Flappy Birdが姿を消すやいなや、App StoreやGoogle PlayにはFlappy Birdのコピーゲームが登場し、今では24分に1回という異常なスピードでコピーゲームが登録されているそうです。Nguyen氏は次々に現れるコピーゲームに対して「シンプルなFlappy Birdのコピーゲームを作るのは簡単だと思います。でも、誰もFlappy Birdに代わるようなものは作れないでしょう」とコメント。
その後も新しいゲームを開発中であるNguyen氏ですが、Flappy Birdを再び復活させるつもりであることをインタビュー内で明かしました。ただし、リリースするとしたら「休憩を取りながらプレイしてください」という注意書きを表示して、プレイヤーに警告を促す予定であるとのことです。
By Desiree Catani
Flappy BirdがApp storeやGoogle Playから削除されてから恐ろしいほどのコピーゲームが登場しており、記事執筆現在アメリカのApp Storeの無料アプリトップ10にはFlappy Birdのコピーゲームが5つもランクインしています。
また、YouTubeで1億回以上再生されたムービー「Nyan Cat」とFlappy Birdを混ぜてしまった「Tappy Nyan」というアプリまでApp StoreやGoogle Playに登場。
アメリカのコモドール社が1982年1月に発表した8ビットホームコンピューター「コモドール64」向けのFlappy Birdまで公開されていて、Flappy Birdを取り巻く状況はもう何が何やらわからないというところまできています。
Nguyen氏がFlappy Birdを再び公開することで、このカオスな事態が収束に向かっていくのか、それともコピーゲームが今までと同じように登場し続けるのか、Nguyen氏の動向に今後も目が離せません。
・関連記事
半年間無名だったのに突然爆発的大ヒットで1日500万円を得たが消滅した「Flappy Bird」とは?そして人気絶頂でアプリを削除した作者へのインタビュー - GIGAZINE
大量のユーザーと一緒にFlappy Birdを遊べる「FlapMMO」 - GIGAZINE
Google PlayやApp Storeから削除されたのに次々と登場するFlappy Birdのコピーゲーム - GIGAZINE
ピタゴラ装置を組み立ててステージをクリアしていくゲーム「TinkerBox」 - GIGAZINE
Minecraftが販売数3000万本をインディーズゲームから達成した過程とは? - GIGAZINE
・関連コンテンツ