「南米のスイス」と呼ばれるアルゼンチンのバリローチェからの壮大な眺め
1月24日にアルゼンチンのペソが急落したことで世界の市場を震撼させましたが、年末年始にいたバリローチェは、本当にアルゼンチンは経済危機の国かと疑うほどに賑やかな街でした。熱い南米のイメージはここにはなく、緑の木々と青い湖に囲まれた落ち着いた雰囲気はヨーロッパのようです。バスで郊外に移動して、ロープウェイとリフトを乗り継いで展望台まで上ると、地平線が弧を描くように辺りを一望できました。チリのビジャリカ火山やオソルノ火山と合わせて、一帯はリゾート地となっています。
こんにちは、パタゴニアを南下している自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。パタゴニアではレートが悪いという情報から、視察も兼ねて闇両替をしにアルゼンチンのバリローチェに行ってきました。
バリローチェはこのあたりに位置します。
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◆チリのプコン
チリの首都サンティアゴから約650km南に位置するテムコという町から、針路を内陸にとってアルゼンチンの国境を目指しました。ビジャリカ湖の西側のビジャリカを通過して、東側のプコンまで。どちらも、南米らしからぬ落ち着いた雰囲気の場所です。プコンには休息で数日滞在しました。
南北に細長いチリの中央にあるプコン。
この辺りの紫陽花には癒やされました。
プコンの町を一望する展望台。キリスト像が見守っています。
こぢんまりとした町でした。
メインストリートはチリらしい雑然さはなく、落ち着いた雰囲気に。
観光客の姿も多かったです。チリ、アルゼンチンは、自国を旅するバックパッカーの姿が目立ちます。
そして町から目を惹くのが、雪を被った姿のビジャリカ火山。
富士山と同じ成層火山ですので、美しい裾野を描いています。
◆アルゼンチンに入国
プコンから「Paso Mamuil Malal」の国境を経てアルゼンチンに入国。フニン・デ・ロス・アンデス(Junin de los Andes)、サンマルティン・デ・ロス・アンデス(San Martin de los Andes)といった町を抜けていきます。
96カ国目のアルゼンチン。
手付かずの大自然の中での走行でした。
未舗装区間の古びた橋を渡って。
空気も澄んで気持ちのよい場所でした。
緑一色。
ほとんど車が通らないので、未舗装ながらも快適な区間です。
谷を抜けだして峠を攻略中。
強力なヘアピンカーブを曲がって。
反対側の谷へ。手前の国境が約1200mだったのに、アルゼンチン内のこの峠が約1300mとアンデスの分水嶺がおかしな事に。
空に突き出すように立っていた奇妙な岩。角度を変えると、もっと幅があったりします。
自動車は渡し船で、自転車は吊り橋で川を渡りました。村にキャンプ場があったので、大晦日くらいはシャワを浴びたいと立ち寄ることに。
こうして2014年が始まりました。
◆バリローチェの展望台
1月2日に今回のアルゼンチンにおける目的地の「サン・カルロス・デ・バリローチェ(San Carlos de Bariloche)」に到着。ナウエル・ウアピ湖に面したリゾート地で、冬にはスキー客で賑わいます。バリローチェには湖を見下ろせるカンパナリオの丘(Cerro Campanario)、オットー山(Cerro Otto)、カテドラル山(Cerro Catedral)と3つの展望台があるのですが、今回は一番標高のあるカテドラル山に登ってきました。バリローチェが「南米のスイス」と呼ばれているのにも納得です。
バリローチェのセントロ。スイス系、ドイツ系、北イタリア系の入植でできた町は、重厚な造りをしています。
チョコレートショップ。ここまでの南米と違って、ヨーロッパ色を強く感じました。
室内スケート場を滑る人たち。経済危機を感じさせない生活水準に、アルゼンチンへの興味が尽きません。
街中にある「CATEDRAL」のバス停から乗車。
このようなバスに揺られていきます。公共バスは10ペソ(約105円)と格安。
そして、カテドラル山の麓に到着。
このロープウェイに乗っていきます。こちらは150ペソ(約1600円)という値段。
ゴンドラは4人乗り。
ロープウェイからはリフトに乗り換えて、更に上を目指しました。怖いくらいに高さもあって、緊張してしまいます。
リフトから撮影したムービーがこちら。
足がすくんでしまうアルゼンチンのバリローチェの展望台へ向かうリフト - YouTube
リフトの終点。
少し歩くとナウエル・ウアピ湖が一望できました。
湖は谷のように細く広がっています。
尾根まで道が伸びていたので、少し歩いてみることに。
標高2000mを超えているので、雪も残っています。
こうして尾根まで歩くと、目を疑うほどに美しい景色が飛び込んできました。
深い青をしたナウエル・ウアピ湖。
バリローチェの市街からパタゴニアのパンパ(草原)まで見渡すことができます。
手前がロープウェイに乗った場所で、遠くがバリローチェの市街。
そして見渡すばかりではなく、すぐそこにあるアンデスの山々も輝いていました。
雪を被ったアンデスの峰々。
着飾ることのないありのままの自然の姿。
ナウエル・ウアピ湖と合わせて、言葉にならない景色が存在しています。
展望台からの眺めはこんな感じです。
南米のスイスとも呼ばれるバリローチェの展望台からの美しすぎる景色 - YouTube
◆再びチリへ
バリローチェで観光も闇両替も済ませて、ここから南下してもパタゴニアには突入できるのですが、プエルト・モン(Puerto Montt)で日本からの郵便物を受け取る必要と、ウニやサケといった海産物を食べるという使命があったので、Paso Cardenal Antonio Samoresという国境から再びチリに戻ります。
このエリアは幾つもの湖が点在していました。
国境近くにあった特徴的な岩山。
チリに入国をするとダウンヒルで、また別の湖が出てきます。
広がる緑の森。
人里まで降りてきました。1月のこの辺りは日本の春のような陽気。
そして見えるのは、こちらも成層火山で標高2660mのオソルノ火山。
オソルノ火山は富士山と瓜二つの姿から「チリ富士」とも呼ばれています。
湖から眺めるオソルノ火山。
その美しい姿には見惚れてしまいました。
◆ボートを使った国境越え
このアルゼンチンのバリローチェからチリのプエルト・モンまでは3つの湖をボートを乗り継ぐというルートもあるのですが、自分は1人なので盛り上がりに欠けるということで却下。代わりに、友人のチャリダー夫妻が走破しているので写真をお借りしました。何よりも楽しい自転車の旅を、誰よりも大切にしたい人と一緒にするなんて羨ましい限りです。二人で作られている「二人四輪」というウェブサイトに、旅の記録が綴られています。
ナウエル・ウアピ湖を渡る船。
ボート内。
未舗装の道を走って。
こう見ると楽しそうなルートです。
次のボートへ。
素敵な写真。
最後のボートではオソルノ火山を、ボートの上から望むことができます。
美しい姿ですね。
プコン、バリローチェ、オソルノ火山と南米らしいスケールの大きな観光地が続いています。パタゴニアだけでなく、このエリアも旅のプランに加えてみるのはいかがでしょうか?
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
(写真:木村ご夫妻
二人四輪 http://www.ninin-yonrin.com
Twitter @kim_msc)
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