サイエンス

米軍ではカフェインの代わりに電気ショックでの「目覚まし」を検討中

By whurley

技術の進歩と共に軍人の仕事の一部はとても単調なものになってきています。例えばアメリカ軍で無人偵察機からの映像を監視し続けるような業務に就いた場合、イスに座って延々と似通った映像を見続けることになるので、これは眠気との戦いになることもしばしば。そういった単調な業務に従事する軍人をサポートするために、アメリカ国防総省ではカフェインよりも効果的な「目覚まし」方法を開発しているようです。

Air Force stimulates brain waves to improve performance of drone operators - Nation - The Boston Globe
http://www.bostonglobe.com/news/nation/2014/02/18/air-force-stimulates-brain-waves-improve-performance-drone-operators/V8ZG5DEYze4lCoGlloq14H/story.html


The Army Might Replace Soldiers' Caffeine With Electric Shock Therapy
http://gawker.com/the-army-might-replace-soldiers-caffeine-with-electric-1525081145


現代では、長時間無人偵察機からの映像を監視し続けるだとか、その他の監視情報に延々と目を通し続けるなどの非常に単調な作業をこなさなければいけない軍人もいるそうです。そのような業務に就く人たちにとって、用心深く監視を続けるにはコーヒーなどのカフェイン程度ではもはや力不足とのこと。そこでアメリカ国防総省は、軍人の注意力を拡張し反応時間を向上させる新しい目覚まし方法を研究しているようです。そしてその方法というのが「低レベルの電流を流して脳を刺激する」というもの。

By Murray Barnes

SF映画のワンシーンのような話ですが、コーヒーや栄養ドリンクよりも効果的な目覚まし方法を探すアメリカ軍は、脳疾患を治療するために作られた治療法を、判断力の低下や眠気覚ましなどに応用できないかテストし、この「低レベルの電流を流して脳を刺激する」方法にたどり着いたそうです。

そして現在もオハイオのライトパターソン空軍基地にある研究所で、数十人の被験者を対象に脳に刺激を与えながら実験が行われているとのこと。このプロジェクトを担当する生物医学工学者は「我々は、刺激を受けた人が一貫したパフォーマンスを発揮することを発見した」と言います。

By Woody Thrower

プロジェクトを担当する職員たちは、「脳を規則的に電気で刺激する」というこの方法が安全かどうか確かめたいと考えていたようですが、この新しい目覚まし方法に副作用と呼べるようなものはほとんどなく、電極をつけた部分の皮膚がかぶれただとか、軽い頭痛の症状が出た程度のものであったそうです。

テストでは1ミリアンペアの電流を10分間流したそうで、それにより認識力や反応時間が向上したことも判明。これらのパフォーマンスの向上は約20分程度で低下してしまうことも分かったそうです。しかし、研究者によれば「電流を流す目覚まし方法」は、カフェインを摂取するよりもはるかに効果的で、副作用も少ないとのこと。実際にこの実験に参加したWilliam Raybon三等軍曹は、実験時は睡眠不足であったにも関わらず「リフレッシュしている」と感じたそうです。

By UK Ministry of Defence

これまでは電気ショック療法といえば、しばしば記憶喪失を引き起こしたり、骨を損傷させたりといった深刻な副作用ばかりが注目されてきました。しかし、現在では治療時に流される電流は注意深くコントロールされているとのこと。そして実際に電気ショック療法の中のいくつかのものは多種多様な精神疾患を治療するための価値ある方法としてNational Institute of Mental Health(NIMH)やAmerican Psychiatric Association、アメリカの公衆衛生局長官などから支持を得ています。しかし、健康的な被験者に対する研究は現在のところ制限されている分野でもあるとのこと。

By genericprofilename

なお、現在のところ研究者たちは軍隊向け以外にこの装置を提供する、といった構想はしていないようです。

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in サイエンス, Posted by logu_ii

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